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嵐の週末(久々の再会ワンナイト)
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週末に来るらしい台風の話をいろいろなところで目にする。
ああ、嫌だな。ずっと関東住みの私は最近たまにやってくる台風に慣れていない。
異様な風の音や不安を煽るテレビのニュースや、何もかもが嫌な気分にさせる。
せっかくの週末なのに。まだあと数日あるけど。
台風が来るなんて信じられないほど晴れている夏の終わりの日差しの中を買ったばかりの日傘の中に隠れるように家へ歩く。
家にビールあったかな。コンビニに寄るのは面倒くさい。
朝から履いているヒールがひどく蒸れて気持ち悪い。
部屋に着いて鍵を差し込む。一人暮らしする時には必要ないって親に言っていたくせにいざ一人で暮らし始めると、帰ってすぐにテレビをつけてしまう。
途端にひとりの部屋に賑やかな別の世界が始まる。
それなのに短いニュースから台風の進路を告げて水を差される。
ゆっくり座ってしまうと動けなくなるから、座るより先にシャワーを浴びる。伸ばし初めてしばらく経つ髪は背中まで伸びて洗うのも乾かすのも面倒くさい。
髪を洗いながらテレビをつけるよりエアコンをつけてきたらよかった、と後悔してももう遅い。
とりあえずさっさとバスルームを出てショーツだけを履いてエアコンをつける。
エアコンのあたる場所でドライヤーをかけながらスマートフォンをチェックする。
今日はなにも予定がない。
彼氏はしばらくいないけど、セックスするだけの相手ならスマートフォンの中に数人待機している。
週末、誰か一緒に過ごしてもらおうかな、ひとりだと不安だし、ふと思いついたその考えはものすごくいい案な気がした。
ドライヤーを当てながら、1番目に思いついたのは1番顔が好みな彼。あわよくば付き合うことにならないかな、なんていう淡い考えもほんの少しある。
でもいざ付き合ったらなんか違ったりするのかな、とも思う。
でも彼女とわかれたばっかりっていってたな。そんなどうでもいいことをつらつら考えて、
適当に週末の様子を窺うメッセージを送る。
髪が乾く前にメッセージは返ってきてしまった。
彼女とより戻したからごめん、という短いメッセージ。
そのまま連絡先を消去する。
次に思いついた先週会ったばかりの彼にメッセージを送る。
中世的な彼は予定もセックスする場所も何も決めてくれない。いつも私が予定を決めてホテルを決めてセックスする。ああ、面倒だな、そしてそんな彼と一緒にいたところでこの心細さが解消されるとは思えなかった。彼はやめにして、冷蔵庫を開ける。たった一本残った私がいつも飲むのとは違う銘柄の缶ビール。
もう数ヶ月は冷蔵庫の奥に転がっている賞味期限を確認しなければならないほど放置されたそれは、一度だけセックスしたナンパしてきた男が置いて行ったものだ。
それを取り出して缶を開けると、冷えに冷えたそれは意外と口に合った。
南の方の出身の彼は顔は濃いけどいまいち好みじゃなくて、一度だけセックスして疎遠になってしまった。
私は鍛えている人が好みだ。太ってはなかったけど引き締まってるって感じじゃなかった体を思い出す。そのあと連絡が来ないということは私も彼にはまらなかったんだろう。
そもそも連絡先、まだとってあるんだっけ。名前は何だったっけ。
え~っと、なんだっけ、顔が濃かったことしか覚えてない。メッセージをさらって必死に見つけ出す。
名前は大輝、最後に連絡を取ったのはもう2ヶ月も前、返事なんて来ないだろうな。そうなったら誰に連絡しよう。ああ寂しい、心細い。
いや、別にセックスしなくても、友だちと宅飲みでもよくない?そう思い直すとそっちの方が気楽でいいような気がしてくる。
大輝くんに連絡する前に、前日職場を辞めていった仲良しの後輩に電話をかける。
「ちよちゃん?今大丈夫?」
『あ~雪ちゃん先輩ですかあ?どうしました?』
「ちよちゃんって新しい仕事決まったんだっけ、週末仕事?」
『仕事は決まってないんですけど、彼氏と結婚することになったので色々決めることあって忙しいんですよ~。』
「えっ!えっ、そうなの?ええ~そうなんだあ、早いねえ。」
『はい~なんかぱぱっときまっちゃってえ、先輩も、
いつまでも適当にセフレとばっかり遊んでないでちゃんとした人と付き合った方がいいですよ~。』
「は~い。」
切る前の返事は適当になった。一緒に飲み歩いてる時は自分だって適当やってたくせに、急にマウント取ってきて、ああ・・・・・・嫌な気分だな。
ていうか、彼氏と付き合ってる時も何人かワンナイトしてたの知ってるぞ私。
ビールはぬるくなり始めている。
覚悟を決めて大輝くんに連絡を入れる。
これで断られたら、どうしようかな。色々買い込んで家で映画でも見ようかな。
テレビは本格的にニュースの時間帯になって、繰り返し台風への注意を呼びかけている。
週末遊べますか、のメッセージを送って数分、スマートフォンは音を立てて震えた。
「はい?」
『雪ちゃん?週末あいてるよ~。今ベランダ片付けてたとこ。雪ちゃんは片付けた?』
「ベランダ?」
数ヶ月前に一度きりしか会ってない相手だなんておおよそ思いもつかないような気軽さで大輝くんが話し始めるもんだから、質問の意味がすぐには理解できなかった。
『台風が来る前に片付けとかないと。まだだったら手伝いに行こうか?』
ベランダの片付けなんてもちろん準備もしていなかった。
「あ、まだ・・・・・・。」
『わかった!今から行っていい?週末になってからじゃ間に合わないよ、明日には雨が降る出すだろうし、その前に。』
「え、家、覚えてる・・・・・・?」
『おぼえてるよ!俺道とか覚えるの得意!』
本当に得意げに言うから、家を覚えられてる恐怖より可笑しさが先にきてしまって、笑い声になった。
まあ、家に連れてきたの自分だしね・・・・・・。
このノリの良さと明るさに釣られてナンパにも応じてしまったんだった、となんとなく思い出した。
週末の予定は埋まってしまった。
ええと、どうしよう、シャワーは浴びたばかりだけど、下着とかちゃんとしておいた方がいいかな。
飲みかけのビールを飲み干してしまって、服を着て脱衣所を適当に片付けていたらインターホンが鳴った。
カメラはついていないので、ドアスコープを覗く。
あれ?こんな人だったっけ?
