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第四章 円卓の影
間話 ~ 円卓の王
しおりを挟む間話 ~ 円卓の王
石壁に囲まれた円卓に、質の良い背広を着た男がいた。男は腕を組んで、羊皮紙で書かれた報告を黙読していた。
鎧に身を包んだ男が入って来ると、背広の男は鋭い目を向けた。
「オントルーマの件は、どうなった?」
「オークどもは、警備隊に掴まった三匹以外、未だ見つかってはおらんようだ。手掛かりである小僧を捕らえるよう命じてもいるが……手こずっているようだ」
「ふん――所詮は人間か。役に立たん。ウコバークはどうした?」
「しらん。おおかた、人間どもを指揮するのを楽しんでおるのだろうさ。火遊びだけしていればいいものを……いらぬ遊びを覚えたようだ」
鼻を鳴らして円卓に座った鎧の男は、椅子に腰を降ろした。ゴソゴソと腰の革袋から煙管を取り出して吸い始めると、背広の男がイヤそうに眉を顰めた。
「こんなところで煙管を吸うな。煙くて敵わん」
「慣れれば、なかなかいいものだぞ?」
鎧を着た男が吐き出した紫煙に、背広の男は嫌悪感を露わに、テーブルに置いてあった羊皮紙で目の前の空間を仰いだ。
しかし軽い足音が聞こえてくると、煙管から燃える煙草の葉を円卓の上に落とした。
やけに細い影が円卓に近寄ると、男たちは立ち上がった。
金糸の刺繍が施された、黒いビロードのドレスを着た女だ。年の頃は三〇前後。濃い茶色の髪を結い上げ、頭にはティアラを乗せていた。
それなりに身分は高そうだが、王族のような華やかさにはほど遠い。
「王よ。ごぶさたしております」
「我が王――」
「二人とも、楽にして良い」
王と呼ばれた女は小さく手を挙げると、椅子に腰掛けた二人を順に見回した。
「計画はどうか?」
「は――人間と入れ替わりを計ったオークは囚われ、入れ替わりの途中だったものは行方が知れません。目下、捜索中に御座います」
「ほお……計画を見破ったものがいると?」
「わかりません。警備隊によれば、計画に利用した一家を訪問した者が、オークらを偽物と気づいたそうです」
背広の男からの報告を聞いて、女は口元から笑みを消した。
「……そう。気づく者がいる……か。人の容姿は特徴に差がありすぎるな。囚われたオークの回収を急がせよ」
「もう動いております。すでにオントルーマには配下の者たちを送りました」
「オークらに気づいた者らも、捕らえるよう命じております。じきに、良い御報告ができるでしょう」
続けて鎧の男の報告を聞いた女は、顎を引き上げながら円卓の二人を見た。
「そうか。ならば、奮闘して励め」
「――は」
最敬礼をする二人の男たちを残して、女は去って行った。
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本作を読んで頂き、誠にありがとうございます!
わたなべ ゆたか です。
次は火曜日辺りと前回書きましたが、三章-1と間違えてました。間話でしたので、なんとか日曜に間に合いました。
10月9日、サンマが安売りで「この日はサンマdayだなー」と思ってたのも原因です。
一尾100円以下は久しぶりです。
ただ、昼に焼いてから、すでに三時間。まだ臭い……。
ついでに、前の章などで誤記修正。プロットでゴブリンだったので、勘違い……早起き生活で、頭寝てますね。すいません。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
次回もよろしくお願いします!
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