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episode3 転入生 神崎 嵐
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いつの間にやら、声を大にして喋っている真理にヒヤヒヤ
しながら、つばさは、そ、そうなんだ、と頷いた。そして、
斗哉と自分との距離が、急激に縮まった理由に合点が
いって、足元を眺めた。
「ホント、さっさと付き合っちゃえば、あんたがこういう目に
合うことも無くなるだろうに。うやむやな関係だから、
周囲の女子も諦めつかなくて、こんな嫌がらせすんのよ」
ぺたぺたと、来賓用のスリッパで歩くつばさの足元を見て、
真理がため息をつく。本来、つばさが履くはずの上履きは、
朝、学校に来た時点でズタズタに切り刻まれており、花びら
のようにひらひらと開ききった上履きを手に取ったつばさは、
よくもまあ、ここまで綺麗に刻んだものだと、感心してしまったのだ。
小学校の頃から、幾度かこういうことに見舞われているので、
今さら落ち込むこともない。ただ、新しく上履きを買わなければ
ならないという、臨時の出費が痛いだけで……
上履き代2100円も馬鹿にならない。
「別に怪我したとかじゃないし、いちいち気にしてたらキリが
ないよ。犯人がわかっても、気まずくなるしさ」
あはは、と乾いた笑いを真理に向けて、つばさは立ち止まる。
帰りのホームルームまで、まだ時間がある。いつまでも
スリッパで歩くより、早目に購買で上履きを買ってしまいたかった。
「あ、私、ちょっと上履き買ってきちゃうね」
購買部がある別館に続く、渡り廊下を指差す。この学校は、
生徒たちが学ぶ本館に別館、講堂もあって、敷地はかなり広い。
真理に付き合ってもらうのも悪いし、一人で走って行った方が、
すぐに戻って来られるだろうとつばさは思った。
「そう?じゃあ、先に教室行ってるね」
教室に続く廊下を歩き出す真理に手を振ると、つばさはパタパタと
スリッパの音をさせて、別館に向かった。
本館の通用口を出て、少し離れた別館に続く渡り廊下を走る。
すっかり陽の落ちたグランドから吹き抜ける風は冷たく、渡り廊下を
歩く生徒も見当たらない。つばさは、少し緩やかに下り坂になっている
その廊下を走り、その半ばで突然、うわっ、と躓いた。
すぽっ、と片方のスリッパが脱げて思わず膝をつく。
「いたっ!」
剥き出しのコンクリートについた膝が、少し擦り剥けて
つばさは顔を顰めた。前回、講堂の地下道で擦ったときの傷が、
ようやく治ったというのに……また同じ場所を擦ってしまったのだ。
つばさは、あーあ、と内心、ため息をつきながら、立ち上がろうと、
した。その時だった。
視界に誰かの足元が飛び込んで来て、ぐい、と腕が引っ張られた。
え?と思って顔を上げれば、長身の男子が自分を見下ろしている。
誰だろう?見たことない顔だ。
つばさは、見知らぬ男子に支えられながら、立ち上がった。
しながら、つばさは、そ、そうなんだ、と頷いた。そして、
斗哉と自分との距離が、急激に縮まった理由に合点が
いって、足元を眺めた。
「ホント、さっさと付き合っちゃえば、あんたがこういう目に
合うことも無くなるだろうに。うやむやな関係だから、
周囲の女子も諦めつかなくて、こんな嫌がらせすんのよ」
ぺたぺたと、来賓用のスリッパで歩くつばさの足元を見て、
真理がため息をつく。本来、つばさが履くはずの上履きは、
朝、学校に来た時点でズタズタに切り刻まれており、花びら
のようにひらひらと開ききった上履きを手に取ったつばさは、
よくもまあ、ここまで綺麗に刻んだものだと、感心してしまったのだ。
小学校の頃から、幾度かこういうことに見舞われているので、
今さら落ち込むこともない。ただ、新しく上履きを買わなければ
ならないという、臨時の出費が痛いだけで……
上履き代2100円も馬鹿にならない。
「別に怪我したとかじゃないし、いちいち気にしてたらキリが
ないよ。犯人がわかっても、気まずくなるしさ」
あはは、と乾いた笑いを真理に向けて、つばさは立ち止まる。
帰りのホームルームまで、まだ時間がある。いつまでも
スリッパで歩くより、早目に購買で上履きを買ってしまいたかった。
「あ、私、ちょっと上履き買ってきちゃうね」
購買部がある別館に続く、渡り廊下を指差す。この学校は、
生徒たちが学ぶ本館に別館、講堂もあって、敷地はかなり広い。
真理に付き合ってもらうのも悪いし、一人で走って行った方が、
すぐに戻って来られるだろうとつばさは思った。
「そう?じゃあ、先に教室行ってるね」
教室に続く廊下を歩き出す真理に手を振ると、つばさはパタパタと
スリッパの音をさせて、別館に向かった。
本館の通用口を出て、少し離れた別館に続く渡り廊下を走る。
すっかり陽の落ちたグランドから吹き抜ける風は冷たく、渡り廊下を
歩く生徒も見当たらない。つばさは、少し緩やかに下り坂になっている
その廊下を走り、その半ばで突然、うわっ、と躓いた。
すぽっ、と片方のスリッパが脱げて思わず膝をつく。
「いたっ!」
剥き出しのコンクリートについた膝が、少し擦り剥けて
つばさは顔を顰めた。前回、講堂の地下道で擦ったときの傷が、
ようやく治ったというのに……また同じ場所を擦ってしまったのだ。
つばさは、あーあ、と内心、ため息をつきながら、立ち上がろうと、
した。その時だった。
視界に誰かの足元が飛び込んで来て、ぐい、と腕が引っ張られた。
え?と思って顔を上げれば、長身の男子が自分を見下ろしている。
誰だろう?見たことない顔だ。
つばさは、見知らぬ男子に支えられながら、立ち上がった。
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