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18(アルシーナ視点)
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私は、クラールとともにタルギス王国に戻って来ていた。
当然、本来の仕事があるため、こちらに戻って来る必要があったのだ。
だが、こちらの王国に戻って来てからも、あの事件を解決するためにやるべきことはあった。ファルミリアが動き出す前に、ある宣言をしておかなければならなかったのだ。
「さてと……」
その宣言が掲載されているはずの新聞を、私は手に取った。
そこには、つい先日した私のインタビューが載っている。
「ウォングレイ夫人のアルシーナの正体は、ウェンシィ王国の公爵令嬢、ファルテリナ・ロガルサだった……自分で言ったことではあるけれど、こうも大きく取り上げられていると、なんだか頭が痛くなってくるわね」
新聞の見出しには、私の正体が堂々と乗っていた。
ファルテリナ・ロガルサ、一年前に捨てた名前を再び名乗ることは、少し前までは思ってもいなかったことである。
「本当に、これで良かったのかい? わざわざ名乗る必要があると、私にはあまり思えないのだが……」
「念には念を入れる必要があるわ。もし、ファルミリアが先にこのことをばらしたら、私にとってはとても不利になるもの。こちらから宣言することで、私には本当に後ろめたいことはないと世間に思ってもらう必要があるはずよ」
「しかし……」
「あなたが心配してくれるのは嬉しいけど……でも、こうすることが一番いいことだと、私は思うの」
私が今回の宣言をしたのは、万が一に備えてのことだ。
脅す必要がある以上、ファルミリアが私や事件のことを発表する可能性は低かった。だが、もしそうされると、私にとってはとても不利だったのだ。
あちらから発表されると、私がそれをひた隠しにしていたということになる。その場合、私の印象はどちらかというと悪くなるだろう。
しかし、こちらから発表すれば、それは少しだけ変わる。自分から発表しておくことで、その事実を隠していたという印象を少しでも払拭したいのだ。
どちらにしても、私に対する悪評は避けられないのかもしれない。だが、こちらの方が幾分かはましであるだろう。
「それに、どちらにしてもこれは何れ知られることだったのだから……」
「それは、わかっている。でも、わかっていても、納得できないこともあるものなのさ」
「あなたは、本当に優しいのね。出会った時から、そう思っていたけど……」
「優しいだけでは、君の心の痛みをどうすることもできないというのが、もどかしい限りだね……」
「そんなことはないわ。とても救われているもの……」
そもそも、私がファルテリナ・ロガルサであることは何れ知られたことであるはずだ。流石に、冤罪を晴らす際には世間に知れ渡ることになっただろう。
そこで知られることになることも、ファルミリアから発表されるのと同じだ。だからこそ、この宣言は早くするべきだったのである。
それをわかっていても、クラールは嫌だったようだ。それ程に、私を思ってくれているのだろう。
私は、それが嬉しかった。その思いだけで、私は今回のことを乗り切れると、そう思うのだった。
当然、本来の仕事があるため、こちらに戻って来る必要があったのだ。
だが、こちらの王国に戻って来てからも、あの事件を解決するためにやるべきことはあった。ファルミリアが動き出す前に、ある宣言をしておかなければならなかったのだ。
「さてと……」
その宣言が掲載されているはずの新聞を、私は手に取った。
そこには、つい先日した私のインタビューが載っている。
「ウォングレイ夫人のアルシーナの正体は、ウェンシィ王国の公爵令嬢、ファルテリナ・ロガルサだった……自分で言ったことではあるけれど、こうも大きく取り上げられていると、なんだか頭が痛くなってくるわね」
新聞の見出しには、私の正体が堂々と乗っていた。
ファルテリナ・ロガルサ、一年前に捨てた名前を再び名乗ることは、少し前までは思ってもいなかったことである。
「本当に、これで良かったのかい? わざわざ名乗る必要があると、私にはあまり思えないのだが……」
「念には念を入れる必要があるわ。もし、ファルミリアが先にこのことをばらしたら、私にとってはとても不利になるもの。こちらから宣言することで、私には本当に後ろめたいことはないと世間に思ってもらう必要があるはずよ」
「しかし……」
「あなたが心配してくれるのは嬉しいけど……でも、こうすることが一番いいことだと、私は思うの」
私が今回の宣言をしたのは、万が一に備えてのことだ。
脅す必要がある以上、ファルミリアが私や事件のことを発表する可能性は低かった。だが、もしそうされると、私にとってはとても不利だったのだ。
あちらから発表されると、私がそれをひた隠しにしていたということになる。その場合、私の印象はどちらかというと悪くなるだろう。
しかし、こちらから発表すれば、それは少しだけ変わる。自分から発表しておくことで、その事実を隠していたという印象を少しでも払拭したいのだ。
どちらにしても、私に対する悪評は避けられないのかもしれない。だが、こちらの方が幾分かはましであるだろう。
「それに、どちらにしてもこれは何れ知られることだったのだから……」
「それは、わかっている。でも、わかっていても、納得できないこともあるものなのさ」
「あなたは、本当に優しいのね。出会った時から、そう思っていたけど……」
「優しいだけでは、君の心の痛みをどうすることもできないというのが、もどかしい限りだね……」
「そんなことはないわ。とても救われているもの……」
そもそも、私がファルテリナ・ロガルサであることは何れ知られたことであるはずだ。流石に、冤罪を晴らす際には世間に知れ渡ることになっただろう。
そこで知られることになることも、ファルミリアから発表されるのと同じだ。だからこそ、この宣言は早くするべきだったのである。
それをわかっていても、クラールは嫌だったようだ。それ程に、私を思ってくれているのだろう。
私は、それが嬉しかった。その思いだけで、私は今回のことを乗り切れると、そう思うのだった。
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