スコープから覗いた彼はずいぶんと印象が変わっていて、思わずドアチェーンをかけて玄関を開けた。
「雪ちゃん!久しぶり!」
玄関から少し離れて立っている大輝くんは、手首に緑色の養生テープをはめてビニール袋を下げて満面の笑みで手を振った。
「あけて?」
「あ、ああ・・・・・・ごめんね?」
チェーンを外して彼を招き入れる。
「なんか少し、印象かわった、よね?」
靴を脱いでいる大輝くんにそう問うと、少しだけ首を傾げて笑った。
「あ、あ~。筋トレはまっちゃって・・・・・・。」
照れたように掻いた頭は黒髪がゆるく伸ばされていて、それもまた印象が変わって見えた。
「あのさあ雪ちゃん。」
「んん~?」
ベランダから外を覗く大輝くんが外を見たまま話しかける。
「ここ雨戸ないやろ?」
「雨戸?ないかも。」
「そんならさ、週末、俺んち来ない?うちのアパートシャッターついてるし、ここよりかは安全かも。」
「え、いいの・・・・・・?」
「いいよ、もちろん。雪ちゃんがいいなら。
ここのベランダは俺が片付けるから、明日にでもおいでよ、駅まで迎えに行くし。」
記憶の中より随分かっこよくなったワンナイトのはずだった彼は、そんな風に私に得しかない提案をしてくれた。
じゃあ、そうする。そう答えると、大輝くんは笑って頷いてベランダへ出た。
私の使っているベランダ用のスリッパに窮屈そうに足を詰め込んで、つま先立ちで移動する姿はたまらなくキュートに見える。今さらへらへらしたら調子のいい女って思われるかな。はじめ会った時の対応はとりかえしようがない。
「雪ちゃん、ゴミ袋持ってきて。」
「ゴミ袋?」
言われるままにキッチンからゴミ袋を一枚手にしてベランダの彼に渡す。大輝くんはかかったままのハンガーや折りたたみピンチを次々とゴミ袋に入れていく。最後に履いていたスリッパをベランダではたいてゴミ袋の中へしまい、簡単に縛った。小さいビニールで排水溝のゴミを簡単に取り除いて、縛ってくれる。
手際の良さに見惚れてしまう。
「玄関に置いておく?」
「うん、そうする。ありがとう。」
「段ボールある?」
「あるよ~。なんかごめんね。」
先日届いた荷物の段ボールを処分する前でよかった。
大輝くんは手早く窓の内側に段ボールを貼り付けてくれて、部屋は急に仄暗くなった。
「雪ちゃん。たぶんこれで大丈夫だと思う。そしたら俺帰るね。明日駅についたら連絡して。」
「えっ!?帰るの?」
「うん、じゃあ、明日ね!」
彼はそう言ってきた時と変わらない気軽さで帰って行ってしまった。外は暗くなり始めている。
ええ~、キスくらいあるかと思ってしまった・・・・・・。
そもそもずっと連絡なかったしな、今日久しぶりに会って、やっぱ違うって思ったのかも・・・・・・。
最後に週末思い切りセックスして、それで終わりにされちゃうかな。
ああ・・・・・・初回の私、見る目なさすぎ・・・・・・。
でも、少し鍛えただけであんなに雰囲氣変わるかな・・・・・・!?もしかしたらお洒落な彼女とかがいるのかもしれない。
彼女持ちには手は出さない主義だ。
とりあえずテレビを消してスマートフォンをさわりながら目を閉じた。
胸がいっぱいで夕食どころじゃなかった。
笑った顔、少し覗く八重歯、焼けた肌、大きな手を何度も思い出す。
初回のセックスは何度思い出そうとしても何も思い出せなかった。
寝る前に大輝くんからメッセージが来て胸が踊った。
「明日気をつけて来てね。」
最寄駅が記されたそれは簡単なもので、余計に心が焦れた。
翌日の金曜日、雨が降り出す前に家を出た。昼過ぎの外の空気は湿気を孕んでいる。
使い慣れない駅で降りて外に出ると、待ち合わせの場所に彼はいなくて、辺りを見回すと
大輝くんはちょうど来たところで、黒っぽいシャツを着た彼は大きく手を振って満面の笑みをくれた。
明るい人だな・・・・・・、とこちらも笑顔になる。
「買い物して帰ろ!」
「うん。」
つい私もにっこりと返してしまう。
大きな手をこちらに広げられる。
それに手を重ねると、ぎゅっと包み込む手のひらは熱くて、胸がどきりと音を立てた。
コンビニでたくさんお菓子やらお酒を買って、手を繋いで大毅くんのアパートへ歩く。少しずつ暗くなり始めて、雨がぱらぱらと落ちて来たので手を繋いだまま駆け足でアパートへ帰った。
まるで普通の爽やかなカップルみたいだな、と顔がにやける。
平凡なアパートに連れ込まれて、角部屋の玄関を入ると中は真っ暗だった。
「間に合ったね。広くも綺麗でもないけど、ゆっくりして。」
「ありがとう。」
それでも大輝くんの部屋はきちんと整頓されていて、少しだけ濡れた髪を柔軟剤の香りのする少し硬いタオルで優しく拭ってくれた。
「ね、雪ちゃん、知ってる?台風が来てる最中は、どんなに大きな声出しても雨と風の音が消してくれるんだよ。」
タオルで私の頭を包んだまま大輝くんが言った。
今日もセックスがなかったらどうしよう、なんて考えていたので、喉の奥がぎゅっと苦しくなった。
「え。」
にやけと笑いの半分みたいなだらしない顔になってしまった。
「あ、そういうつもりできてない?」
「ううん!そういうつもりで来た!」
「あっはは、なにそれ、そういうつもりで来たんだ?」
大輝くんは大きな声で笑った。勢いで答えてしまって、顔が熱くなるのを感じる。
「かーわいい。」
すっかり熱くなった頬に彼は唇をつけて、その後唇にキスをした。
「シャワーあびる?」
うんうん、と頭を振ると、優しくその頭を撫でられて、
バスルームに案内してくれた。うちのと同じくらいのバスルーム。
家から持ってきたトラベル用のシャンプー類を置いて、女用のシャンプーなんか並んでたらどうしよう、と探したけど緑色のトニックシャンプーしかなくてほっとした。
丁寧に体を洗ってバスルームを出ると、彼はドライヤーを手にソファで私を待っていた。
「乾かしてあげる。ここ座って?」
クッションを置いた床に誘われて素直にそこに腰を下ろすと、優しい手つきで私の長い髪を乾かしてくれる。
