魔探偵探偵事務所

カクカラ

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1章2節 狩人の目覚め

2-9,10 (28,29話)

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警察内部にこの連続殺人鬼の犯人がいるというのだろうか。
全く想像もつかない。
この男だと思っていたが、外れてしまった。
それだけじゃない。
この2人。
何で事件の事がはっきりと明確に答えられるんだ。
侮れない3人。
敵に回せば勝ち目なんてない。

「警察内部って・・・」
「驚くのも無理ないだろう。警察内部が犯行に手を染めているなんて考えたことなかったろ。正義を貫いている人物が悪に染まるなんていくらでもある」

殺人をする動機なんてあるのだろうか。
聞いてみてもわかるかどうかなんてわからない。
私情しじょうをはさむわけにはいかない。
でも、それを聞いてみなければいけないこともある。

「どうして、そう言い切れるんだ?」
「警視総監のトップは昔母親と娘を亡くしている。原因は何でも交通事故か何かで受理じゅりされたっていうらしいけど、本当は違う。それに警察長だって多額の借金を背負っているみたいだし。君らを動かした上司だって証拠隠滅だってしたことのある人物だよ。誰でも信用しちゃいけないんだよ、この世の中はね」

1つ1つ整理をしてみよう。
まずは警視総監のこと。
まだ巡査部長だったころに娘が誘拐、その後遺体となって発見された。
警察は対策本部まで設置したのだが、有力な手がかりを得ることができずに4年が経って時効が成立した。
その翌年には妻を交通事故により他界。
犯人は20代前半の男性。
信号無視をして衝突。
その男性は無免許むめんきょで何か月もの間車を運転していた。
裁判にもかけられたが、死刑にはならなかった。過失運転致死かしつうんてんちしの罪に問われ、裁判の結果は懲役2年、執行猶予3年の判決で済んでしまった。
その怒りからか近所付き合いも悪く、評判はがた落ち。
勤務態度も悪く、時より部下には暴力をふるっていたとか。
懲戒免職をして再復帰したものの何かの腹いせか何かでまた同じことを繰り返しているのではないかと睨んでいる。
2人目は警察長。
彼は借金をしており、闇金から多額のお金を取り立てているそう。
返さない警察長の家に転がり込んできた闇金に催促さいそくされることもよくあったと証言があった。
借金を返済するのにもできなかった警察長は万引きなどの行為を行っていたとのこと。
警察から横領おうりょうすれば確実に懲戒免職ちょうかいめんしょくされるのも時間の問題があった。
そこで赤の他人である人を殺しているのではないかと推測。
3人目は西崎と岩城の上司。
繋がるような接点が見当たらないと言われているが、それもすぐにばれた。
警察庁にいる所轄の女刑事との交際が発覚。
一時期は階級も落とすようなことも言われていた。
それを隠すために今回の資料の改ざんをしようと試みた。
結果は魔探偵であるシンにばれて、その腹いせに殺人を犯したのではないかと話す。

「何でそないなことを・・・」
「さあね。それは本人に聞けばいい。それとこれを渡しておこう。もしかしたら、これが有力なカギに繋がるはずだから」

西崎に手渡されたのは1枚の封筒。
これに重要な手がかりが隠されている。
シンに封筒を手渡して魔探偵に戻ることにした。
西崎と岩城はそれの確認をするために一緒についていった。

「ねぇ、君」

シンを呼び止めようとした鋳剣。
真っ先に振り向き目を合わせる。

「この事件が解決したら君に話したいことがある。いいかね?」

その言葉を聞いて部屋を後にしていった。
女性と少女はただ立ち尽くすだけで鋳剣にアドバイスはしなかった。

「これですべてが解決するかもしれないね、2人とも。魔探偵という優秀な人間がね」


鋳剣に封筒を渡された後、3人は西崎の車に乗った。
重たい空気の中、話せそうにもない。
しかし、この封筒ふうとうに重要な手がかりがある。
シンは西崎に魔探偵に向かってくれと頼んだ。
これを開くのは魔探偵に着いてから。
今開いた所で騒ぎになりそうだ。

「あの男、何者なんだ?」
「さあね。でも、何か重要な人物かもしれないね」

魔探偵に力をくれている。
しかし、誰が魔探偵に依頼したのかはよくわかっていない。
警察組織の中では謎めいた人物だが、何かしらのサポートはしてくれるみたいだ。
それだけじゃない。
あの2人。
ものすごい頭脳をしている。
シンの一枚上手をいっている。
それどころか事件の概要がいようまで事細かに把握はあくしている。
あの2人は何者なんだろうか。
車の中で考え始めていた頃、事務所に戻るまでにはさほどかからなかった。

「これからどないするんですか?やっぱりその封筒開けなあかんのでしょうね」

封筒を手にし、事務所に入って行った3人。
自室に戻って封筒を開けることにした。
重要なものだと言っていたが、果たして本当なのだろうか。
不安がよぎってくる。
自室に戻ると机には置手紙のようなものが置いてあった。
誰からなのだろうか。
見るとそれは2代目である稻流いなるみの字であった。
「犯人は警察内部が高いと思い、尾行びこうをしておいた。この男の可能性が高まっている。この男の過去については任せる」と。
写真が何枚か置いてあった。
見てみるとそこに写っているのは女といちゃついている男の姿。
自分の車に乗り込んでいこうとする姿がとらえられていた。

「これ、警視総監じゃないか!」
「しかも、警視庁のトップ!」

そこに写っていたのは警視庁のトップの男だった。
確か妻を亡くしていて、今は独り身のはず。
何故ここにきて警察庁のトップが出てくるのだろうか。
西崎はシンの持っている封筒の中身を見せてほしいと頼んだ。
そこにはある事件の切り抜きされた新聞と調書ちょうしょのコピーが入っていた。
「身元不明の遺体、発見か」、「遺体は6歳の少女断定」
「40代の女性死亡、ひき逃げか」、「犯人は無免許 引いたことは知らない」
このような見出しが載っていた。
これは一番最初に聞いた警視総監の話に似ている。
調書には娘には首を絞められたような絞殺痕こうさつこんがあって、ほぼ即死そくし状態。
妻に至っては頭を強く打っていることによる脳挫傷のうざしょうであることが判明した。
そして、最後の1枚にはこう書かれてあった。
「夫の控訴棄却こうそききゃく 裁判所がもみ消したか」
そんな記事が書かれてあった。
この夫というのはおそらく警視総監であるとみて推測した。

「まさかな・・・あの警視総監が犯人だっていいたいのか」
「世間への逆恨さかうらみ・・・。それが妥当だとうとしかいえない。だから関係のない人たちを次々に殺害した」

「でも、何の根拠があるんですか?」

根拠は本人にしかわからない。
それを言っていたのは鋳剣だ。
間違いなくこれは警視総監の仕業とみて間違いない。
だが、どうして魔道がこの人にとりついているのだろうか。
なんにせよこれは止めなければいけないことなのだ。
急いで3人は警視庁に向かうことにした。
次の被害者が出る前に食い止めるためにも・・・。
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