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第2章
無常高等学校~隠しごと~
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「あそこの席に座ろうか」
「うん」
カゲは本の最初のページをめくった。タイトルはゴミの山。本にこんなひどいタイトルをつけるなんて。
「タイトルは気にしないで。この本を書いた人はちょっと変わってる人でね」
本を書いた人。宇野と言う名前が書いてあった。
「見て、この写真」
次のページには、大きめの写真が貼られていた。
「みんなどんな顔してる?」
「……笑ってる?」
「そう。これはもう十年以上前の写真。今の写真が貼ってあったら歴史本ではなくなるからね」
「うん、当然」
「で、これが五年前かな?いや、もっと古いのかな?」
「笑ってないよ」
「みんな魂が抜けたような顔をしているだろう?この時からこの世界はおかしくなった」
「どうして?」
「次のページを見ればわかる」
「あっ…」
「愼くん、見覚えない?」
そこにはすらっとした顔立ちの男の人が写っていた。
これは……。
「駿介…」
駿介(しゅんすけ)。小学生の時の大親友である。僕より三つ年上のお兄さんだった。何でこの世界に?
「思い出した?君が小学生五年生くらいの時からもう既に表側にはいなかったはず。僕はこの人には直接会ったことはないけど、ただ一つ言えることは」
カゲは何で知っているのかはわからないけど、確かに僕が五年生くらいの時から駿介とは会っていない。いなかった。どこにも。
一生懸命探した。でも見つからなかった。駿介のお母さんやお父さんとも一緒に探した。けど、いない。
「この人、この世界をぶち壊した」
「えっ?」
「いい人だってみんなそう信じていたんだって。でも、裏切った。この世界を真っ白の紙のようにした」
「でもどうやって…」
「この文章を読んだらわかる」
駿介の写真の横の文章を読むと、
「川瀬駿介。誰もが英雄と言っていたほどの人気者。この世界のトップである。頭の回転も良く、賢い少年であった。しかし、彼は裏切った。ただ彼の望みは、この世界のトップに立ち、人間を自分の思い通りに動かすこと。王様みたいなものである。でも彼は王様ではなく悪魔だ。人間をおもちゃ扱いし、気に食わなければ殺す。人々は恐怖に脅されていった。このままだとこの世界は滅びる。滅びはしないが、彼のせいで笑顔すらなくなった。無の世界になった。ここは自由で楽しい場所のはずだった。これでは、表側にいてもこの世界にいてもさぞ変わらないだろう。彼は人間を真っ白に塗り替えた。ロボットのように。命令すれば動く。しなければ静止。ここは危ない。彼が死ぬまで私たちは地獄絵図を見ることになる」
ただこの本を書いた宇野の感想を述べているものであった。
駿介はこんな人ではなかったはず。
「この人、今もどこかにいるみたいだよ。十輝が言ってた」
この世界はもともと楽しい世界だったのか。
「十輝は駿介を倒そうとした。そして十輝は一人でも多くの笑顔を取り戻そうとしたってこと」
「で、無常高等学校とはどんな関係があるの?」
「彼が最初に目をつけた所が無常高等学校だったんだ」
「そして、生徒たちをおかしくした?」
「おそらく。未だに受け継がれているってことは相当だよ?」
「この人が昔トップなら、今は……」
「前にも言ったけど、わからない。けど、駿介ではない。今はトップというよりも支配者。この国を支配しているだけ。管理人みたいなものだから何もしないんだ」
「なるほど」
「で、次のページは」
「無常高等学校の隠し事?」
「うん。無常高等学校の生徒は無に育ち、人を信じないように育て、ただ生きているようにする。これが学校の教訓だね。これも駿介が決めたことで、今も受け継がれている。このルールを守らないとたたりが起こるだとか」
「何だよ、そのルール」
「変えたらだめ。絶対のルール。あっ、この下に書いてある文、読んでみて」
「感情のあるもの、または芽生えようとしているものは直ちに殺せ‥」
「そう、数年前までは殺されていた」
「嘘だろ…じゃぁどうやって変えていけばいいんだ?感情を取り戻すだけで殺されるなんて…」
「今は殺されない。十輝のいる頃も殺されなかった。だから大丈夫ではあるけど……。他の無の生徒が何をするかわからないからね」
「これが隠し事?」
「おっとこれは無常高等学校の生徒が書いた詩みたいなものだね」
「隠し事 感情というのは 悪い罪 私たちは 感情があるから 苦しんで 自分まで殺そうに なっていた でもなかったら 何もない あの苦しみの日々も なくなった
人間は弱い 弱いから人間同士 傷つける 深くて忘れられない 一生の痣 感情なければ 何もなし 真っ白な世界も 時には必要 なんとなく過ごして 年をとって 死のう 私たちは 散々傷つけられました 信じた人に裏切られました 相談したって 何も変わらない 何もしてくれない 自分を庇おうとするから 他人なんて どうでもいい どうでもいい 自分だけよければ それでいい」
「うん」
カゲは本の最初のページをめくった。タイトルはゴミの山。本にこんなひどいタイトルをつけるなんて。
「タイトルは気にしないで。この本を書いた人はちょっと変わってる人でね」
本を書いた人。宇野と言う名前が書いてあった。
「見て、この写真」
次のページには、大きめの写真が貼られていた。
「みんなどんな顔してる?」
「……笑ってる?」
「そう。これはもう十年以上前の写真。今の写真が貼ってあったら歴史本ではなくなるからね」
「うん、当然」
「で、これが五年前かな?いや、もっと古いのかな?」
「笑ってないよ」
「みんな魂が抜けたような顔をしているだろう?この時からこの世界はおかしくなった」
「どうして?」
「次のページを見ればわかる」
「あっ…」
「愼くん、見覚えない?」
そこにはすらっとした顔立ちの男の人が写っていた。
これは……。
「駿介…」
駿介(しゅんすけ)。小学生の時の大親友である。僕より三つ年上のお兄さんだった。何でこの世界に?