「俺も髪伸びてきたからさ、これ買ったばっかりなんだよ。少しいいやつ。」
いたずらっぽく彼が笑う。下から見上げると八重歯がよく見えた。
「雪ちゃんの髪すげえいい匂いする。」
ドライヤーを一瞬止めて、彼が頭にキスをした。
もう私、目なんかハートになっているんだろうな、どうしよう。
私の髪を乾かし終わると、大輝くんもバスルームへ消えた。
先に飲んでていいよ、なんて言われても胸がいっぱいでそれどころじゃなくて、なんとなくソファに座ってスマートフォンをいじっていた。
「雪ちゃんがうちにいるの、変な感じ。」
タオルで髪を拭いながら彼が出てきて、ボクサーパンツにTシャツだけを着て今度は床に座ったので、私がかわかしたげる、とドライヤーを握った。
「あ~気持ちいい。ムラムラするわ。」
「へっ?なんで?」
笑って尋ねると、大輝くんは頭をこちらに向けて笑った。
「雪ちゃんに会いたかったんだよね~ずっと。」
下から手を伸ばされて、顔を引き寄せられて唇を合わされる。
「ん、そうなの?」
「うん、俺めちゃくちゃ好みだったから声かけたからさ~軽いノリでナンパしてえっちまでしちゃって、後悔した~。絶対これで終わってしまうやんって思った・・・・・・。」
実際それきり数ヶ月連絡してなかったので、入ってきた舌にそっと答えるしかなかった。
舌先だけだったそれは徐々に全て入って来て、私の手からドライヤーが奪われて床に置かれた。そのままソファに押し倒される。
「ん、ふ。」
私の髪を大きな手が踏まないように何度も優しく避けてくれる。
キャミソールとお揃いのショーツしか着ていなかったから、胸を揉まれると先が尖ってるのがすぐにバレてしまう。
「大きいよね。色も真っ白でほんと可愛い。」
尖った先を布越しに爪で掻かれると、ぞわぞわと甘く痺れるように気持ちがいい。
それはついに布ごと大毅くんの口に咥えられて、口の中で今度は舌で擦られた。
「あ、あ。ね、ちゃんとして、脱がして。」
「は・・・・・・。やべえ興奮する。」
大輝くんは自分の着たばかりのシャツを脱ぎ捨てて、私のキャミソールを脱がせてくれた。
今度は見せつけるように舌先で胸の先を撫でられる。
八重歯の間からのぞく赤い舌がたまらなくセクシーだった。
胸を優しく食みながら、手が下に下りてショーツの傍から指がそこに触れた。
ひどく濡らしている自覚があったので、恥ずかしさから顔を逸らした。
「濡れてるね。」
大輝くんが優しく甘い声で言う。
「俺も一緒、ほら。」
促されて、大輝くんが突き出した腰に目を向ける。
ボクサーパンツは大きくそれの形に突き出していて、先には大きく染みが出来ていた。
「ほんとはシャワー浴びてる時からおさまらなかったんだよね。」
「ほんと?」
それの先にそっと触れると、びくりと大きく震えた。
「ん、駄目、ほんとに、俺ね、本当は雪ちゃんが鍛えてるのがいいって言ってたから筋トレしたんだよね。」
握った手のひらの中のそれは何度もびくびくと震えている。
ボクサーパンツのゴムに手をかけて下げると、ぶるんと勢いよく飛び出して来た。
その上にある腹筋は、まるでずっとそうだったかのように見事に割れている。
宥めるように手でさすると、それはとろんと涎をこぼした。
「ん、あ、は・・・・・・っ。駄目、ほんとに。雪ちゃ・・・・・・。」
「こんなに大きかったっけ?可愛い。大輝くん。」
今度は私が彼の顔を引き寄せて、手を上下させながらキスをした。彼の息ははっはっ、と忙しない。
「おれのそれなんて、あの時碌に見てもなかったでしょ。
そりゃ、今はめちゃくちゃ興奮してるからあの時よりでかくなってるかもしれないけど。」
たしかにそれのサイズなんて何も覚えていなかった。
「ね、コンドームつけたげる。」
ちゅ、とキスを終わらせて、お詫びのつもりでそう提案した。
「待って、待ってね。」
彼は中腰のまま移動して、隣の部屋から新品のパッケージを開けた。
セロファンを外して箱を開ける指が長くて見惚れてしまう。一枚ちぎって渡してくれたそれを丁寧に破いて取り出して、まだ昂ったままのそれに手を添える。
濡れている先をぺろんと舐め拭って、そっとそれを装着し終えると、勢いよく彼に押し倒された。
「雪ちゃん。雪ちゃんかわいい。」
ショーツをはぎ取られて、足を抱えられて彼が入ってくる。
「あ、ああっ!」
外ではシャッターを叩く雨音と風がやかましく音を立てている。
「はっ!大輝く、はげし、アアっ!!」
すっかり全部を埋め込んだ彼激しく腰を揺さぶってくる。ソファのスプリングも相まって私たちは激しく腰を振り合っていた。
「あっ!あ!駄目!大輝くん!イク!イッちゃう!」
筋肉のついた背中にしがみつくと、ぐっとより奥まで彼が入って来てぐりぐりと奥を抉ってくる。
「ぐ、うん、雪ちゃん、中すごいよ。」
私の痙攣と一緒に、大輝くんもびくびくと痙攣している。
「は~、もう少し堪能したかったのにな。」
体を少しだけ離して彼は笑った。
私に背を向けてコンドームを処理している彼の背中には、うっすらと爪の跡がついていた。
「ごめん、引っ掻いちゃった。」
その傷に唇をつけると、彼は振り向いて私の唇をキスをくれた。
ふたりでパンツだけ履いてお酒を飲んでつまみをつついて、だらだらとしている間も外は騒々しく雨風が鳴り響いている。
彼が飲む外国の缶ビールが積み上がっていく。
見慣れないそれのパッケージを眺めていると、彼は冷蔵庫から私の缶ビールと自分のを出して来た。
「雪ちゃんちに一本残していったの覚えてる?」
「あああれ、昨日飲んじゃった。」
ごちそうさま、と手を合わせる。
「もしかしてそれで俺のこと思い出して連絡くれた?」
「うんそう。よくわかったね?」
「残していったら俺のこと思い出すかなって思ってさ。わざと一本置いてったの。」
「そうなの?じゃあ思う壺だったんだ私。」
大輝くんが嬉しそうに私の頭を撫でる。
