家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。

木山楽斗

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6.重要な知らせ

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 朝食が終わった後、私はお父様に呼び出されていた。
 どうして呼び出されたのか。その内容は、よくわかっていない。
 だが、心当たりはある。それは、お兄様とお姉様が言っていたことだ。

「えっと……お父様、それで一体どのような用件なのでしょうか?」
「うむ……」

 私の質問に対して、お父様はその表情を歪めた。
 なんというか、それは嫌そうな表情である。これから話すことは、明るい話題ではないということなのだろうか。

「あなた、そんな顔をしないでください」
「いや、しかし……」

 この場には、お母様も同席している。
 だが、彼女はお父様と違って堂々としている。
 その様子を見ていると、これが暗い話ではないようにも思えなくはない。

「別に悪いことではないでしょう?」
「悪いことではない……うむ」
「……悪いことだと思っているんですか?」
「そういう訳ではないが……」

 お母様の言葉に対して、お父様は消え入りそうな声を出していた。
 基本的に、お父様はお母様に頭が上がらない。このサディード公爵家の力関係は、明確なのである。

 今の会話で、これから言われることが悪いことではないということはわかった。
 お父様はそうではないと思っているようだが、この状況で信頼できるのはどちらかというとお母様の方だと思うので、そう思っていいだろう。

「もしもあなたが言えないというなら、私から言いましょうか?」
「いや、それは流石に……」
「なら、自分で言ってください」
「……わかった」

 お母様の言葉に、お父様はゆっくりと頷いた。
 その様子を見ていると、なんだか笑ってしまう。二人は、本当に仲が良いと。

 貴族であるため当然のことなのかもしれないが、二人は政略結婚だったそうだ。
 しかし、このように夫婦円満であるというのは、とても幸せなことだろう。

 そこで、私はとあることに気がついた。
 政略結婚、その言葉で私はあることを思ったのである。
 もしかして、私が今日呼び出されたのはそういうことなのだろうか。

「エルミナ、実はお前の婚約が決まったのだ」
「私の婚約……ですか?」
「ああ……」

 お父様は、とても残念そうにそう言ってきた。
 私の婚約。それは既に予想できていたことである。
 だが、それでも衝撃はあった。まさか、ここまで早くそれがやってくるとは思っていなかったからだ。

「驚いているようだな……それも当然だ。年齢的に、お前が最初に婚約することになるとは、私も思っていなかったからな」
「ええ……」

 サディード公爵家で、私は最年少である。
 それなのに、私の婚約が最初に決まった。それは少しおかしいことのようにも思える。
 だが、それには色々と事情があるのだろう。それは、なんとなくわかることだ。
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