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31 初めてのおともだち
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私は聖務室で大司教と向き合う。
先ほど拝謁した大聖女の様子を報告すると、大司教の顔が安堵に目を細める。
「やはり大聖女の不調は、あなたの甘味で和らぐようだ。引き続き、菓子を――」
「残念ですが、それだけでは良くなりません」
はっきり告げると、大司教の眉が跳ね上がった。
「なんだと? では薬か?」
「いいえ。問題は“大聖女の保護体制”です。あの部屋は薄暗く、遊具もなく……なにより、人と会えません」
そう説明しても、大司教は腑に落ちないという表情のままだ。
この世界では、それがどれほど重い影響を持つか、十分に理解されていないのだろう。
「大聖女様は、孤独なんです」
「孤独……だと? しかし、あの方はいつも毅然としている」
「幼くても、無理をされているんです」
雷に驚き、私へ伸びかけてすぐ引っ込んだ小さな指先を思い出し、胸がぎゅっと痛む。
「まず必要なのは、安心できる環境です。しかも、早急に」
大司教は考え込むように目を伏せ、やがて深く頷いた。
「……わかった。聖女の目線で規律を改めよう。あなたにも協力してほしい」
「もちろん、お受けいたします」
聖務室を出ると、大司教は待っていた公爵へ歩み寄った。
「閣下の奥方に、大聖女の治癒への協力を依頼した」
教会の極秘を明かされ、公爵は静かに耳を傾ける。
「アルージュ夫人の負担は教会も全力で支える。ただ、日々の細かなことは及ばぬだろう。彼女のこと、閣下なら任せられる」
「妻のためですから、もちろんです」
「……溺愛ぶりは噂通りだな」
「猊下こそ、アルージュを大切に思っているようですね」
二人は認め合うような視線を交わし、頷き合っている。
会ったときの険悪ムードはきれいさっぱり消えていて、私だけ置いてけぼりなんですけど。
(大聖女と話している間に、二人の間でなにがあったの……?)
◇
翌日。
大聖女の間の重いヴェールは外され、階下には明るい部屋が用意された。
今日からここが、大聖女の遊び部屋として開放されることになった。
(ここで過ごせば、心の栄養になるはず)
やがて、侍女たちに案内され、大聖女が入ってくる。
「アルージュさま! またおあいできて、とてもうれしいです。あの……そちらのおかたは?」
大聖女はエトワールの紫髪に気づくと、はっとしたように表情を曇らせた。
――おそらく、例の啓示。『紫髪の幼子が凶獣を呼ぶ』という、不吉な光景がよぎったのだろう。
私は大聖女に向き合い、穏やかに微笑みかける。
「私の息子、エトワールです。エト、大聖女様にご挨拶を」
エトワールは胸の前で手を揃え、丁寧にお辞儀した。
「はじめまちて。ロブロフォンこうしゃくけの、こうけいしゃ、エトワールです。おかぁしゃまの、むすこでしゅ」
緊張したのか、予定より説明が増えているけれど、とても上手に挨拶をしている。
「どうぞ、よろしく、おねがいちます!」
「よ、よろしくおねがいいたします。エトワールさま……」
大聖女は恐る恐る、にっこり笑顔のエトワールと目を合わせた。
こわばっていた表情はみるみるうちに柔らかくなり、ぽつりと呟いた。
「……とても、やさしそうですわ」
「だいせいじょしゃま、みてくだしゃい!」
部屋の壁際には、召喚したおもちゃだけでなく、公爵家の使用人たちが趣味で作りはじめた手作りおもちゃもずらりと並んでいる。