そのあと2人でひとつのカップラーメンを交代に食べて、もう一度セックスした。今度はちゃんとベッドで。
眠ってしまったらしく、微灯だけがついた薄暗い中で目が覚めると、外は台風真っ只中の轟音を轟かせている。
テレビが台風情報を流していた。
ベッドの上の大輝くんのスマートフォンが音を立てる。
「大輝くん~?電話~。」
「まじ?ごめん出て~。今手が濡れてる~。」
「でもこれテレビ電話だよ。」
「いいよ~。」
えっよくない。だって私裸だし。とりあえず脱ぎ捨ててあった彼の服を着て応答ボタンを押した。
「はい、ごめんなさい。大輝くん手が離せなくて。」
「あれっ?ああ、ごめんなさい。もしかして雪ちゃん?」
「はい。」
「ああ、そうなんだ。はじめまして大輝のだちの龍平です。」
「はじめまして。」
ひとなつこく笑う電話の彼は嬉しそうに笑っている。
「あのね、あいつずっと雪ちゃんに好かれるためにジム通ってて、いい奴だから、その、なんていうか。」
「あーーー!な、なにしゃべって。雪ちゃん!」
「出てって言ったじゃない。」
大輝くんが私の手からスマートフォンを取り上げる。
「なに?」
「窓ってどうしたらいい?ガムテープ貼るんだっけ?」
「だから早めに準備しとけって言うたやん、段ボール貼らんと意味ないから。あとガムテやなくて養生テープな。」
それからわたしの家でやってくれた手順を画面を見ながら説明して、
彼は電話を切った。
「なんか聞いた?」
スマートフォンをベッドに放り投げた彼がばつが悪そうに私に尋ねる。
「大輝くんがいいやつだって。」
「絶対それだけじゃないでしょ。」
ベッドに仰向けに倒れ込んだ彼の胸板に顔をのせる。
わたしの髪を優しく指ですいてくれる。
台風真っ只中の暗い部屋は、世界から切り取られたような気持ちになる。
2人きり、2人だけの世界。
その時外の轟音がより激しくなって、部屋の微灯がちらついてテレビが一度消えてまたすぐについた。
「あ、停電なるかな、少し待ってね。」
彼は私をおろして、スマートフォンを持ってベッドを離れた。
すぐに彼はキャンプ用のLEDランタンを持って戻ってきて、ベッドサイドに置いた。
ベッドに戻った彼は、薄手のブランケットに私を抱いたまま潜り込んだ。
「寒くない?」
「平気。」
部屋は一定の温度に保たれている。
しばらくして、また電気がちらついて、完全に部屋は暗闇になった。
大輝くんが手だけをブランケットから出してランタンをつけると、ブランケット越しにも部屋が明るくなるのがわかった。
「さっき、何話したの。」
内緒話みたいに彼が尋ねる。
「ないしょ。」
「どうせ俺のださい話でしょ。」
笑い顔のままキスされて、笑い顔のまま応じる。
舌が絡むと、手が胸を覆って、彼の下着の中のそれがすぐに反応しはじめた。
「あのね、雪ちゃん、俺、こんなんばっかしてるけど、ほんとにあの、やりたいだけとかじゃないから。」
唇を離して言った彼の顔が悲壮じみていて、思わず頭を撫でる。
「んふふ、知ってる。」
「なんで?やっぱりさっきなんか聞いたやろ?」
1、2回セックスしたいだけなら時間をかけて体を鍛えたりしないだろう。
「だから、ないしょ。」
そのままより狭くなった2人だけの世界で、ゆっくりとしたセックスをしていると、電気は復活した。
「少しだけやったね。」
うん、と答えた声も彼の口に飲み込まれる。
揺さぶられては、は、と息とも声ともつかない喘ぎが口から押し出される。
「はぁ、女の子って本当に気持ちが大事なんや、
初めての時と全然違う、中も濡れ方も。」
ああ、じゃあ私が調子良く大輝くんのことを好きになっちゃってるのなんかとっくにばれているんだ、とはずかしくなる。
「ん、気持ちいい・・・・・・。」
彼を抱きしめて告げると、中の彼は少し硬くなって震えた。
「うん、俺も。」
心と体が満たされても、どこかもどかしかった。
見た目だけじゃないとか、台風の間だけじゃないとか、そういう初めにパスしておかなければいけないやりとりが何もなかった。
「大輝くん。大輝くんがかっこよくなったから好きになったんじゃないよ。」
「うん?あ、ごめん少し動くね。」
大輝くんはゆるゆると出し入れを始めた。
「明るいところとか、話を聞いてくれるところとか、面倒見がいいところとか。いいところたくさんあるよね。
初めは私が気が付いてなかっただけ。」
「ん、ん。」
聞いているのかいないのか、彼は気持ちよさそうに顔を顰めて根本から先端までをゆっくり引き抜いてまた深く入れるのに夢中になっている。
「だから。」
「だから?」
ゆっくり先端までを引き抜いたところで止めて、先だけをちゅぽちゅぽ出し入れしながら意地悪い顔で彼が問う。
「だから・・・・・・!大輝くん私の彼氏になって・・・・・・!」
焦らされた彼のそれが、私が言い終わると同時に奥まで勢いよく入り込んでくる。
「アア・・・・・・ッ!!」
「んっ、ぎゅうぎゅう吸い付いてくる。」
大輝くんは返事も何もなく私の上で腰を振っている。
彼の汗が顎からぽたりと私に落ちるのが分かった。
「あ、ごめん。」
それを指で拭って、彼はいたずらっぽく笑った。
「雪ちゃん。いいよもちろん。俺の彼女。」
大輝くんはブランケットを捲って、そう言って笑った。
その後は電気が消えることもなく、大量に買い込んだ食料を消費しながら次の日の昼までを過ごした。
すっかり外が静かになったところで大輝くんがシャッターを上げる。
外はすっかり明るくて、窓際でこちらを向いている大輝くんがひときわ明るく見えた。
「もう大きな声でセックスは出来ないけど。」
大きな声でしたくなったらホテルに行こうね。
大輝くんはそう言って笑った。
私はすっかり台風が苦手じゃなくなっていて、
それでも家で1人過ごすのは寂しいと思った。
この薄暗い濃密な週末があまりにも明るく楽しかったせいで。
ああ、嫌だな。ずっと関東住みの私は最近たまにやってくる台風に慣れていない。
異様な風の音や不安を煽るテレビのニュースや、何もかもが嫌な気分にさせる。
