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13.吐き出すべきこと
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私は、両親に向けた手紙を書いた。
その手紙には、オルドス様の非道の数々と、それに耐えられなかったことへの謝罪を記している。
手紙を受け取って、両親がどのような反応をするのかはわからない。私の判断を受け入れてもらえるだろうか。少々不安ではある。
もっとも、仮に両親がどのように思っていても、私はこの道を進むつもりだ。
私は、ローヴァン男爵家を滅ぼしてでもオルドス様を糾弾する。彼に裁きを受けてもらわなければ、私の気は収まらないのだ。
「ミルティア嬢、大丈夫ですか?」
「ラーバスさん……」
「浮かない顔をしていたので、少し気になりました。良かったら話を聞きましょうか?」
私が王城のテラスで遠くを見つめていると、ラーバスさんが隣にやって来てくれた。
私は、そんな浮かない顔をしていただろうか。あまり自覚はなかったが、そうなのかもしれない。これからのことを考えていた訳だし。
「これから待ち受けていることが、少し気になってしまって……」
「……あなたにはこれから、試練が待ち受けている。浮かない顔になるのも当然ですね。野暮なことを聞いてしまいました」
「いいえ、声をかけてもらえて嬉しく思っています」
ラーバスさんは、私がどうして浮かない顔をしているかなんて、気付いていただろう。
彼は私に吐き出させようと、してくれているのだ。こういう時には、不安を口にすると楽になる。それは私もわかっているので、話させてもらうとしよう。
「自らの選択に、後悔はありません。ラーバスさんと出会い、オルドス様を糾弾することができる。この状況になったことは、幸福であると思っています」
「そう思っていただけているなら、俺としては嬉しいことですが……」
「それで家族から恨まれたとしても、いいと思っています」
「恨むなら俺を恨むように、あなたの家族にはお伝えください。発端は俺なのですから」
「いえ、決断したのは私です」
私は、決断の責任をラーバスさんに背負わせるつもりはない。
私は私の判断で今回のことを決めた。そこでラーバスさんに甘えては、いけないと思うのだ。
「しかし、あなたに全ての責任を押し付けるのは俺が納得できません。俺があなたを焚きつけたのですから……せめて半分くらいは、背負わせていただきたい」
「ラーバスさん……」
ラーバスさんの言葉に、私は少し驚いた。
彼の方も彼の方で、私と同じような思いを抱えているということだろうか。そういうことなら三分の一くらいは、背負ってもらった方がいいのかもしれない。
「……わかりました。そういうことなら」
「ええ、そうして下さると助かります」
「助かるなんて、そんな……助かるのは、私の方ですよ」
私はそう言って、ラーバスさんに笑顔を見せた。
やはり彼と話して、良かったと思う。心の中にあった不安が、少しだけ拭えたような気がする。
その手紙には、オルドス様の非道の数々と、それに耐えられなかったことへの謝罪を記している。
手紙を受け取って、両親がどのような反応をするのかはわからない。私の判断を受け入れてもらえるだろうか。少々不安ではある。
もっとも、仮に両親がどのように思っていても、私はこの道を進むつもりだ。
私は、ローヴァン男爵家を滅ぼしてでもオルドス様を糾弾する。彼に裁きを受けてもらわなければ、私の気は収まらないのだ。
「ミルティア嬢、大丈夫ですか?」
「ラーバスさん……」
「浮かない顔をしていたので、少し気になりました。良かったら話を聞きましょうか?」
私が王城のテラスで遠くを見つめていると、ラーバスさんが隣にやって来てくれた。
私は、そんな浮かない顔をしていただろうか。あまり自覚はなかったが、そうなのかもしれない。これからのことを考えていた訳だし。
「これから待ち受けていることが、少し気になってしまって……」
「……あなたにはこれから、試練が待ち受けている。浮かない顔になるのも当然ですね。野暮なことを聞いてしまいました」
「いいえ、声をかけてもらえて嬉しく思っています」
ラーバスさんは、私がどうして浮かない顔をしているかなんて、気付いていただろう。
彼は私に吐き出させようと、してくれているのだ。こういう時には、不安を口にすると楽になる。それは私もわかっているので、話させてもらうとしよう。
「自らの選択に、後悔はありません。ラーバスさんと出会い、オルドス様を糾弾することができる。この状況になったことは、幸福であると思っています」
「そう思っていただけているなら、俺としては嬉しいことですが……」
「それで家族から恨まれたとしても、いいと思っています」
「恨むなら俺を恨むように、あなたの家族にはお伝えください。発端は俺なのですから」
「いえ、決断したのは私です」
私は、決断の責任をラーバスさんに背負わせるつもりはない。
私は私の判断で今回のことを決めた。そこでラーバスさんに甘えては、いけないと思うのだ。
「しかし、あなたに全ての責任を押し付けるのは俺が納得できません。俺があなたを焚きつけたのですから……せめて半分くらいは、背負わせていただきたい」
「ラーバスさん……」
ラーバスさんの言葉に、私は少し驚いた。
彼の方も彼の方で、私と同じような思いを抱えているということだろうか。そういうことなら三分の一くらいは、背負ってもらった方がいいのかもしれない。
「……わかりました。そういうことなら」
「ええ、そうして下さると助かります」
「助かるなんて、そんな……助かるのは、私の方ですよ」
私はそう言って、ラーバスさんに笑顔を見せた。
やはり彼と話して、良かったと思う。心の中にあった不安が、少しだけ拭えたような気がする。
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