魔王の子

烏帽子 博

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第一章

飛んで飛んで

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ジンの家に着いた次の日、家の周りの草刈りをした。

セーラが斬撃を飛ばすと必要以上に行ってしまい、森の木も少し倒れた。

タマが水の刃で草を刈ったら地面が沼っぽくぐちゃぐちゃになった。

フウリンがお手本を見せてくれた。結界を作って、範囲を決めてウィンドカッターで草を切って、結界を小さくして草を集める。
集めた草を炎の魔法で燃やして、燃えカスに水魔法、さいごは土魔法で地面を均して終了だ。

フウリンは、自分の得意な風系統以外も、初級レベルは使えるそうだ。

私は、結界に覚えさせたいからとお願いしたら、気安くやってくれた。


一通り家の周りがきれいになると

「はい はい はい」
パン パン パン
と フウリンが手をタタキながら
「集合!」
って 声をみんなにかけた。

「これから、ジン以外みんな飛べるようにするから。
ついてきてよ~」

フウリン曰く「飛ぶには結界のコントロールが全て」だそうだ

私は元々結界が得意 というか結界しか出来ないタイプなので、簡単に思えた。

最初は、そのへんの石ころを結界で包んで浮かす。
それができたら、もっと大きい物。
それに馴れたら自分の体

イメージさえちゃんと作れれば、私は意外と簡単にできた。

私が家の周りを飛んでると
ー マオマオ、1回降りてきて ー

ー みんな聞いてね。マオマオが飛べるようになったタイミングで、注意事項を言うわよ。ー

ー 墜落が一番恐いわね。地面に叩きつけられるんだから。

フウリンは、この後どんな時に墜落事故が起きるかの例を幾つか話した。
そして

ー 最後になるけど、これだけは絶対守って。
私が許可するまでは、一人では飛ばないこと。
もしもの時に仲間が居れば事故にならずに済むからね ー

ー はい、解散して各自練習。マオマオは、私と飛ぼうか
ついてきてよ ー

フウリンが飛び上がった。
私もそれに続いた。

二人はスピードを上げながら高度をどんどん上げて行った。
ジンの家が豆粒みたいに小さく見える。

ー 息苦しくない ー
ー はい 少し苦しくなりました ー

ー これが、高い所は空気が薄くて、苦しくなるってことよ。それと寒さね ー

その時突風が吹いた

「キャー」私は、なんとか持ちこたえたけど、フウリンがキリモミ状態で落ちていった。

私は、すぐにもう一つ結界をフウリンに張った

「ふぅ~ 助かったわ。マオマオ ありがとう
もういいわ、結界解いて」

ー フウリン わざとでしょ ー

ー あら?何でそう思うの ー

ー タイミングが良すぎます ー

ー そっか じゃ今度は、スピード上げて行こうか。ー

どんどん速く飛び、私が追い付くとフウリンはもっとスピードを上げる。何度かそうすると、周りが熱くなった

ー 熱いですね ー

ー これは流れ星と同じことがおきてるからよ
空気の中のホコリとかが、結界が通る時に摩擦で燃えるの
マオマオは、結界の中や体の温度調節とか、できる?ー

ー 無意識で結界がしてくれてるみたいです ー

ー あなたの結界 便利ね。
普通は意識して魔力使って寒さや暑さに対応するのよ ー

ー 普通ですか?空飛んで体温調節できたら、もう普通とは言えないんじゃ ー

ー アハハ そうね。マオマオが凄いから、自分が普通に思えたわ。
可笑しいわよね。確かに。
アハハ ー

ー ふふふ ー

その後は、急旋回、急上昇、回転などを繰り返してから、ドッグファイトをやって、ジンの家に戻った

戻ってみると、みんなフワフワ浮かべるようにはなったみたいだ。





それから十日後
みんなが、自由に飛べるようになった。

ー 今日は、折角みんなが飛べるようになったんだから、ドッグファイトといきましよう。

最初はハンデ戦で、マオマオ対タマ・ポコ・セーラ軍よ