せっかくの週末なのに。まだあと数日あるけど。
台風が来るなんて信じられないほど晴れている夏の終わりの日差しの中を買ったばかりの日傘の中に隠れるように家へ歩く。
家にビールあったかな。コンビニに寄るのは面倒くさい。
朝から履いているヒールがひどく蒸れて気持ち悪い。
部屋に着いて鍵を差し込む。一人暮らしする時には必要ないって親に言っていたくせにいざ一人で暮らし始めると、帰ってすぐにテレビをつけてしまう。
途端にひとりの部屋に賑やかな別の世界が始まる。
それなのに短いニュースから台風の進路を告げて水を差される。
ゆっくり座ってしまうと動けなくなるから、座るより先にシャワーを浴びる。伸ばし初めてしばらく経つ髪は背中まで伸びて洗うのも乾かすのも面倒くさい。
髪を洗いながらテレビをつけるよりエアコンをつけてきたらよかった、と後悔してももう遅い。
とりあえずさっさとバスルームを出てショーツだけを履いてエアコンをつける。
エアコンのあたる場所でドライヤーをかけながらスマートフォンをチェックする。
今日はなにも予定がない。
彼氏はしばらくいないけど、セックスするだけの相手ならスマートフォンの中に数人待機している。
週末、誰か一緒に過ごしてもらおうかな、ひとりだと不安だし、ふと思いついたその考えはものすごくいい案な気がした。
ドライヤーを当てながら、1番目に思いついたのは1番顔が好みな彼。あわよくば付き合うことにならないかな、なんていう淡い考えもほんの少しある。
でもいざ付き合ったらなんか違ったりするのかな、とも思う。
でも彼女とわかれたばっかりっていってたな。そんなどうでもいいことをつらつら考えて、
適当に週末の様子を窺うメッセージを送る。
髪が乾く前にメッセージは返ってきてしまった。
彼女とより戻したからごめん、という短いメッセージ。
そのまま連絡先を消去する。
次に思いついた先週会ったばかりの彼にメッセージを送る。
中世的な彼は予定もセックスする場所も何も決めてくれない。いつも私が予定を決めてホテルを決めてセックスする。ああ、面倒だな、そしてそんな彼と一緒にいたところでこの心細さが解消されるとは思えなかった。彼はやめにして、冷蔵庫を開ける。たった一本残った私がいつも飲むのとは違う銘柄の缶ビール。
もう数ヶ月は冷蔵庫の奥に転がっている賞味期限を確認しなければならないほど放置されたそれは、一度だけセックスしたナンパしてきた男が置いて行ったものだ。
それを取り出して缶を開けると、冷えに冷えたそれは意外と口に合った。
南の方の出身の彼は顔は濃いけどいまいち好みじゃなくて、一度だけセックスして疎遠になってしまった。
私は鍛えている人が好みだ。太ってはなかったけど引き締まってるって感じじゃなかった体を思い出す。そのあと連絡が来ないということは私も彼にはまらなかったんだろう。
そもそも連絡先、まだとってあるんだっけ。名前は何だったっけ。
え~っと、なんだっけ、顔が濃かったことしか覚えてない。メッセージをさらって必死に見つけ出す。
名前は大輝、最後に連絡を取ったのはもう2ヶ月も前、返事なんて来ないだろうな。そうなったら誰に連絡しよう。ああ寂しい、心細い。
いや、別にセックスしなくても、友だちと宅飲みでもよくない?そう思い直すとそっちの方が気楽でいいような気がしてくる。
大輝くんに連絡する前に、前日職場を辞めていった仲良しの後輩に電話をかける。
「ちよちゃん?今大丈夫?」
『あ~雪ちゃん先輩ですかあ?どうしました?』
「ちよちゃんって新しい仕事決まったんだっけ、週末仕事?」
『仕事は決まってないんですけど、彼氏と結婚することになったので色々決めることあって忙しいんですよ~。』
「えっ!えっ、そうなの?ええ~そうなんだあ、早いねえ。」
『はい~なんかぱぱっときまっちゃってえ、先輩も、
いつまでも適当にセフレとばっかり遊んでないでちゃんとした人と付き合った方がいいですよ~。』
「は~い。」
切る前の返事は適当になった。一緒に飲み歩いてる時は自分だって適当やってたくせに、急にマウント取ってきて、ああ・・・・・・嫌な気分だな。
ていうか、彼氏と付き合ってる時も何人かワンナイトしてたの知ってるぞ私。
ビールはぬるくなり始めている。
覚悟を決めて大輝くんに連絡を入れる。
これで断られたら、どうしようかな。色々買い込んで家で映画でも見ようかな。
テレビは本格的にニュースの時間帯になって、繰り返し台風への注意を呼びかけている。
週末遊べますか、のメッセージを送って数分、スマートフォンは音を立てて震えた。
「はい?」
『雪ちゃん?週末あいてるよ~。今ベランダ片付けてたとこ。雪ちゃんは片付けた?』
「ベランダ?」
数ヶ月前に一度きりしか会ってない相手だなんておおよそ思いもつかないような気軽さで大輝くんが話し始めるもんだから、質問の意味がすぐには理解できなかった。
『台風が来る前に片付けとかないと。まだだったら手伝いに行こうか?』
ベランダの片付けなんてもちろん準備もしていなかった。
「あ、まだ・・・・・・。」
『わかった!今から行っていい?週末になってからじゃ間に合わないよ、明日には雨が降る出すだろうし、その前に。』
「え、家、覚えてる・・・・・・?」
『おぼえてるよ!俺道とか覚えるの得意!』
本当に得意げに言うから、家を覚えられてる恐怖より可笑しさが先にきてしまって、笑い声になった。
まあ、家に連れてきたの自分だしね・・・・・・。
このノリの良さと明るさに釣られてナンパにも応じてしまったんだった、となんとなく思い出した。
週末の予定は埋まってしまった。
ええと、どうしよう、シャワーは浴びたばかりだけど、下着とかちゃんとしておいた方がいいかな。
飲みかけのビールを飲み干してしまって、服を着て脱衣所を適当に片付けていたらインターホンが鳴った。
カメラはついていないので、ドアスコープを覗く。
あれ?こんな人だったっけ?
