織田家次男、織田信雪です。

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未来からの来訪者の時

2.4 清洲城の中へ、です。

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 「でけぇー」

 現代日本の転移者であり、兄の翔が、そう言葉をこぼした。
 現代には残っていない清洲城。規模や形などが不明で、現代でもその全貌は明らかになっていないものが目の前にあった。
 改修されて出来た城とは思えないほどの大きさで、石垣は昔の製法であろう大きさの異なる石を敷き詰めたようなものだ。

 「こっちだよ」

 信勝さんは兵に止められることもなく門を素通りし、こちらを呼んできた。
 私たちも、恐る恐る入ることにするが、やはりと言うか、当然なのだが止められる。

 「何者だ?」

 信勝さんが呼んでいるんだから、その知り合い、または友達だろうに……。まあ、定例文なのだろうが。
 しかし、門を守る兵には男しかいない。ここで、身体検査が必要等を言われると、非常に困ってしまう。確かに大事なことなのだろうが、嫌なものは嫌なのだ。

 「姉様のお客です。信用できる人たちですし、もしもの時は僕が処理しますので」

 「そうですか……。わかりました。どうぞ」

 いやいや、そんなにあっさり入れちゃダメでしょ。この信勝さんがどれだけ信用されてるかはわからないけど、謀反を起こすやつだよ?そんな、何も調べずに、見ず知らずの人を殿様に近づけるのはダメでしょ。

 そんな、咲の思いは口に出していないので、聞こえるはずもなく少年たち4人は無事門を抜けた。

 城に入ってからも、すれ違う女中?だと思われる女の人や、武士だろう男の人に頭を下げられる。
 歴史オタクの白崎君はその状況に興奮しているし、うちの兄の翔は……何も考えてないだろう。同じく興奮してる。あと、たまに女中を見てる。

 「きもい」

 「うぐっ!」

 他の人にはバレないように、翔の足を踏み抜く。
 翔が声をあげた所為でみんながこっちを見たが、小指をどっかにでもぶつけたと思ったのか、すぐに歩き始めた。
 私も、その後に続いた。
 翔は何も言わずに着いてきているようだ。

 そして、沙織は………信勝さんにべったりだ。
 今も、隣で楽しそうに話しているのが見える。
 その二人の距離は今にも肩が触れ合いそうな……あ、あたった。

 「完全に籠絡されてるよ。まあ、仕方ない感じもするけど……。私がしっかりしなくちゃ!」

 咲は、他の3人を見て、そう誓った。
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