ルールは、
戦闘は無し、スピードレベル3以下は失格
とにかく後ろについて、今から支給するカラーボールを相手に投げて当てたら勝ちよ。



みんなボールはあるわね
では、始め! ー


私は、高く高く飛び上がった。
私を追ってタマたちが来る。

私は水平飛行に移ると見せかけて急降下した。

タマ・ポコ・セーラとすれ違いセーラの下で反転した。

セーラの背後を狙えると思ったがセーラはすぐに水平飛行に移って逃げている。

タマはしつこく私を追って急降下から反転と私を下から追い上げる体制になってる

ポコがあたふたして背面飛行になるところ、ボールを飛ばしてヒットした。

「まず一機」

しかし その時タマが撃ってきた。
私は横に円を描くとタマのボールは私をかすめていった。

「危なかった」

タマも、そのまま円を描いて追ってこようとしたけど、わたしの方が小さく円を描いてる。

3周目位でタマの後ろにつけて、ボールをぶつけた。

その時、突然セーラの魔力が大きく感じられた
私は、セーラにしとめられた。
セーラは魔力を飛ぶのにぎりぎりまで絞って、私とタマの様子を見ていたようだ。


ー はい、ゲームオーバーよ
勝者は、セーラ・ポコ・タマ チームね。おめでとう!ー

ー なんだかなぁ~わたし真っ先にやられて何も出来なかったなぁ~ ー

ー でもポコが囮になってくれたから、わたしもマオマオを狙えるチャンスが出来たし。その流れでセーラが決めたんだから、ポコは役にたったのよ。ー

ー ポコ タマの言うとおりよ。
獲物を仕留めようとする時は、動物でも私たちでも、獲物に意識を集中するからね。
その時が一番警戒心がゆるむのよ。
タマもセーラも上手くその時を狙ったわ ー

ー だけど わたしポコを狙った頃から、セーラがどこに居るのか全然わからなかった。
空の中で雲も無いのに、どこに隠れてたの ー

ー 光魔法で自分を光らせながら、なるべく太陽を背にする位置にいて、攻撃のタイミングを待ってたら、タマがマオマオを誘導してきてくれたの。
わたしは撃っただけ。タマのお陰よ。ー

ー ヘェ~そうなんだ。タマはセーラのいる場所は、わかってたの ー

ー ポコ 当然わかっていたわよ。わたしの探知スキル知ってるでしょ ー

ー そっかぁ 光るとか探知とか いいわね~
羨ましいな~ ー

ー なに言ってるのよポコ。
あなたには変身の他に風魔法があるじゃない。
空の中にいて、風を自在に扱えたら最強だと思うけど。
それに、風使いのフウリンが先生なんだから、あなたが一番色々教えてもらえるのよ。
私たちの方が羨ましいわよ ー

ー マオマオ、ごめん。
なんかみんなが凄く思えて、ちょっと遠い存在な気がしてさ。
お陰で元気でた!
私も頑張るからね!ー


ー はい、それじゃあみんな、2回戦行くよ。
ちょっとルールを変えるよ。

さっき同様攻撃以外は魔法も許可します。

マオマオには悪いけど、結界で相手を捕まえるのは無しね。
他の人も光の檻とか水牢とかそれ系は無しよ。

そして今回のキモは、チーム戦じゃ無くて乱戦。
自分以外は全員敵よ。
スピードの縛りも無くします。
上空500mで4人が四角く500m間隔になってからスタートします。
ちょっと面白くしたいから4人の真ん中に竜巻セットするね。

それじゃあ スタート ー

私の右側にセーラ、左側にタマ、竜巻で見えないけど正面がポコだ

セーラは光だしてる、そして光が3つに分裂した。
イテティ作戦ね

タマは、水魔法で雲を作って、その中に隠れている。
いや、次々と雲を作りながら移動している。

ポコは竜巻の向こう側だからおいといて、やっぱさっきやられたセーラを攻めよう。

セーラの作る光の球は、9つに増えていた。
それらが複雑に動き回っている。
魔力探知で本体を探る。
一つだけ魔力が大きく感じられる光に向かってボールを撃ち出す。

ボールが当たった光の球は、消滅したが、セーラはそこに居なかった。

わざと、魔力の高いのを作って、誘ったのね。
となると、今ヤバいのは、こっち!