スコープから覗いた彼はずいぶんと印象が変わっていて、思わずドアチェーンをかけて玄関を開けた。
「雪ちゃん!久しぶり!」
玄関から少し離れて立っている大輝くんは、手首に緑色の養生テープをはめてビニール袋を下げて満面の笑みで手を振った。
「あけて?」
「あ、ああ・・・・・・ごめんね?」
チェーンを外して彼を招き入れる。
「なんか少し、印象かわった、よね?」
靴を脱いでいる大輝くんにそう問うと、少しだけ首を傾げて笑った。
「あ、あ~。筋トレはまっちゃって・・・・・・。」
照れたように掻いた頭は黒髪がゆるく伸ばされていて、それもまた印象が変わって見えた。
「あのさあ雪ちゃん。」
「んん~?」
ベランダから外を覗く大輝くんが外を見たまま話しかける。
「ここ雨戸ないやろ?」
「雨戸?ないかも。」
「そんならさ、週末、俺んち来ない?うちのアパートシャッターついてるし、ここよりかは安全かも。」
「え、いいの・・・・・・?」
「いいよ、もちろん。雪ちゃんがいいなら。
ここのベランダは俺が片付けるから、明日にでもおいでよ、駅まで迎えに行くし。」
記憶の中より随分かっこよくなったワンナイトのはずだった彼は、そんな風に私に得しかない提案をしてくれた。
じゃあ、そうする。そう答えると、大輝くんは笑って頷いてベランダへ出た。
私の使っているベランダ用のスリッパに窮屈そうに足を詰め込んで、つま先立ちで移動する姿はたまらなくキュートに見える。今さらへらへらしたら調子のいい女って思われるかな。はじめ会った時の対応はとりかえしようがない。
「雪ちゃん、ゴミ袋持ってきて。」
「ゴミ袋?」
言われるままにキッチンからゴミ袋を一枚手にしてベランダの彼に渡す。大輝くんはかかったままのハンガーや折りたたみピンチを次々とゴミ袋に入れていく。最後に履いていたスリッパをベランダではたいてゴミ袋の中へしまい、簡単に縛った。小さいビニールで排水溝のゴミを簡単に取り除いて、縛ってくれる。
手際の良さに見惚れてしまう。
「玄関に置いておく?」
「うん、そうする。ありがとう。」
「段ボールある?」
「あるよ~。なんかごめんね。」
先日届いた荷物の段ボールを処分する前でよかった。
大輝くんは手早く窓の内側に段ボールを貼り付けてくれて、部屋は急に仄暗くなった。
「雪ちゃん。たぶんこれで大丈夫だと思う。そしたら俺帰るね。明日駅についたら連絡して。」
「えっ!?帰るの?」
「うん、じゃあ、明日ね!」
彼はそう言ってきた時と変わらない気軽さで帰って行ってしまった。外は暗くなり始めている。
ええ~、キスくらいあるかと思ってしまった・・・・・・。
そもそもずっと連絡なかったしな、今日久しぶりに会って、やっぱ違うって思ったのかも・・・・・・。
最後に週末思い切りセックスして、それで終わりにされちゃうかな。
ああ・・・・・・初回の私、見る目なさすぎ・・・・・・。
でも、少し鍛えただけであんなに雰囲氣変わるかな・・・・・・!?もしかしたらお洒落な彼女とかがいるのかもしれない。
彼女持ちには手は出さない主義だ。
とりあえずテレビを消してスマートフォンをさわりながら目を閉じた。
胸がいっぱいで夕食どころじゃなかった。
笑った顔、少し覗く八重歯、焼けた肌、大きな手を何度も思い出す。
初回のセックスは何度思い出そうとしても何も思い出せなかった。
寝る前に大輝くんからメッセージが来て胸が踊った。
「明日気をつけて来てね。」
最寄駅が記されたそれは簡単なもので、余計に心が焦れた。
翌日の金曜日、雨が降り出す前に家を出た。昼過ぎの外の空気は湿気を孕んでいる。
使い慣れない駅で降りて外に出ると、待ち合わせの場所に彼はいなくて、辺りを見回すと
大輝くんはちょうど来たところで、黒っぽいシャツを着た彼は大きく手を振って満面の笑みをくれた。
明るい人だな・・・・・・、とこちらも笑顔になる。
「買い物して帰ろ!」
「うん。」
つい私もにっこりと返してしまう。
大きな手をこちらに広げられる。
それに手を重ねると、ぎゅっと包み込む手のひらは熱くて、胸がどきりと音を立てた。
コンビニでたくさんお菓子やらお酒を買って、手を繋いで大毅くんのアパートへ歩く。少しずつ暗くなり始めて、雨がぱらぱらと落ちて来たので手を繋いだまま駆け足でアパートへ帰った。
まるで普通の爽やかなカップルみたいだな、と顔がにやける。
平凡なアパートに連れ込まれて、角部屋の玄関を入ると中は真っ暗だった。
「間に合ったね。広くも綺麗でもないけど、ゆっくりして。」
「ありがとう。」
それでも大輝くんの部屋はきちんと整頓されていて、少しだけ濡れた髪を柔軟剤の香りのする少し硬いタオルで優しく拭ってくれた。
「ね、雪ちゃん、知ってる?台風が来てる最中は、どんなに大きな声出しても雨と風の音が消してくれるんだよ。」
タオルで私の頭を包んだまま大輝くんが言った。
今日もセックスがなかったらどうしよう、なんて考えていたので、喉の奥がぎゅっと苦しくなった。
「え。」
にやけと笑いの半分みたいなだらしない顔になってしまった。
「あ、そういうつもりできてない?」
「ううん!そういうつもりで来た!」
「あっはは、なにそれ、そういうつもりで来たんだ?」
大輝くんは大きな声で笑った。勢いで答えてしまって、顔が熱くなるのを感じる。
「かーわいい。」
すっかり熱くなった頬に彼は唇をつけて、その後唇にキスをした。
「シャワーあびる?」
うんうん、と頭を振ると、優しくその頭を撫でられて、
バスルームに案内してくれた。うちのと同じくらいのバスルーム。
家から持ってきたトラベル用のシャンプー類を置いて、女用のシャンプーなんか並んでたらどうしよう、と探したけど緑色のトニックシャンプーしかなくてほっとした。
丁寧に体を洗ってバスルームを出ると、彼はドライヤーを手にソファで私を待っていた。
「乾かしてあげる。ここ座って?」
クッションを置いた床に誘われて素直にそこに腰を下ろすと、優しい手つきで私の長い髪を乾かしてくれる。
