もしも僕がいなくなったら

そらね

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第2章

無常高等学校~隠しごと2~

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「………確かに、この詩は正論だ」
 でも、いつまでもこの状態じゃ、何も変わらないと僕は思う。僕が言う事ではないけれど。
「うん。生徒たちの気持ちはこの詩の通り。この世界が変わったあの日から、今も昔も変わらない。だからこそ、変えるのが難しいってことなんだ」
「それでも、これは僕の役目なんだよね?」
「そうだよ。やる気が出てきたのかい?」
 今まで、この世界を救うことなんて無理だと思っていたけど、もしも救う力があるとしたら……。僕が本物の希望の光になれるなら……。
「やってみようと思う。このままだといけない。この世界に来ても、表側にいても変わらないのであればここにいる必要もなくなる。僕だったら嫌だ。せっかく平穏を求めて来たのに、この状況だと何も変わらないじゃないか」
「そうだよ。何も変わらない。表側よりは楽だけど、でもやっぱり変わらないよね。愼くんの言うとおり」
 きっと僕が変えることができたら、この世界は昔のように笑顔が生まれ、本当の自由になるはず。本当の自由の意味を考えるのは難しいけど、それでもいい。
 僕は平穏な日々を求めてきたのに、この世界を救うことになるなんて自分でも驚くけど、今思う気持ちは放って置けない。
 この世界のことを知れば知るほど、どうでもいい気持ちから何とかしなくちゃという気持ちに変わっていった僕。
「僕が本物の希望の光になれるなら、なってみせるよ」
「変わったね、愼くん」


「僕が変えてみせる」
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