ボールがセーラから撃ち出されて、セーラは又光の中に消えた。

セーラのボールをなんとか避けたら、別方向からボールが来てヒットした。

驚いて、確認すると、竜巻の中にポコが消えて行く所だった。

完敗ね。
そう、ポコは風魔法が得意なんだった。竜巻の反対側に居ると思いこんでた、私の油断が敗因ね。
ここからは、私は観戦者ね。


ポコが竜巻に身を隠すと、セーラが光を消してタマに向かった。

セーラのボールがタマをかすめてタマもボールを放つ

お互い避けて、逃げたり、ボールを放ったりしながら、追いつ追われつの空中戦を繰り広げ始める。

少しして、そこにポコが参戦してきた。

三つ巴の空中戦を期待したが、ポコはセーラと組んだようだ。

ポコとセーラが二人がかりでタマを追い詰めるが、ぎりぎりでタマはかわして逃げながら、たまに逆襲している。

タマはスピードを上げて上空へと逃げてから旋回して、ポコの後ろについた。

セーラがそのタマを、狙いボールを撃ち出す。
タマもポコを狙いボールを撃つ

セーラのボールは、タマを、かすめて外れたが、タマのボールはポコにヒットした。

タマの飛行能力は、格段に良くなってる。その上探知能力でボールを避けるのが上手い。

これで、あとはタマとセーラの一騎打ちだ。

ー あ~あ、またやられちゃった~ ー
ポコがボヤいてきた

ー タマに勝つには、作戦が必要ね ー

ー うん、そう思ってセーラと組んだんだけど、タマの方が上だったわ
やっぱり奇襲の方がよかったかなぁ~ ー

ー そうかもね。一対一でどっちが勝つかな ー

ー タマじゃないかしら、よほど上手く奇襲しないと、探知でみんな避けられちゃいますから。ー

ー そうね。でもセーラって奥の手を隠してそうな気がしてさ。
さっき私が攻撃したときだって、ダミーにやられたし ー

タマとセーラは、どちらも決め手に欠くようで空中戦をしている。

タマの方が飛行能力は上だと思っていたけど、セーラは全然負けてなかった。
セーラは、全力をなかなか見せないんだな。

タマは、竜巻の中に突っ込んで行った。
セーラも躊躇せず後を追って竜巻の中に入って行く。
二人の魔力を便りに動きを探ると、激しく二人とも動いているのが感じられる。

セーラが竜巻から飛び出してきた、それを追ってタマも出てきた。

セーラは急上昇した
それを追ってタマも急上昇した
その時

ピカッ!
閃光に視界を奪われた。

タマが、フワフワと降りてきた。

ー 勝者、セーラ!ー

セーラは、光の粒を撒きながらウイニングフライをして降りてきた。

「母さんみたいだ!」ジンが涙ぐんでセーラを見ている。

ー 後は編隊飛行をやるからね。
そうね、チーム名をブルーエンジェルズにしましょう。ー

ー えっ? シャル ウィ ファイト じゃなくて?ー

ー 何それ!私も入るのよ!嫌よそんなダサい名前!
誰が付けたのよ! ー

ー ぼく……だけど…… ー

ー エンジェルたち、それじゃあ説明に入るわね ー

フウリンは、ジンをそれ以上責めるのは かわいそうだと思ったのか、話を進めた。

フウリンが地面に土魔法で図面を書いて、説明する。

図面のように編隊を組んで飛ぶ練習を始めた。

早すぎても遅すぎてもダメ。
風向きにも注意して、仲間の魔力を感じながら、それに自分の魔力やスピードを合わせてゆく。

ー マオマオ、それじゃあ空中衝突するわよ。強と弱の中間で。
ポコ、もう少しパワー下げて、みんなに合わせる。
タマ 気が早いわ。あなた動きが一拍早いわ。
セーラ みんなの様子見すぎよ、ちゃんとリズム刻んで動く。ー

フウリン先生は、スパルタだ


ー みんな~ ご飯だよ~ ー

フウリンが来てからは、ジンが主夫で家事全般をやっている。

午後の剣舞の練習の為に、しっかり食べないと、体が持たないわ。




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