もしも僕がいなくなったら

そらね

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第2章

無常高等学校~はじまり~

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「やばい……」
 急いで学校に向かう。
 しかし、急な坂道。かなりのスタミナが必要でしかも時間がない。
「何で坂……」
 遅刻寸前。僕は走った。出来る限り速く。
 と、その時。
「あっ!」
 僕の前に少女が倒れていた。多分、この高校の生徒。
 これは、助けるしかない。でも学校の玄関までまだ距離がある。もう、遅刻しても仕方がない。
「大丈夫かな、顔が真っ青…」
 なぜ、ここで倒れているのかはわからないが、急いだ方がよさそうだ。
「もう少し、あとちょっと」
 きつい。今まで経験したことの無い辛さ。
 通学とはこんなにも辛かっただろうか。
 僕は汗をかきながらも最後まで坂を登りきり、やっと玄関についた。そこで僕は異様な光景を目にした。
「…………?」
 あれ?どうなっているんだ?
 僕の目の前には、たくさんの生徒が待っていた。
 無表情で僕を見つめている。
 何か悪い事でもしたかのように。
「あの、この子が」
 すると、誰かが言った。
「いらない…」
「えっ?」
 いらない?同じ高校の生徒じゃないか。
「どういうことですか?」
「その子、邪魔……」
 わけがわからない。
「この子は、坂のところで倒れていました。しかもこんなにも真っ青な顔して…」
「ざまぁみろ……」
 何を言っているんだ?どういうこと?
 この少女は悪い人なのだろうか?
 ざまぁみろだなんて、ひどすぎる。感情もまともに無いくせによく言えたものだ。でもおかしい。
 感情が無いのになぜ……?

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