「エトは、いっしょに、あそびたいです!」
「あそぶ……?」
「はい。ここは大聖女様の遊び部屋です」
「えっ」
「どうぞ、ご自由になさってください」
たくさんのおもちゃを前にしても、大聖女は緊張したように立ち尽くした。
「……わたくし、あそんだことがありませんの」
その心細そうな声を聞き、エトワールがすかさずパペットを片手にはめる。
「これは、こうちて、パクパクってちます!」
「パクパク……あっ。てぶくろみたいにして、どうぶつがおはなししますのね!」
「あい! エトは、がおーのねこたんになりましゅ! だいせいじょしゃまは?」
エトワールは期待に瞳をキラキラさせ、大聖女を見つめる。
「エト、あの……わたくしのなまえは、その……」
「おなまえ、ひみつしましゅ。おじぃちゃんと、だいじなやくそく」
私が頷くと、大聖女の表情がぱっと明るくなる。
迷いなく鳥のパペットを取り上げ、片手につけた。
「ぴよぴよ! わたくし、レオノールといいますの!」
「レオしゃま! エトはがおーって、そらをとびましゅ! しょれー!」
「レオ……!」
そう呼ばれた嬉しさが溢れるように、大聖女の頬が染まる。
「ふふっ、レオもパタパタとびますわ!」
二人はあっという間に打ち解けたようだ。
声を弾ませ、仲良くおもちゃで遊びはじめる。
大聖女はエトワールを真似るよう、同じものに手を伸ばしている。
やがてカラフルな箱に目を留めると――ためらいながらも、はじめて自分から取る。
「これは、なにかしら? きゃあっ!」
突然、箱から何かが飛び出す。
大聖女は反射的に箱を落とし、身を縮めた。
「あっ。わたくし、おもちゃをこわして……?」
「びっくりばこでしゅ!」
エトワールがニコニコしながら説明すると、大聖女は恐る恐る箱を覗き込む。
そこからキリンの長い首がビョーンと出ていた。
「……ふふっ、あははっ!」
驚きから一転、大聖女の屈託のない笑い声が響いた。
その様子に、控えている侍女たちは目を見開き、息を呑んでいた。
(大聖女様がこんな風に笑うのは、はじめてなのかもしれないわね)
その後も人形遊び、ドールハウス、積み木――
エトワールは遊び方を教えたり、“お姉ちゃんの後をついて回る弟”みたいに、大聖女をちょこちょこ追いかけたり。
今は並んで座って絵本を開き、一緒に声を重ねて読んでいる。
「こんなにわらったの、はじめてですわ!」
夕刻の鐘が鳴るころ。大聖女は昨日の別れよりしっかりとした声で聞いた。
「エト、またあそびにきてくださったら……うれしいですわ」
「おともだちだから、きましゅ!」
「お……おともだちって、わたくしのこと?」
「あいっ!」
大聖女は目を丸くし、それから頬を染めてはにかむ。
「……おともだち、ですわね。そうよばれるのは、はじめてですの」
「あしたも、いっぱいあそびましゅ!」
大聖女は、元気いっぱいに頷く。
「たのしみですわ!」
廊下に出ると、小窓から覗いていた司祭たちが顔を見合わせていた。
「本当に、これでご快復されるのだろうか?」
「ただ……笑顔は確かにあった。それに聖騎士たちが大司教から指示を受けていたようだ。別の策もあるのだろう」
そんな声を背に、私はエトワールの手を引いて聖務室へ向かった。
扉を開けると、大司教は深く息をついて微笑んだ。
「公爵夫人、あなたの言う通りだ。大聖女はみるみるうちに顔色が良くなっている」
「まだ始まったばかりです。あの件、進めていただけていますか?」
「もちろん。大聖女の快復のためだ」
ほんの少し迷いはあった。
(でも、あの子を守るほうがずっと大事よ!)
