魔探偵探偵事務所

カクカラ

文字の大きさ
11 / 101
1章2節 狩人の目覚め

1-7,8(18,19話)

しおりを挟む
警視庁に戻ってきた2人は三課に戻って資料整理をしていた。
まだ魔探偵とのことは話していない。
これでバレずに済めばいいのだが、そうもいかない。
アナウンスで2人は上司に呼び出され、すぐに部屋まで向かい、ノックをして入った。
どうだったかと聞かれては元もない。
正直にすべてのことを話した。
今回担当したのは新米の魔探偵。しかも、子供。
金城清一郎の息子だということも知らせた。
この話をした時点から上司は眉間みけんにしわを寄せていた。
何か手違いがあったのかと思ったが、これまでのいきさつすべてを話した。


「ふざけてんのか!!」
「ふざけてなどいません!今回はまさか子供がやるだなんて知りませんでしたし、本人は別件べっけんで手が離せないのなんので・・・」


怒鳴どなられてしまった。これは当たり前になるが、担当は清一郎のはずだった。
しかし、それをくつがえし息子にさせるという行為こういそのものを許しはしなかった。
どんな手段を使っても清一郎にさせろとばかり怒鳴どなりつけてくる。
当の本人がさせたのだから変えることはもうできない。
かと言って、これで上司が納得いくかなんてわからなかった。


「はぁ・・・。で、意見聞けたの?大したことじゃないだろうから期待しないけどさ」


シンに言われたことを順序じゅんじょ沿って話した。内部と外部は別々で切り刻まれたこと。
包丁の長さ20~30センチぐらいであり、外部を切り刻まれたと推測すいそく
犯行の理由もシンプルに伝え、犯人は世の中に恨みやねたみのある人物だということを伝えた。
そして、内部の傷は別の者がやったのではないかと言っていたことも報告をしていた。
しかも、それは悪魔なのではないかという示唆しさまでつけて。
上司は少し驚いた表情をしていた。
子供だと思っていたが、意外にもちゃんとした答えが帰ってきたことに。


「案外とまとまった答えじゃないか。ちょっとその子供を見直したな。しかし、何だ魔道だぁ?そんなものがいるなんて言っているのか」
「魔探偵の話では・・・そのように言っておりましたけど・・・。本当にいるかどうかは魔探偵が直接会ってみないことには・・・」


どのように言えばいいのだろうか。
本当に上司には伝えたのだが、信用している様子はない。
考えなおそうとしていたみたいだが、答えがまともなこともある。
間違いではないことは事実。
だが、内部の傷をやったのは魔道ですなんてことを信じてはくれない。
実際に見てみなければ誰も知らないし、これも神のみぞ知るということだ。


「まあ、ちゃんとした答えがあることだし、魔探偵の見解けんかいはそうであるということにしようか。まあ、次の情報が入るまでは資料整理でもしといて」


まともな答え。雑用係。
これが2人のやる仕事なのだ。
2人は部屋を出て、小声で文句を交わしていた。


「結局はきだまりははきだまりに戻れということだな。雑用には要はありませんってやつか」
「ほんまにそんなふうにしか思てないってことですよね。それやったら駐在ちゅうざいしてたほうがマシでしたわ。仕事もあったし・・・」


お互いに愚痴ぐちをこぼしながら三課に戻って資料整理をしていた。


警視庁で資料整理をしている最中、魔探偵は一段落いちだんらくを迎えていた。
シンは今回の事件のことについて整理をしてみた。
証拠がない状態で、決定的なものすらつかめていない。
資料を1枚もらったが、すべて死体の写真ばかり。
物的ぶってきな証拠になるものを探しているが、どれも写っていない。
どれもこれも切り刻まれた死体の数ばかり。
犯人につながるものはなにひとつとしてない。
刃先の形、倒れた状況、どれを見比みくらべても同じだった。


「前も後ろも同じ刃物で使って殺害・・・ね。魔道の傷が見当たればな・・・少しは検討けんとうつくんだけど」


どの写真も同じ。外傷になるようなものは見当たらない。
特に魔道の傷は直接見てみなければわからない点が多い。
直接見る方法はただ一つ。
あの警察の人達に頼んでみる以外ない。
物的証拠ぶってきしょうこだけでは犯人になるケースは少ない。
今の科学は発展はってんしているためそんな簡単に崩せることないんてない。
100パーセントの確立にしても1パーセントだけでも崩れればあとは簡単なのだが、そこは証拠次第ということになる。
DNA鑑定かんていでも間違いは起こさない。
指紋しもんも血液もいとも簡単に解明できる。
時代とともに進化していく科学。
しかし、犯罪件数0なんて難しい。
必ずしも何かはある。
でも、今回は魔道と繋がっている可能性は十分にある。
確信があるわけではない。あくまで仮説。
それが現実ならだいぶ違うのだろう。


「魔道の傷は他人には見えない。それを利用してもおかしくない。警察もまだ見落としている部分だってあるはず。だったら・・・外部には見えなくて内部では見える・・・。衣類付着いるいふちゃくがあれば間違いなく人間の犯行。しかし、今回はそれが出てきていない。服が刻まれた程度なら衣服の繊維せんいは発見できる。ないとするなら誰がこんなことを・・・」


小言で事件の概要がいようを説明していくシン。
並外れた記憶で事件のことを洗いざらい整理していく。
そんなことを続けているうちに夜になっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

淡色に揺れる

かなめ
恋愛
とある高校の女子生徒たちが繰り広げる、甘く透き通った、百合色の物語です。 ほのぼのとしていて甘酸っぱい、まるで少年漫画のような純粋な恋色をお楽しみいただけます。 ★登場人物 白川蓮(しらかわ れん) 太陽みたいに眩しくて天真爛漫な高校2年生。短い髪と小柄な体格から、遠くから見れば少年と見間違われることもしばしば。ちょっと天然で、恋愛に関してはキス未満の付き合いをした元カレが一人いるほど純潔。女子硬式テニス部に所属している。 水沢詩弦(みずさわ しづる) クールビューティーでやや気が強く、部活の後輩達からちょっぴり恐れられている高校3年生。その美しく整った顔と華奢な体格により男子たちからの人気は高い。本人は控えめな胸を気にしているらしいが、そこもまた良し。蓮と同じく女子テニス部に所属している。 宮坂彩里(みやさか あやり) 明るくて男女後輩みんなから好かれるムードメーカーの高校3年生。詩弦とは系統の違うキューティー美女でスタイルは抜群。もちろん男子からの支持は熱い。女子テニス部に所属しており、詩弦とはジュニア時代からダブルスのペアを組んでいるが、2人は犬猿の仲である。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...