魔探偵探偵事務所

カクカラ

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1章2節 狩人の目覚め

2-1,2 (20,21話)

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翌日のことだった。
いつものように資料整理をしている2人に1本の電話が入った。
警察の電話がなってと思っていた。
しかし、ノリノリの音楽が三課に響いた。
当然いるのは岩城だけだから気にもしない。
しかし、出るのには勇気がいった。
場所が場所だけに。
西崎のスマホを見ると、知らない携帯番号が出ていた。


「誰からなんです?」
「知らん。番号が出てるだけで名前がないんだ」


誰かと思い、電話に出るのには躊躇ちゅうちょしていたが、おそる恐る電話に出た。
すると、知っている声がした。


「遅いですよ。6コールで出るなんて」


まさかのシンだった。
しかし、なぜ西崎の携帯を知っているのだろうか。
話にそのことを聞いてみた。
その結果、シンはハッキングをして知ったという。
つまりこれは正確に言えば犯罪行為はんざいこうい
個人情報漏こじんじょうほうろうえいの罪にわれる。


「そこにいてろよ、ガキ。今すぐにでも捕まえて取り調べしてやる・・・」


怒りをあらわにする西崎。
すぐに立ち上がり資料整理をやめて魔探偵へと向かおうとする。
しかし、ゆすぶられた言葉に動揺どうようさせられた。


「だったら、昨日の事件のこと。すべてマスコミにいいますよ。それと、アンタたちのことも。言ったら警察クビになるかもね」
「ガチでやるつもりか?」
「うん、ガチだよ」


なんの躊躇もなく返答していくシンの言葉に冷や汗が出てくる。
しかし、シンは罪なことをしている。
でも、これは駆け引きというべきなのか。
天秤てんびんにつられている。平行状態へいこうじょうたいのままで。
どちらに傾いても警察という組織をクビにされる。
それだけは勘弁かんべんしてほしいと一息ついて冷静に話をした。


「で、何の用だ」
「お願いしたいんですけど、これまでの死体全部見せてもらってもいいですか?科捜研かそうけん付きで」


科捜研付きで死体全部を見せる。
いったい何をするのだろうか。
確認をするために用件だけは聞いておいた。


「昨日の写真を見て1日考えさせてもらいました。そしたら1つだけ疑問がありまして」
「疑問?一応聞いておこうか」
「遺体の外部、および内部の傷があったのなら臓器ぞうきに傷があるかどうかを調べておきたいんです。内部まで傷があったということは間違いなく魔道を使ったことになります。ですけど、どこからどこまでなのかがはっきりしていないので立ち合いで見ようと思いまして」


外部の傷は刃渡り20~30センチと聞いていたが、内部の傷のことについては聞いてはいない。
内部をどうやって切りつけたのかは至って不明のままになっている。
それを知るために科捜研付きで立ち合いをするというのだ。
しかし、それには本部の許可がいる。
その許可がない限りは無理である。


「なるほどな。でも、今は許可をとるのが先だ。そうでなければ・・・」
「そうですか。なら今すぐにでもしてください。至急です」


人の話も聞かずに先先と進めていくシン。
大人をなめているのかと携帯を震えさせる。
何かあっての策なのはわかっているが、許可が果たして取れるのだろうか。
受話器を外して岩城に許可を取ってくるように命じた。
資料整理をほっぽかして事件のことに首を突っ込んでいく2人。
しかし、これが事件に繋がる鍵になるとは思ってもいなかった。


数時間後、岩城が焦った顔して三課に帰ってきた。
その後ろには上司まで来ていた。


「お前たち、何考えてんだ・・・。何で死体を見せろと魔探偵に言われねばいかんのだ?急なことでもあったというのか」
「岩城、お前何て言った?」


一呼吸をしてから西崎にこれまでの経緯けいいを伝えた。
魔探偵から電話があって事件のことについて疑問があることを科捜研に行って許可を取ろうとしていた。
しかし、許可をするには上司の許可が必要と言われ。慌てて対策本部に向かった。
本部に向かうと上司がいて、立ち合いのことをそのまま伝えた。
しかし、関係のない三課には事件には関わらずに資料整理でもしていろと。
だが、魔探偵からの命令だと言うとそのまま三課に来てご覧のさまになっていた。


「なぜ本部じゃなくてお前ら三課に電話が入っているんだ!本来なら本部にかかってくるだろ!」


上司に怒られた。
これは間違いなくクビを言い渡されるだろうな。


「あんたがはきだまりの人達使ったから電話したんだよ」
「お前!!」


上司に向かって口出ししたのはまさかのシンだった。
この警察庁の場所が何故わかったのか。
1人でここまで来るのにはさぞかし時間がかかったはず。
それだけじゃない。
警察の偉い人に何て口の聞き方をしているんだ。
教育上は目上の者にはしっかりとした口調で話すべきであろう。
それどころか何故この2人がはきだまりであることを知っているのだろうか。


「シン君!呼んだ覚えないで!何でここに居るん?」
「暇だったからここに来ただけなんだけど」


遊び感覚で来ているのだろうか。
常識のない子供だ。
こんな子供の親を見てみたいもの。
上司はシンの姿に愕然がくぜんとする。
本当に子供が魔探偵をしているなんてことがあり得るのだろうか。


「それより立ち合いの許可出た?」
「いや、まだだ」


こんな子供に立ち合いなんてさせるわけにはいかない。
警察のメンツが保たれなくなってしまう。
しかし、昨日の証言は確かに素晴らしいものだったかもしれないが、これはこれであれはあれだ。
許可を取ってしまえばどうなるかなんて一目瞭然いちもくりょうぜん
子供を頼った警察だとマスコミに騒がれてクビが言い渡されればどうなることやら。


「ねえ、上司さん。この事件解決したくないの?したくなかったらあんた達で解決してもらう形になるけど。それでもいいなら帰るよ。あんたのクビがとんだってこっちのせいにはしないでね」


かなりのおどし文句。
公務執行妨害こうむしっこうぼうがいに当たってもいいレベル。
しかし、これを頼んだのは上の人間。
自分も入っているのだから尚更なおさら危険になる。
焦る上司。帰ろうとするシン。
とっさの判断の結果はこれだった。


「科捜研付きの立ち合いをしろ!」


間違いなくの許可。
ニヤリと笑ってどうもの顔をするシン。
生意気に育ったガキ相手にここまでされるとどうしようもない。
不可抗力ふかこうりょくというものだろうな。
何をやってもこちらの責任にしかならないのだからこの判断が正しかったとしか言えない。
してやられた。


「ありがとうございます!」


一礼をして科捜研のいる場所に向かって行った。
今回だけだと思いながら、特別本部まで戻って行った。

科捜研のところへ向かう3人。
死体はすべて科捜研が保存してある。
なかったとしてもすべてデータとして置いてあるために十分余裕がある。


「ほんまに許可もらえるなんてやっぱ魔探偵ってすごいですね!」
「いや・・・ただの脅しにしか見えなかったが・・・」


脅しなのか違うのか。
シンという人物はよくわからない生き物だ。
こんな小柄こがらな子供が上司を黙らせてしまうくらいの圧力あつりょくがあるのかもしれない。
もしかしたら、昇格しょうかくするのも簡単にできるぐらいのレベルなのだろう。


「それより全部の死体見て何になるっていうんだ?何かつかめそうなのか」
「あくまで仮説かせつかもしれないけど、確かめておく必要があると思って」


仮説を立証りっしょうにさせようとするシン。
これが繋がっていくなんてまだ誰にも知らないことであった。
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