そして五日後。
私の提案を受け、大司教はついに異例の決断を下した。
大聖堂の巨門が重い音を立てて閉じられ、往来する人々が驚きに足を止める。
「門が閉じられた!?」
「いったい何が……!?」
「本日、大聖堂は一日封鎖とする!」
門前の聖騎士が高々と宣言する。
「ただいまより、大聖女様の祈祷の舞が執り行われる!」
祈りの鐘が青空に鳴り響き、前代未聞の全面封鎖が告げられた。
先ほど拝謁した大聖女の様子を報告すると、大司教の顔が安堵に目を細める。
「やはり大聖女の不調は、あなたの甘味で和らぐようだ。引き続き、菓子を――」
「残念ですが、それだけでは良くなりません」
はっきり告げると、大司教の眉が跳ね上がった。
「なんだと? では薬か?」
「いいえ。問題は“大聖女の保護体制”です。あの部屋は薄暗く、遊具もなく……なにより、人と会えません」
そう説明しても、大司教は腑に落ちないという表情のままだ。
この世界では、それがどれほど重い影響を持つか、十分に理解されていないのだろう。
「大聖女様は、孤独なんです」
「孤独……だと? しかし、あの方はいつも毅然としている」
「幼くても、無理をされているんです」
雷に驚き、私へ伸びかけてすぐ引っ込んだ小さな指先を思い出し、胸がぎゅっと痛む。
「まず必要なのは、安心できる環境です。しかも、早急に」
大司教は考え込むように目を伏せ、やがて深く頷いた。
「……わかった。聖女の目線で規律を改めよう。あなたにも協力してほしい」
「もちろん、お受けいたします」
聖務室を出ると、大司教は待っていた公爵へ歩み寄った。
「閣下の奥方に、大聖女の治癒への協力を依頼した」
教会の極秘を明かされ、公爵は静かに耳を傾ける。
「アルージュ夫人の負担は教会も全力で支える。ただ、日々の細かなことは及ばぬだろう。彼女のこと、閣下なら任せられる」
「妻のためですから、もちろんです」
「……溺愛ぶりは噂通りだな」
「猊下こそ、アルージュを大切に思っているようですね」
二人は認め合うような視線を交わし、頷き合っている。
会ったときの険悪ムードはきれいさっぱり消えていて、私だけ置いてけぼりなんですけど。
(大聖女と話している間に、二人の間でなにがあったの……?)
◇
翌日。
大聖女の間の重いヴェールは外され、階下には明るい部屋が用意された。
今日からここが、大聖女の遊び部屋として開放されることになった。
(ここで過ごせば、心の栄養になるはず)
やがて、侍女たちに案内され、大聖女が入ってくる。
「アルージュさま! またおあいできて、とてもうれしいです。あの……そちらのおかたは?」
大聖女はエトワールの紫髪に気づくと、はっとしたように表情を曇らせた。
――おそらく、例の啓示。『紫髪の幼子が凶獣を呼ぶ』という、不吉な光景がよぎったのだろう。
私は大聖女に向き合い、穏やかに微笑みかける。
「私の息子、エトワールです。エト、大聖女様にご挨拶を」
エトワールは胸の前で手を揃え、丁寧にお辞儀した。
「はじめまちて。ロブロフォンこうしゃくけの、こうけいしゃ、エトワールです。おかぁしゃまの、むすこでしゅ」
緊張したのか、予定より説明が増えているけれど、とても上手に挨拶をしている。
「どうぞ、よろしく、おねがいちます!」
「よ、よろしくおねがいいたします。エトワールさま……」
大聖女は恐る恐る、にっこり笑顔のエトワールと目を合わせた。
こわばっていた表情はみるみるうちに柔らかくなり、ぽつりと呟いた。
「……とても、やさしそうですわ」
「だいせいじょしゃま、みてくだしゃい!」
部屋の壁際には、召喚したおもちゃだけでなく、公爵家の使用人たちが趣味で作りはじめた手作りおもちゃもずらりと並んでいる。
「エトは、いっしょに、あそびたいです!」
「あそぶ……?」
「はい。ここは大聖女様の遊び部屋です」
「えっ」