「思い出した?君が小学生五年生くらいの時からもう既に表側にはいなかったはず。僕はこの人には直接会ったことはないけど、ただ一つ言えることは」
カゲは何で知っているのかはわからないけど、確かに僕が五年生くらいの時から駿介とは会っていない。いなかった。どこにも。
一生懸命探した。でも見つからなかった。駿介のお母さんやお父さんとも一緒に探した。けど、いない。
「この人、この世界をぶち壊した」
「えっ?」
「いい人だってみんなそう信じていたんだって。でも、裏切った。この世界を真っ白の紙のようにした」
「でもどうやって…」
「この文章を読んだらわかる」
駿介の写真の横の文章を読むと、
「川瀬駿介。誰もが英雄と言っていたほどの人気者。この世界のトップである。頭の回転も良く、賢い少年であった。しかし、彼は裏切った。ただ彼の望みは、この世界のトップに立ち、人間を自分の思い通りに動かすこと。王様みたいなものである。でも彼は王様ではなく悪魔だ。人間をおもちゃ扱いし、気に食わなければ殺す。人々は恐怖に脅されていった。このままだとこの世界は滅びる。滅びはしないが、彼のせいで笑顔すらなくなった。無の世界になった。ここは自由で楽しい場所のはずだった。これでは、表側にいてもこの世界にいてもさぞ変わらないだろう。彼は人間を真っ白に塗り替えた。ロボットのように。命令すれば動く。しなければ静止。ここは危ない。彼が死ぬまで私たちは地獄絵図を見ることになる」
ただこの本を書いた宇野の感想を述べているものであった。
駿介はこんな人ではなかったはず。
「この人、今もどこかにいるみたいだよ。十輝が言ってた」
この世界はもともと楽しい世界だったのか。
「十輝は駿介を倒そうとした。そして十輝は一人でも多くの笑顔を取り戻そうとしたってこと」
「で、無常高等学校とはどんな関係があるの?」
「彼が最初に目をつけた所が無常高等学校だったんだ」
「そして、生徒たちをおかしくした?」
「おそらく。未だに受け継がれているってことは相当だよ?」
「この人が昔トップなら、今は……」
「前にも言ったけど、わからない。けど、駿介ではない。今はトップというよりも支配者。この国を支配しているだけ。管理人みたいなものだから何もしないんだ」
「なるほど」
「で、次のページは」
「無常高等学校の隠し事?」
「うん。無常高等学校の生徒は無に育ち、人を信じないように育て、ただ生きているようにする。これが学校の教訓だね。これも駿介が決めたことで、今も受け継がれている。このルールを守らないとたたりが起こるだとか」
「何だよ、そのルール」
「変えたらだめ。絶対のルール。あっ、この下に書いてある文、読んでみて」
「感情のあるもの、または芽生えようとしているものは直ちに殺せ‥」
「そう、数年前までは殺されていた」
「嘘だろ…じゃぁどうやって変えていけばいいんだ?感情を取り戻すだけで殺されるなんて…」
「今は殺されない。十輝のいる頃も殺されなかった。だから大丈夫ではあるけど……。他の無の生徒が何をするかわからないからね」
「これが隠し事?」
「おっとこれは無常高等学校の生徒が書いた詩みたいなものだね」
「隠し事 感情というのは 悪い罪 私たちは 感情があるから 苦しんで 自分まで殺そうに なっていた でもなかったら 何もない あの苦しみの日々も なくなった
人間は弱い 弱いから人間同士 傷つける 深くて忘れられない 一生の痣 感情なければ 何もなし 真っ白な世界も 時には必要 なんとなく過ごして 年をとって 死のう 私たちは 散々傷つけられました 信じた人に裏切られました 相談したって 何も変わらない 何もしてくれない 自分を庇おうとするから 他人なんて どうでもいい どうでもいい 自分だけよければ それでいい」
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