「俺も髪伸びてきたからさ、これ買ったばっかりなんだよ。少しいいやつ。」
いたずらっぽく彼が笑う。下から見上げると八重歯がよく見えた。
「雪ちゃんの髪すげえいい匂いする。」
ドライヤーを一瞬止めて、彼が頭にキスをした。
もう私、目なんかハートになっているんだろうな、どうしよう。
私の髪を乾かし終わると、大輝くんもバスルームへ消えた。
先に飲んでていいよ、なんて言われても胸がいっぱいでそれどころじゃなくて、なんとなくソファに座ってスマートフォンをいじっていた。
「雪ちゃんがうちにいるの、変な感じ。」
タオルで髪を拭いながら彼が出てきて、ボクサーパンツにTシャツだけを着て今度は床に座ったので、私がかわかしたげる、とドライヤーを握った。
「あ~気持ちいい。ムラムラするわ。」
「へっ?なんで?」
笑って尋ねると、大輝くんは頭をこちらに向けて笑った。
「雪ちゃんに会いたかったんだよね~ずっと。」
下から手を伸ばされて、顔を引き寄せられて唇を合わされる。
「ん、そうなの?」
「うん、俺めちゃくちゃ好みだったから声かけたからさ~軽いノリでナンパしてえっちまでしちゃって、後悔した~。絶対これで終わってしまうやんって思った・・・・・・。」
実際それきり数ヶ月連絡してなかったので、入ってきた舌にそっと答えるしかなかった。
舌先だけだったそれは徐々に全て入って来て、私の手からドライヤーが奪われて床に置かれた。そのままソファに押し倒される。
「ん、ふ。」
私の髪を大きな手が踏まないように何度も優しく避けてくれる。
キャミソールとお揃いのショーツしか着ていなかったから、胸を揉まれると先が尖ってるのがすぐにバレてしまう。
「大きいよね。色も真っ白でほんと可愛い。」
尖った先を布越しに爪で掻かれると、ぞわぞわと甘く痺れるように気持ちがいい。
それはついに布ごと大毅くんの口に咥えられて、口の中で今度は舌で擦られた。
「あ、あ。ね、ちゃんとして、脱がして。」
「は・・・・・・。やべえ興奮する。」
大輝くんは自分の着たばかりのシャツを脱ぎ捨てて、私のキャミソールを脱がせてくれた。
今度は見せつけるように舌先で胸の先を撫でられる。
八重歯の間からのぞく赤い舌がたまらなくセクシーだった。
胸を優しく食みながら、手が下に下りてショーツの傍から指がそこに触れた。
ひどく濡らしている自覚があったので、恥ずかしさから顔を逸らした。
「濡れてるね。」
大輝くんが優しく甘い声で言う。
「俺も一緒、ほら。」
促されて、大輝くんが突き出した腰に目を向ける。
ボクサーパンツは大きくそれの形に突き出していて、先には大きく染みが出来ていた。
「ほんとはシャワー浴びてる時からおさまらなかったんだよね。」
「ほんと?」
それの先にそっと触れると、びくりと大きく震えた。
「ん、駄目、ほんとに、俺ね、本当は雪ちゃんが鍛えてるのがいいって言ってたから筋トレしたんだよね。」
握った手のひらの中のそれは何度もびくびくと震えている。
ボクサーパンツのゴムに手をかけて下げると、ぶるんと勢いよく飛び出して来た。
その上にある腹筋は、まるでずっとそうだったかのように見事に割れている。
宥めるように手でさすると、それはとろんと涎をこぼした。
「ん、あ、は・・・・・・っ。駄目、ほんとに。雪ちゃ・・・・・・。」
「こんなに大きかったっけ?可愛い。大輝くん。」
今度は私が彼の顔を引き寄せて、手を上下させながらキスをした。彼の息ははっはっ、と忙しない。
「おれのそれなんて、あの時碌に見てもなかったでしょ。
そりゃ、今はめちゃくちゃ興奮してるからあの時よりでかくなってるかもしれないけど。」
たしかにそれのサイズなんて何も覚えていなかった。
「ね、コンドームつけたげる。」
ちゅ、とキスを終わらせて、お詫びのつもりでそう提案した。
「待って、待ってね。」
彼は中腰のまま移動して、隣の部屋から新品のパッケージを開けた。
セロファンを外して箱を開ける指が長くて見惚れてしまう。一枚ちぎって渡してくれたそれを丁寧に破いて取り出して、まだ昂ったままのそれに手を添える。
濡れている先をぺろんと舐め拭って、そっとそれを装着し終えると、勢いよく彼に押し倒された。
「雪ちゃん。雪ちゃんかわいい。」
ショーツをはぎ取られて、足を抱えられて彼が入ってくる。
「あ、ああっ!」
外ではシャッターを叩く雨音と風がやかましく音を立てている。
「はっ!大輝く、はげし、アアっ!!」
すっかり全部を埋め込んだ彼激しく腰を揺さぶってくる。ソファのスプリングも相まって私たちは激しく腰を振り合っていた。
「あっ!あ!駄目!大輝くん!イク!イッちゃう!」
筋肉のついた背中にしがみつくと、ぐっとより奥まで彼が入って来てぐりぐりと奥を抉ってくる。
「ぐ、うん、雪ちゃん、中すごいよ。」
私の痙攣と一緒に、大輝くんもびくびくと痙攣している。
「は~、もう少し堪能したかったのにな。」
体を少しだけ離して彼は笑った。
私に背を向けてコンドームを処理している彼の背中には、うっすらと爪の跡がついていた。
「ごめん、引っ掻いちゃった。」
その傷に唇をつけると、彼は振り向いて私の唇をキスをくれた。
ふたりでパンツだけ履いてお酒を飲んでつまみをつついて、だらだらとしている間も外は騒々しく雨風が鳴り響いている。
彼が飲む外国の缶ビールが積み上がっていく。
見慣れないそれのパッケージを眺めていると、彼は冷蔵庫から私の缶ビールと自分のを出して来た。
「雪ちゃんちに一本残していったの覚えてる?」
「あああれ、昨日飲んじゃった。」
ごちそうさま、と手を合わせる。
「もしかしてそれで俺のこと思い出して連絡くれた?」
「うんそう。よくわかったね?」
「残していったら俺のこと思い出すかなって思ってさ。わざと一本置いてったの。」
「そうなの?じゃあ思う壺だったんだ私。」
大輝くんが嬉しそうに私の頭を撫でる。
