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1章2節 狩人の目覚め
2-3,4(22,23話)
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科捜研に向かい、死体の解剖を許可してもらおうとする3人。
しかし、解剖許可が出ない。
だが、ものの数分で許可が下りて解剖室に向かった。
全死体を解剖室に持ってきて3人に見せた。
全身傷だらけの死体が8体。
顔から足まで何十か所も刃物で切られたあとばかり。
「こない大量にあるんですか・・・。気分悪ないです?」
2人はビクともしていない。
死体を見ようが全然平気。
科捜研の人達は尚更平気。
岩城はこんな大量の死体は初めて見たため、気分を悪くしてしまった。
しかし、そういってしまっては警察になった意味もなくなってしまう。
ここはグッとこらえた。
「あの、1つお伺いしてもいいですか?」
「何でしょうか?」
「内部の調査をしていないというのは一体どういうことですか?もしかして、遺族が止めているんですか?」
司法、行政解剖の許可が出ていれば解剖することは可能である。
しかし、事件性がなければ承諾解剖になるためお金がかかる。
だが、今回は遺族が解剖をしないでほしいと言われてしまい、解剖ができないのだ。
このまま何も進展がなければ遺族に返還という形になる。
遺族の心情的配慮もあるため、許可がなければ解剖もできない。
例外もある。
裁判所から「鑑定処分許可状」というものがあれば、強制的に解剖することが可能なのだ。
一部のものを除いては解剖をするという法律があるのだが、交通事故などの案件は解剖はないのだ。
「8人のうち6名は許可が出ませんでした。残りの2人は身内がいないそうなので・・・解剖するかどうか悩んでいるんです」
「事件性はあるのでしてもよいのではないんですか?でなきゃ、解決しませんよ」
躊躇をする科捜研。
急に解剖しないでほしいなんて頼まれてしまってはどうしようもない。
だた、1人に至ってはこんなメモ書きが残されていたらしい。
「もし、自分に何かあれば解剖を申請したい」と。
意思表示みたいな書置きを残していた。
これは遺書と同じ扱いに対等される。
なので今の段階では1人だけしか解剖が許されていないのだ。
それでもシンは躊躇なく解剖をしてほしいと頼む。
どんな些細なことでも見つかれば犯人が特定できる可能性もあると。
「1人でも構いません。なるべく早急にしないといけないことなんです」
「おい、じゃあ体にメスいれるってことか?」
シンは西崎を見て頷いた。
外傷部分はわかっている。あとは内部がどうなっているかを確認するだけの話。
それさえわかればどのようにやったのかわかる。
シンは科捜研に死体にメスを入れて解剖してほしいと頼んだ。
たった1人でもいいと。
何も出てこなければそれこそ迷宮入りの事件になってしまう。
何としてでも避けなければいけないことなのだ。
早急に科捜研は死体にメスをいれ、解剖に入った。
解剖をして数十分。
解剖している所を間近で見るシンと西崎。
あまりに貴重なものなので一つ一つくまなく見ていった。
岩城に関しては気分が悪くなり、一時退却状態。
警察なのにみっともない奴だ。
腹部にメスを入れてから内部を切り開いていく。
大腸、小腸、肝臓などの場所に傷があちらこちらにある。
切り傷程度では済まされないほどの傷が複数ある。
「内臓から肝臓、十二指腸、大腸、小腸、あちらこちらに傷だらけだな。こんなの初めてみますよ」
「こんなレベルの傷跡なんてあるものなのか?」
「深く刃物で切られていれば1つの部位は完全に出血して死亡します。深く傷が残っていますからね。ただ、今回は外部に切り傷が複数あることからそれは考えられないでしょう。深く刺したレベルでもこれだけの数は多すぎる」
浅い傷程度なら切り傷程度で処理される。
もちろん内部までなることは至ってない。
しかし、今回は複数の外部の傷の他に内部の傷も多数発見されている。
バラバラに遺体を遺棄しても体の内部までやることは難しい。
魔道でやればバラバラ死体にしなくてもより簡単に傷を作り出すことができる。
一般的ならば1つの箇所を複数回刺して死亡させることが多い。
今回は外部を刺した状態で内部までやっている。
血をすべて抜くために複数回刺したというのがベストに近い。
心臓には外れていて、その周辺を刺し傷が覆っている。
ならなぜ犯人はここまで執着してやるのだろうか。
