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1章4節 幸せの居場所
1-3 (77話)
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警視庁に岩城を残したまま西崎はシンに言われて事務所にやってきた。
事務所についたときには疲れ果てていたのが元気になっているようにも思えた。
あの長い長い説明を聞いていてうっとおしいと思っていたあの話から逃げられる時がくるなんて思いもしなかった。
「あぁ・・・助かったぜ・・・。あの熱には耐えられんわ・・・」
西崎は車から降りて事務所に入っていった。
足取りが軽いからかすぐにシンのいる部屋についた。
ノックを2回して扉を開ける。
「よぉ!!何か用か!!って・・・」
ついうっかりボロを出してしまった。
シン1人だと思っていたが、違った。
客が1人いた。
最悪だ。こんな警察がいるって知られたらメンツががた落ちになる。
岩城のストレスをここで発散してしまったのが仇になってしまった。
「西崎さんはアホですか?客が来てるというのに、大声出す人間いませんよ。そんなことする人は完全にアホですね」
「アホアホ言うな!!誰かが来てるなんて知らなかったんだよ!!」
西崎は赤っ恥をくらった状態でシンのいるところまで向かい、シンの隣にドスッと座った。
「ちょっとすいません。あの、今日は岩城さんいないんですね」
「ああ、あいつは今警視庁でお留守番でもしてるんじゃねぇか?あいつのオタク話にはついていけないんだよ。ベラベラと語られると俺もたまったもんじゃないわ」
「だから、助けてくれって言ったんですね。あのまま岩城さんの餌食になればいいと思っていたんですけど」
一言一言グサリと突き刺さる言葉。
餌食になればいいってシンはどういう性格してるんだ。
あいつの本性を知らないからそう言えるんだ。
「あの・・・こちらの方は?」
「すいません。紹介が遅れました。この方は警察の方です。訳あって僕が呼んだのでお気遣いなく」
西崎はポケットから警察手帳を取り出して警察であることを伝えた。
「警視庁特別魔道対策室の西崎です」
「彼女は依頼者の黛 美沙(まゆずみ みさ)。ある理由でこちらに来られたんです」
「ある理由?もしかして、俺を呼んだのはそのためか?」
シンはため息をついて西崎にいらだちを向けた。
そのため息は何だ。
怒りをぶつける相手が違うだろとシンを睨みつける。
「で、その理由っていうのは何だ?」
「その理由はですね・・・」
理由を話そうとした瞬間、何か音がした。
結構鈍い音が。
たまたま秘書が隣にいたので、確認をしに向かった。
扉を開けた先にはうつ伏せに倒れた男の姿があった。
チラッと見えるネクタイの柄、スーツが少し埃まみれになっている。
息が切れているのかうつ伏せ状態のまま動かない。
「あのこちらの方って・・・」
「ちょっとすいません」
シンと西崎は立ち上がり、扉の前まで向かっていった。
そこにはうつ伏せになった男の姿があった。
でも、見たことがある。
西崎はゆっくりと顔のところまで向かっていった。
髪の色にスーツ、ネクタイの柄。
そして、倒れた姿。
明らかに見たことがあった。
息切れの声が少し聞こえる。
西崎はまさかと思った。
何歩か後ろによってしまった。
シンは西崎のちょっとした姿を見逃さなかった。
「どうしたんです?顔色悪いですけど」
「嘘だろ・・・何でお前・・・」
ゆっくりと顔が上がってくる。
ゴクリと西崎は唾を飲んだ。
何だか冷や汗が出てくる。
3人はその姿を確認するためにその場に立ち会った。
顔が上がった瞬間、西崎はハッとした顔になった。
「何で僕を置いていくんですか!!それでも西崎さんは僕の上司なんですか!!」
まさかのまさかだった。
岩城がこの事務所にやってきていた。
どうやってここに来たのだろうか。
警視庁からこの事務所までかなりの距離があるというのに。
走ってきたのか?それともタクシーでもひろったのか?