そのあと2人でひとつのカップラーメンを交代に食べて、もう一度セックスした。今度はちゃんとベッドで。
眠ってしまったらしく、微灯だけがついた薄暗い中で目が覚めると、外は台風真っ只中の轟音を轟かせている。
テレビが台風情報を流していた。
ベッドの上の大輝くんのスマートフォンが音を立てる。
「大輝くん~?電話~。」
「まじ?ごめん出て~。今手が濡れてる~。」
「でもこれテレビ電話だよ。」
「いいよ~。」
えっよくない。だって私裸だし。とりあえず脱ぎ捨ててあった彼の服を着て応答ボタンを押した。
「はい、ごめんなさい。大輝くん手が離せなくて。」
「あれっ?ああ、ごめんなさい。もしかして雪ちゃん?」
「はい。」
「ああ、そうなんだ。はじめまして大輝のだちの龍平です。」
「はじめまして。」
ひとなつこく笑う電話の彼は嬉しそうに笑っている。
「あのね、あいつずっと雪ちゃんに好かれるためにジム通ってて、いい奴だから、その、なんていうか。」
「あーーー!な、なにしゃべって。雪ちゃん!」
「出てって言ったじゃない。」
大輝くんが私の手からスマートフォンを取り上げる。
「なに?」
「窓ってどうしたらいい?ガムテープ貼るんだっけ?」
「だから早めに準備しとけって言うたやん、段ボール貼らんと意味ないから。あとガムテやなくて養生テープな。」
それからわたしの家でやってくれた手順を画面を見ながら説明して、
彼は電話を切った。
「なんか聞いた?」
スマートフォンをベッドに放り投げた彼がばつが悪そうに私に尋ねる。
「大輝くんがいいやつだって。」
「絶対それだけじゃないでしょ。」
ベッドに仰向けに倒れ込んだ彼の胸板に顔をのせる。
わたしの髪を優しく指ですいてくれる。
台風真っ只中の暗い部屋は、世界から切り取られたような気持ちになる。
2人きり、2人だけの世界。
その時外の轟音がより激しくなって、部屋の微灯がちらついてテレビが一度消えてまたすぐについた。
「あ、停電なるかな、少し待ってね。」
彼は私をおろして、スマートフォンを持ってベッドを離れた。
すぐに彼はキャンプ用のLEDランタンを持って戻ってきて、ベッドサイドに置いた。
ベッドに戻った彼は、薄手のブランケットに私を抱いたまま潜り込んだ。
「寒くない?」
「平気。」
部屋は一定の温度に保たれている。
しばらくして、また電気がちらついて、完全に部屋は暗闇になった。
大輝くんが手だけをブランケットから出してランタンをつけると、ブランケット越しにも部屋が明るくなるのがわかった。
「さっき、何話したの。」
内緒話みたいに彼が尋ねる。
「ないしょ。」
「どうせ俺のださい話でしょ。」
笑い顔のままキスされて、笑い顔のまま応じる。
舌が絡むと、手が胸を覆って、彼の下着の中のそれがすぐに反応しはじめた。
「あのね、雪ちゃん、俺、こんなんばっかしてるけど、ほんとにあの、やりたいだけとかじゃないから。」
唇を離して言った彼の顔が悲壮じみていて、思わず頭を撫でる。
「んふふ、知ってる。」
「なんで?やっぱりさっきなんか聞いたやろ?」
1、2回セックスしたいだけなら時間をかけて体を鍛えたりしないだろう。
「だから、ないしょ。」
そのままより狭くなった2人だけの世界で、ゆっくりとしたセックスをしていると、電気は復活した。
「少しだけやったね。」
うん、と答えた声も彼の口に飲み込まれる。
揺さぶられては、は、と息とも声ともつかない喘ぎが口から押し出される。
「はぁ、女の子って本当に気持ちが大事なんや、
初めての時と全然違う、中も濡れ方も。」
ああ、じゃあ私が調子良く大輝くんのことを好きになっちゃってるのなんかとっくにばれているんだ、とはずかしくなる。
「ん、気持ちいい・・・・・・。」
彼を抱きしめて告げると、中の彼は少し硬くなって震えた。
「うん、俺も。」
心と体が満たされても、どこかもどかしかった。
見た目だけじゃないとか、台風の間だけじゃないとか、そういう初めにパスしておかなければいけないやりとりが何もなかった。
「大輝くん。大輝くんがかっこよくなったから好きになったんじゃないよ。」
「うん?あ、ごめん少し動くね。」
大輝くんはゆるゆると出し入れを始めた。
「明るいところとか、話を聞いてくれるところとか、面倒見がいいところとか。いいところたくさんあるよね。
初めは私が気が付いてなかっただけ。」
「ん、ん。」
聞いているのかいないのか、彼は気持ちよさそうに顔を顰めて根本から先端までをゆっくり引き抜いてまた深く入れるのに夢中になっている。
「だから。」
「だから?」
ゆっくり先端までを引き抜いたところで止めて、先だけをちゅぽちゅぽ出し入れしながら意地悪い顔で彼が問う。
「だから・・・・・・!大輝くん私の彼氏になって・・・・・・!」
焦らされた彼のそれが、私が言い終わると同時に奥まで勢いよく入り込んでくる。
「アア・・・・・・ッ!!」
「んっ、ぎゅうぎゅう吸い付いてくる。」
大輝くんは返事も何もなく私の上で腰を振っている。
彼の汗が顎からぽたりと私に落ちるのが分かった。
「あ、ごめん。」
それを指で拭って、彼はいたずらっぽく笑った。
「雪ちゃん。いいよもちろん。俺の彼女。」
大輝くんはブランケットを捲って、そう言って笑った。
その後は電気が消えることもなく、大量に買い込んだ食料を消費しながら次の日の昼までを過ごした。
すっかり外が静かになったところで大輝くんがシャッターを上げる。
外はすっかり明るくて、窓際でこちらを向いている大輝くんがひときわ明るく見えた。
「もう大きな声でセックスは出来ないけど。」
大きな声でしたくなったらホテルに行こうね。
大輝くんはそう言って笑った。
私はすっかり台風が苦手じゃなくなっていて、
それでも家で1人過ごすのは寂しいと思った。
この薄暗い濃密な週末があまりにも明るく楽しかったせいで。
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