魔王の子

烏帽子 博

文字の大きさ
18 / 22
第二章

密偵ポコ

しおりを挟む
ポコを乗せた船は、速度を増し窓の外は光が流れて行く。

ー ジン 聞こえる?ー
ー フウリン 聞こえる?ー

やばい!逃げ出さなきゃ!

しかし、その時は既に『リンク』も使える状態ではなかった。

「うわーん 恐いよ~」

ポコが泣き止んでも、船は飛び続けた。
半日程度飛んで船はどこか知らない所に到着した。

「やばい!このままじゃ見つかっちゃう。」

ボン

ポコはダニに変身した。

「AK135が戻りました。」

「整列してお迎えするのだ、又新たな星を征服して来られたんだ!」

そのまま、しばらく沈黙が続いた

「なぜAK135は出て来ないんだ!
おいFB350見てこい」

FB350は宇宙船の中を覗き
「大変です、誰も乗ってません」
そう言うとドアを開けた。

ダニになったポコは、FB350の髪の毛の中に潜り込んだ。

「モニターをチェックしろ!直ぐにだ!」

モニターには、AK135が到着した所からマオに倒され、そして私が乗り込んで、泣いて、到着して変身する所まで映し出された。
唯一の救いは、ダニが小さすぎて、煙のように消えたと思われているようだ。

ー ポコ! ポコ! 聞こえるか ー

ー あっ ジン! 聞こえるわ。ー

ー 大丈夫か?ー

ー うん、今ソーレン星人の基地に居るんだ。
私はダニに変身してまだ見つかってないわ。
何か鏡みたいなのがあって、あいつがマオに倒される所も、みんなの顔も、私が船に乗り込んだ所も全部そこに映ってたの。
きっと又仇をとりに、おそってくるに違いないわ。ー

ー 分かった、もういいよ、ポコ 帰って来るんだ。ー

ー ジン 私もう少し調べたいからここにいるわ。大丈夫心配しないで ー

ー バカ!心配に決まってるじゃないか!すぐに帰るんだ!ー

ー お願い、ワガママだって分かってる。でもね、あんなのが何人もいるんだよ。何か弱点とか見つけないと勝てないよ ー

ー ジン許してあげたら。
危険かも知れないけど、ポコはみんなの役に立ちたいのよ。
私なら、そうしたい ー

ー マオはポコが心配じゃないのか?ー

ー ジン止めて!ポコを心配していない人はここにはいないわ ー

ジンはそれ以上なにも話さなかった。

ー ごめんねジン 大好きよ ー

その時FB350が頭を掻きむしって、ポコは弾き飛ばされた。

ふぅ~ 危ない危ない
叫ぶところだった。

ポコは基地の中の数カ所と宇宙船にマーカーを着けてまわった。

最初は宇宙船を壊してしまおうかと考えたが、いづれ修理されるか新造されるだろう。
何とか弱点を見つけないと。

ポコは彼らを観察した。
彼らはお互いを二文字と3桁の数字で呼んでいる。
多分最初の二文字は多分ランクだ、町に来た奴はAKだった。
Aが一番上位なら彼はトップ10に入るだろう。
もしその上がいるとしたらSランクかな。

Aランクの彼が倒されたんだから、仇をとりに攻めて来るなら恐らくそれなりの戦力を揃えるはずだ。
それまでが、時間の猶予だ。

彼らは、私たちのような魔力は持ってない。その代わりに、ライフポイントつまり生命エネルギーを使って、空を飛んだりビームを撃ち出しているようだ。

かれらが食事をしている所を見たことがない。
睡眠は、ベッドではなくて、筒状の箱に入って寝ている。
かれらは、その箱に入るのに「寝る」とは言わず、「ジュウデン」とか言っている。

かれらはよく「マザーのために」って口にする。
「おはよう」とか「こんにちは」の代わりに使っているみたいだ。

基地の中心にマザールームって言う場所が有るらしいので、ポコは調べに行くことにした。

BB069と言う胸の大きな女性の髪に紛れ込んで、簡単に侵入出来た。

そこには、大きな箱物があって、あちこちランプが点滅したり、ボタンやレバーがある。
部屋の中は、その箱からの熱気で少し暑い。

私は体の小ささを利用して、箱の中にも入って行った。
中は紐みたいな物がいっぱい詰まってて、外よりももっと暑い。
風車みたいのが、ブンブン回っていて、外に熱気を送り出している。

風車のそばでマーカーをつけたら、バチバチって火花が出てビックリして逃げた。
振り返って見ると、風車が止まっていた。

ポコは、「し~らないっ」というと、ジンの魔力を探した。

ー ジン!あなたのポコよ。これから帰るから、魔力抑えないで上げて ー

ジンの魔力が上がるのを感じて、ポコは『リンク』でジンの元に戻った。

ジンの家には、みんなが来ていて、ポコの帰りをを待っていた。

ポコが見てきたことを一通り話し終えると。フウリンが口を開いた。

「マザーはマザーコンピューターね人工知能をもった。
それでソーレン星人はロボットかサイボーグね」

「・・・」

みんながポカンとした顔でフウリンを見ている。

「ああ、ゴメンね。ちょっと私の前世の記憶で話をしちゃったわ。
ソーレン星人は、人間のようだけど、ゴーレムに近いもので、魔力ではなくて、電気、う~ん雷みたいなパワーで動いてるってことかな。
マザーって箱も電気で動いてて、それが色んな司令や戦士の管理とか、人ではないけど王様なのね。」

「フウリン 私の見てきたのは役に立ちそうなの?」

「そりゃもう凄く役立つわよ。ご苦労さま。
後は発電設備の場所さえわかれば、こっちから攻め落とすことも可能よ。」

「フウリン 私もう一度発電設備って言うの探しに行きます」

「ポコ、それはもういいわ。総攻撃しましょう。
敵は自分たちの強さを過信してるはずよ。
まさか攻撃の準備をしてるときに攻められるとは考えてないと思うわ。
ポコの話だと、マザーの部屋は、外からの侵入者には厳重でも中に入ってしまえば警備は薄いわよね。
『リンク』でいってマザーを潰しましょう。
ポコ 敵基地の図面を書ける?作戦を練りましょう。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

処理中です...