魔探偵探偵事務所

カクカラ

文字の大きさ
39 / 101
1章3節 欲まみれの浸食

3-1 (60話)

しおりを挟む
しばらく喫茶店きっさてんの中で事件のことを話していた。
そんなことをしているうちに夕方になっていた。
午後の5時半前。
慌てて時計を見て驚いてしまった。

「西崎さん、もうこんな時間ですよ。そろそろ警視庁に戻らないといけないんやありません?」
「そんな時間か。さすがに戻って資料を確認しないといけないな」

イスから立ち上がろうとすると、マスターが待ってほしいと声をかけた。

「もし、警察庁に戻るんだったら資料室行ってみたら?たぶんその事件の資料あるかもしれないから」

急に変なことを言ってくる。
警察庁に何か関係しているような言い方をしている。
このマスターがどんな人間かまたわからなくなってきた。
その言葉に一応返事をしたのだが、本当にあるのだろうか。
変な予感しかしない。
なんだかこのマスターが怪しい人物に思えてくる。

「まあ、確認はしてみるが・・・」
「してみるじゃなくてするんですよ。マスターの言うことは本当なんですから」

シンはマスターのことを疑いもせずに信じている。
どこにそんな余裕があるのだろうか。
不思議な人間が2人もいると、不安だらけで仕事にならなくなりそうだ。
むしろ、病気になりそうで怖い。

「シン君はマスターのこと、信用したはるんですね」
「いつもこんな感じだから気にしないでね。マスターも昔の仕事の癖が出てるから」

昔の仕事というのは何だろうか。
ますます気になってしまう。
でも、気にしている暇もない。
今は事件のことに集中しなければいけない。

「あぁ、代金だな。いくらだ?」
「いいよいいよ。今回は僕のおごりにしていくから」

気前のいいマスターだけど、事件の話をするとすごいしゃべる。
昔の仕事が気になって仕方がなくなりそうだ。
シンがここまで信頼しているのだから何かしらの情報は持っているのだから、少し信用してもいいのかもしれない。
西崎は財布を持ったまま立ち尽くしてしまう。
スーツも持たないまま立ち尽くすのもなかなかない。

「西崎さん何立ち止まってるんです?まさか、冬眠とうみんでもするつもりですか?ここだったら邪魔じゃまなんで樹齢じゅれいが長い場所に行ってくださいよ」
「冬眠なんてするか!なんで樹齢の長い場所で寝なきゃいけないんだよ!んなもん死ぬだろ!」
「知らないんですか?冬眠する動物って寝てるわけじゃないんですよ。体力を極限きょくげんまで保てるように木の中に入って冬を過ごしているんですよ」

いい情報だが、1つ1つが腹が立ってしまう。
あんな子供でここまでの知能をもつとこんなふうに扱われることを知る。
イライラが収まらない西崎はズカズカと喫茶店を後にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

淡色に揺れる

かなめ
恋愛
とある高校の女子生徒たちが繰り広げる、甘く透き通った、百合色の物語です。 ほのぼのとしていて甘酸っぱい、まるで少年漫画のような純粋な恋色をお楽しみいただけます。 ★登場人物 白川蓮(しらかわ れん) 太陽みたいに眩しくて天真爛漫な高校2年生。短い髪と小柄な体格から、遠くから見れば少年と見間違われることもしばしば。ちょっと天然で、恋愛に関してはキス未満の付き合いをした元カレが一人いるほど純潔。女子硬式テニス部に所属している。 水沢詩弦(みずさわ しづる) クールビューティーでやや気が強く、部活の後輩達からちょっぴり恐れられている高校3年生。その美しく整った顔と華奢な体格により男子たちからの人気は高い。本人は控えめな胸を気にしているらしいが、そこもまた良し。蓮と同じく女子テニス部に所属している。 宮坂彩里(みやさか あやり) 明るくて男女後輩みんなから好かれるムードメーカーの高校3年生。詩弦とは系統の違うキューティー美女でスタイルは抜群。もちろん男子からの支持は熱い。女子テニス部に所属しており、詩弦とはジュニア時代からダブルスのペアを組んでいるが、2人は犬猿の仲である。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...