「どうぞ、ご自由になさってください」
たくさんのおもちゃを前にしても、大聖女は緊張したように立ち尽くした。
「……わたくし、あそんだことがありませんの」
その心細そうな声を聞き、エトワールがすかさずパペットを片手にはめる。
「これは、こうちて、パクパクってちます!」
「パクパク……あっ。てぶくろみたいにして、どうぶつがおはなししますのね!」
「あい! エトは、がおーのねこたんになりましゅ! だいせいじょしゃまは?」
エトワールは期待に瞳をキラキラさせ、大聖女を見つめる。
「エト、あの……わたくしのなまえは、その……」
「おなまえ、ひみつしましゅ。おじぃちゃんと、だいじなやくそく」
私が頷くと、大聖女の表情がぱっと明るくなる。
迷いなく鳥のパペットを取り上げ、片手につけた。
「ぴよぴよ! わたくし、レオノールといいますの!」
「レオしゃま! エトはがおーって、そらをとびましゅ! しょれー!」
「レオ……!」
そう呼ばれた嬉しさが溢れるように、大聖女の頬が染まる。
「ふふっ、レオもパタパタとびますわ!」
二人はあっという間に打ち解けたようだ。
声を弾ませ、仲良くおもちゃで遊びはじめる。
大聖女はエトワールを真似るよう、同じものに手を伸ばしている。
やがてカラフルな箱に目を留めると――ためらいながらも、はじめて自分から取る。
「これは、なにかしら? きゃあっ!」
突然、箱から何かが飛び出す。
大聖女は反射的に箱を落とし、身を縮めた。
「あっ。わたくし、おもちゃをこわして……?」
「びっくりばこでしゅ!」
エトワールがニコニコしながら説明すると、大聖女は恐る恐る箱を覗き込む。
そこからキリンの長い首がビョーンと出ていた。
「……ふふっ、あははっ!」
驚きから一転、大聖女の屈託のない笑い声が響いた。
その様子に、控えている侍女たちは目を見開き、息を呑んでいた。
(大聖女様がこんな風に笑うのは、はじめてなのかもしれないわね)
その後も人形遊び、ドールハウス、積み木――
エトワールは遊び方を教えたり、“お姉ちゃんの後をついて回る弟”みたいに、大聖女をちょこちょこ追いかけたり。
今は並んで座って絵本を開き、一緒に声を重ねて読んでいる。
「こんなにわらったの、はじめてですわ!」
夕刻の鐘が鳴るころ。大聖女は昨日の別れよりしっかりとした声で聞いた。
「エト、またあそびにきてくださったら……うれしいですわ」
「おともだちだから、きましゅ!」
「お……おともだちって、わたくしのこと?」
「あいっ!」
大聖女は目を丸くし、それから頬を染めてはにかむ。
「……おともだち、ですわね。そうよばれるのは、はじめてですの」
「あしたも、いっぱいあそびましゅ!」
大聖女は、元気いっぱいに頷く。
「たのしみですわ!」
廊下に出ると、小窓から覗いていた司祭たちが顔を見合わせていた。
「本当に、これでご快復されるのだろうか?」
「ただ……笑顔は確かにあった。それに聖騎士たちが大司教から指示を受けていたようだ。別の策もあるのだろう」
そんな声を背に、私はエトワールの手を引いて聖務室へ向かった。
扉を開けると、大司教は深く息をついて微笑んだ。
「公爵夫人、あなたの言う通りだ。大聖女はみるみるうちに顔色が良くなっている」
「まだ始まったばかりです。あの件、進めていただけていますか?」
「もちろん。大聖女の快復のためだ」
ほんの少し迷いはあった。
(でも、あの子を守るほうがずっと大事よ!)
そして五日後。
私の提案を受け、大司教はついに異例の決断を下した。
大聖堂の巨門が重い音を立てて閉じられ、往来する人々が驚きに足を止める。
「門が閉じられた!?」
「いったい何が……!?」
「本日、大聖堂は一日封鎖とする!」
門前の聖騎士が高々と宣言する。
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