元旦那様はご自分に人徳がないことをご存知なかったようですね。

木山楽斗

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8.実家に戻って

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「なるほど、そういうことだったか……」
「ひどい話ですね……」

 ヴォルガー伯爵家からラバンス伯爵家に戻ってきた私は、ラフォードお兄様に何があったかを話していた。
 その場には、ソフィア様もいる。正式な結婚はまだではあるが、ラフォードお兄様しかいないラバンス伯爵家を気遣って、セディール侯爵家の許可を得て、こちらに滞在しているようだ。

「確かにアンドラの行いは非道なものだ。しかしそれは、好都合ともいえる」
「好都合? ラフォードお兄様、それはどういうことですか?」
「奴とお前を結婚させたのは、弱っていたラバンス伯爵家のための措置だ。しかし今のラバンス伯爵家なら問題はない。万全とは言えないものの、セディール侯爵家との婚約によってある程度の力が得られている」

 私が予想していた通り、セディール侯爵家との婚約によって、ラバンス伯爵家の基盤は固まったといっていいようである。
 そういうことなら、少しだけ安心することができる。もちろん私の離婚は大きなことだが、致命傷にはなり得ないだろう。

「もちろん、セディール侯爵家が今回の離婚によって考えを変えるというなら、話は別ですが……」
「私は気にしませんし、お父様やお母様もそれは同じだと思います。ラフォード様との婚約に関して、リエルナ嬢のことは考慮していませんからね。その辺りの情勢は、特に関係ないかと思います」

 ラフォードお兄様の言葉に、ソフィア様が答えた。
 穏和な印象がある彼女だが、今は鋭ささえ感じられる。
 そんな彼女が言うことなら、信用することはできるだろう。セディール侯爵家が、急に婚約を破棄するなんてことはなさそうだ。

「それなら、アンドラなどとは手を切っておいた方が良いだろう。奴は父親以上に愚かな男だということは、今回の件でよくわかった。奴と手を結んだ所で、ラバンス伯爵家にとって有益なことは何もない」
「それは、そうでしょうね……」
「お前の結婚などについては、改めて考えるとしよう。まあ、しばらくの間はこの家でゆっくりとしていれば良い。お前はこれまでラバンス伯爵家を救うために尽力していたのだからな。少しくらい休んでも問題はない」
「わかりました。そうさせてもらいます」

 ラフォードお兄様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 ここ最近は、アンドラ様のせいで心休まる時が少なかった。休めるというなら、休ませてもらいたいものである。
 とはいえ、いつまでも休んでいるつもりはない。ラバンス伯爵家のためにできることを、これからもやっていくつもりだ。
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