「心臓には一切の傷はない。間違いなく出血死。周りだけ切り付けられたようなあとばかり。こんな惨殺なレベルのやり方なんてあるのか?」
「ないとは言い切れませんね」
「やったらこんなんはあるんですか?動脈あるいは静脈を切ってそのまま即死レベルまでするって案は」
体調がよくなり戻ってきた岩城。
その案にことについて聞いてみたのだが、今回はそういった傷がない。
普段の人ならばやりかねないかもしれないが、入念に考えてやっている。
「内部の切り口ってどれぐらいですか?」
「だいたい1センチ程度かな・・・。針でも数センチはあるだろうし、小さなものだとホチキスの針ぐらいかな・・・」
心臓以外の傷は1センチ程度の傷がほとんど。
一切心臓には触れていない。
しかし、1つだけ不可解だった。
心臓には何にもないのに、心臓の膜、心膜が切れていた。
心膜だけを切ることは難しいこと。
よく心臓近くに強い衝撃を与えると心臓に循環している血が心膜にたまり、呼吸困難をおこすことがある。
病名は心タンポナーデ。
心膜にたまった血を抜かなければ、数時間でなくなってしまう病気でもある。
心臓を守る膜だけがなぜ切れているのだろうか。
そこでシンは1つ科捜研にこんなお願いをしてみた。
「あの胸骨を調べることってできませんか?」
心臓を守る役割の骨、胸骨。
それを調べて何がわかるというのだろうか。
調べることができるといった科捜研は胸骨を調べてみた。
くまなく何もないかを探りながら。
すると、左胸骨のあたりから傷のようなものが発見された。
「これは・・・」
「胸骨の傷は5ミリから1センチ程度ですね。ただ骨に傷なんてできるもんですかね」
この言葉にシンは何か確信をもったような顔をした。
心膜も1センチ程度の傷。
膜さえ破れば中で出血することはない。
本当の膜を破らなければいけなかったら死になることはない。
ならどうやって殺したというのだ。
「それともう1つだけいいですか?」
「何でしょう?」
「心臓の一部から穴らしきものが発見されたのですが、これって関係ありますかね・・」
その言葉でシンは何かわかったような顔をしていた。
胸骨の傷も内部の傷もわかったようだ。
シンは慌てて出ようとした。
「どこに行くんや?」
「2人とも本部に行きましょう。もしかしたら、また同じ行為で殺される人がいるかもしれない」
3人は急いで特別対策本部まで走っていった。
何をつかんだのかはシンにしか知らないことでもあった。
しかし、解剖許可が出ない。
だが、ものの数分で許可が下りて解剖室に向かった。
全死体を解剖室に持ってきて3人に見せた。
全身傷だらけの死体が8体。
顔から足まで何十か所も刃物で切られたあとばかり。
「こない大量にあるんですか・・・。気分悪ないです?」
2人はビクともしていない。
死体を見ようが全然平気。
科捜研の人達は尚更平気。
岩城はこんな大量の死体は初めて見たため、気分を悪くしてしまった。
しかし、そういってしまっては警察になった意味もなくなってしまう。
ここはグッとこらえた。
「あの、1つお伺いしてもいいですか?」
「何でしょうか?」
「内部の調査をしていないというのは一体どういうことですか?もしかして、遺族が止めているんですか?」
司法、行政解剖の許可が出ていれば解剖することは可能である。
しかし、事件性がなければ承諾解剖になるためお金がかかる。
だが、今回は遺族が解剖をしないでほしいと言われてしまい、解剖ができないのだ。
このまま何も進展がなければ遺族に返還という形になる。
遺族の心情的配慮もあるため、許可がなければ解剖もできない。
例外もある。
裁判所から「鑑定処分許可状」というものがあれば、強制的に解剖することが可能なのだ。
一部のものを除いては解剖をするという法律があるのだが、交通事故などの案件は解剖はないのだ。
「8人のうち6名は許可が出ませんでした。残りの2人は身内がいないそうなので・・・解剖するかどうか悩んでいるんです」
「事件性はあるのでしてもよいのではないんですか?でなきゃ、解決しませんよ」
躊躇をする科捜研。
急に解剖しないでほしいなんて頼まれてしまってはどうしようもない。
だた、1人に至ってはこんなメモ書きが残されていたらしい。
「もし、自分に何かあれば解剖を申請したい」と。
意思表示みたいな書置きを残していた。
これは遺書と同じ扱いに対等される。
なので今の段階では1人だけしか解剖が許されていないのだ。
それでもシンは躊躇なく解剖をしてほしいと頼む。
どんな些細なことでも見つかれば犯人が特定できる可能性もあると。
「1人でも構いません。なるべく早急にしないといけないことなんです」
