魔探偵探偵事務所

カクカラ

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1章3節 欲まみれの浸食

3-7 (66話)

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シンはある場所から何かを引きずり出してきた。
しっかりとした麻袋。
これが何の関係があるというのだろうか。

「なんですか?その麻袋」
「この麻袋に大金を詰めて運んだんです」

麻袋で大金を運ぶなんてことは不可能だ。
1人で持つとするならばかなりの重量がかかってくるはず。
それをどうやって持ち出せたというのだろうか。
シンはそれを実際にやって見せてた。

「この麻袋の中には実際に大金を積んだ時の重さがわかるように砂を入れておきました。かなりの重量で1人で持つにはかなりの重労働じゅうろうどうになります。なんせ今この袋に入っているのは砂なので持ったら破れる可能性もあります。もちろんお金も同じことです。肩から背負うようにして持てば袋の底が重量に耐えきれずに破れてしまう可能性があります」

実際にシンが肩に背負って持ってみたところ、何分かで破れてしまった。
一気に砂が下にドサッと落ちていくのがわかった。
しっかりとしている麻袋でも一定以上の重さを超えれば耐えられない。
これを1人でやろうとするにも、重さの関係で麻袋を引きずるぐらいしかできないと考えた。
引きずってしまえば、お金が出て追跡されるケースがあるため大金を確保することはできない。
むしろ、追跡されて犯行された一部始終を見られてしまう。
これでは犯行は水の泡になってしまう。
その他にもジェラルミンケースに入れるという策があるが、ケースを大量に必要になるため1人では難しい。
なのでこのパターンもない。
ならどうやって持ち出したというのだろうか。

「そこで犯人はこの麻袋を使ってあることをしたんです」
「それは魔道との同化です」

魔道との同化と麻袋。
一体何の関係があるというのだろうか。

「まず犯人は魔道を呼び出し、武器化を試みた。そして、この頑丈な扉を切りつけて人が入れるような穴を作った。もちろん普通の人間には魔道も武器化した切り込みなんて見えはしない。それは計算の内に入っていた。問題はどうやって大金を持ち出したかってことだ。金庫内に入って武器化を解除した犯人はまず戸惑っただろうな。金庫内に多額の金が本当に存在したなんて夢にも思わなかったんだろ」
「慌てふためいた犯人はどのように持ち出すかを考えていました。1人という犯行でどうやって大金を手に入れるのかを。そこで魔道は犯人にある提案をしたんです。同化をして持ち出せばいいのだと。でも、そこには犯人には知らないことがあったんです。それは同化の能力と武器化の能力は一緒だということに」

同化の能力と武器化の能力が一緒というのはどういうことなのだろうか。
犯人も知らなかった能力の正体とは何だったのか。

「一緒だぁ?」
「それはどういう意味なのですか?」
「魔道には本来引き出せる力と引き出せない力があります。引き出せる力には魔道の適材適所である能力を発揮します。例えば、男にある不満があったのなら振り向かせる能力やすべての自供を吐き出すといった能力が考えられますよね。それと同じことなんです。魔道には魔道なりの能力がある。できるものとできないものの差があるように魔道にも適した能力があるということなんです。仮に魔道にできないものを頼んだとしましょう。これをしてほしいと頼みますが、犯人にとっての犯行とは全く異なることが起きてしまいます。これは人間の長所と短所と同じ摂理ということなんです」

簡単なようで難しい説明をするシン。
人間と同じように魔道にも長所や短所があるということなのだ。
頼むことが異なれば、それぞれ違う。
成功するのも失敗するのも運次第。
それを決めるのは人間と魔道との共有関係にあるということなのだ。
そのことを踏まえた上でどうやってお金を盗み出すことができたのか。
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