「おい、じゃあ体にメスいれるってことか?」
シンは西崎を見て頷いた。
外傷部分はわかっている。あとは内部がどうなっているかを確認するだけの話。
それさえわかればどのようにやったのかわかる。
シンは科捜研に死体にメスを入れて解剖してほしいと頼んだ。
たった1人でもいいと。
何も出てこなければそれこそ迷宮入りの事件になってしまう。
何としてでも避けなければいけないことなのだ。
早急に科捜研は死体にメスをいれ、解剖に入った。
解剖をして数十分。
解剖している所を間近で見るシンと西崎。
あまりに貴重なものなので一つ一つくまなく見ていった。
岩城に関しては気分が悪くなり、一時退却状態。
警察なのにみっともない奴だ。
腹部にメスを入れてから内部を切り開いていく。
大腸、小腸、肝臓などの場所に傷があちらこちらにある。
切り傷程度では済まされないほどの傷が複数ある。
「内臓から肝臓、十二指腸、大腸、小腸、あちらこちらに傷だらけだな。こんなの初めてみますよ」
「こんなレベルの傷跡なんてあるものなのか?」
「深く刃物で切られていれば1つの部位は完全に出血して死亡します。深く傷が残っていますからね。ただ、今回は外部に切り傷が複数あることからそれは考えられないでしょう。深く刺したレベルでもこれだけの数は多すぎる」
浅い傷程度なら切り傷程度で処理される。
もちろん内部までなることは至ってない。
しかし、今回は複数の外部の傷の他に内部の傷も多数発見されている。
バラバラに遺体を遺棄しても体の内部までやることは難しい。
魔道でやればバラバラ死体にしなくてもより簡単に傷を作り出すことができる。
一般的ならば1つの箇所を複数回刺して死亡させることが多い。
今回は外部を刺した状態で内部までやっている。
血をすべて抜くために複数回刺したというのがベストに近い。
心臓には外れていて、その周辺を刺し傷が覆っている。
ならなぜ犯人はここまで執着してやるのだろうか。
「心臓には一切の傷はない。間違いなく出血死。周りだけ切り付けられたようなあとばかり。こんな惨殺なレベルのやり方なんてあるのか?」
「ないとは言い切れませんね」
「やったらこんなんはあるんですか?動脈あるいは静脈を切ってそのまま即死レベルまでするって案は」
体調がよくなり戻ってきた岩城。
その案にことについて聞いてみたのだが、今回はそういった傷がない。
普段の人ならばやりかねないかもしれないが、入念に考えてやっている。
「内部の切り口ってどれぐらいですか?」
「だいたい1センチ程度かな・・・。針でも数センチはあるだろうし、小さなものだとホチキスの針ぐらいかな・・・」
心臓以外の傷は1センチ程度の傷がほとんど。
一切心臓には触れていない。
しかし、1つだけ不可解だった。
心臓には何にもないのに、心臓の膜、心膜が切れていた。
心膜だけを切ることは難しいこと。
よく心臓近くに強い衝撃を与えると心臓に循環している血が心膜にたまり、呼吸困難をおこすことがある。
病名は心タンポナーデ。
心膜にたまった血を抜かなければ、数時間でなくなってしまう病気でもある。
心臓を守る膜だけがなぜ切れているのだろうか。
そこでシンは1つ科捜研にこんなお願いをしてみた。
「あの胸骨を調べることってできませんか?」
心臓を守る役割の骨、胸骨。
それを調べて何がわかるというのだろうか。
調べることができるといった科捜研は胸骨を調べてみた。
くまなく何もないかを探りながら。
すると、左胸骨のあたりから傷のようなものが発見された。
「これは・・・」
「胸骨の傷は5ミリから1センチ程度ですね。ただ骨に傷なんてできるもんですかね」
この言葉にシンは何か確信をもったような顔をした。
心膜も1センチ程度の傷。
膜さえ破れば中で出血することはない。
本当の膜を破らなければいけなかったら死になることはない。
ならどうやって殺したというのだ。
「それともう1つだけいいですか?」
「何でしょう?」
「心臓の一部から穴らしきものが発見されたのですが、これって関係ありますかね・・」
その言葉でシンは何かわかったような顔をしていた。
胸骨の傷も内部の傷もわかったようだ。
シンは慌てて出ようとした。
「どこに行くんや?」
「2人とも本部に行きましょう。もしかしたら、また同じ行為で殺される人がいるかもしれない」
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何をつかんだのかはシンにしか知らないことでもあった。
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