それを超えてまで来たのは意外だった。
「岩城さん、来たんですね。でも、どうやって来たんです?」
「走って・・・きたに決まってるでしょ・・・」
そりゃ息が切れているわけだ。
あんな距離を走ってくる努力がすごい。
見くびらない方がよかったかもしれない。
「お前・・・度胸あるなぁ・・・俺じゃあできないな。じゃねーよ!!お前どこで気づいたんだよ!! 」
「僕が・・・真剣に話をして・・・話終わった頃にはもうおらんかったんで・・・僕の携帯見たらシン君の・・・電話が履歴に残ってたんで・・・それで・・・」
「すごい神経ですね。だから、西崎さんが助けてくれって言ってたんですね。そりゃ話がわかりますわ」
でも、この岩城をどうするのだろうか。
中に入れるのかそのままにしておくのか。
結果は意外だった。
事務所についたときには疲れ果てていたのが元気になっているようにも思えた。
あの長い長い説明を聞いていてうっとおしいと思っていたあの話から逃げられる時がくるなんて思いもしなかった。
「あぁ・・・助かったぜ・・・。あの熱には耐えられんわ・・・」
西崎は車から降りて事務所に入っていった。
足取りが軽いからかすぐにシンのいる部屋についた。
ノックを2回して扉を開ける。
「よぉ!!何か用か!!って・・・」
ついうっかりボロを出してしまった。
シン1人だと思っていたが、違った。
客が1人いた。
最悪だ。こんな警察がいるって知られたらメンツががた落ちになる。
岩城のストレスをここで発散してしまったのが仇になってしまった。
「西崎さんはアホですか?客が来てるというのに、大声出す人間いませんよ。そんなことする人は完全にアホですね」
「アホアホ言うな!!誰かが来てるなんて知らなかったんだよ!!」
西崎は赤っ恥をくらった状態でシンのいるところまで向かい、シンの隣にドスッと座った。
「ちょっとすいません。あの、今日は岩城さんいないんですね」
「ああ、あいつは今警視庁でお留守番でもしてるんじゃねぇか?あいつのオタク話にはついていけないんだよ。ベラベラと語られると俺もたまったもんじゃないわ」
「だから、助けてくれって言ったんですね。あのまま岩城さんの餌食になればいいと思っていたんですけど」
一言一言グサリと突き刺さる言葉。
餌食になればいいってシンはどういう性格してるんだ。
あいつの本性を知らないからそう言えるんだ。
「あの・・・こちらの方は?」
「すいません。紹介が遅れました。この方は警察の方です。訳あって僕が呼んだのでお気遣いなく」
西崎はポケットから警察手帳を取り出して警察であることを伝えた。
「警視庁特別魔道対策室の西崎です」
「彼女は依頼者の黛 美沙(まゆずみ みさ)。ある理由でこちらに来られたんです」
「ある理由?もしかして、俺を呼んだのはそのためか?」
シンはため息をついて西崎にいらだちを向けた。
そのため息は何だ。
怒りをぶつける相手が違うだろとシンを睨みつける。
「で、その理由っていうのは何だ?」
「その理由はですね・・・」
理由を話そうとした瞬間、何か音がした。
結構鈍い音が。
たまたま秘書が隣にいたので、確認をしに向かった。
扉を開けた先にはうつ伏せに倒れた男の姿があった。
チラッと見えるネクタイの柄、スーツが少し埃まみれになっている。
息が切れているのかうつ伏せ状態のまま動かない。
「あのこちらの方って・・・」
「ちょっとすいません」
シンと西崎は立ち上がり、扉の前まで向かっていった。
そこにはうつ伏せになった男の姿があった。
でも、見たことがある。
西崎はゆっくりと顔のところまで向かっていった。
髪の色にスーツ、ネクタイの柄。
そして、倒れた姿。
明らかに見たことがあった。
息切れの声が少し聞こえる。
西崎はまさかと思った。
何歩か後ろによってしまった。
シンは西崎のちょっとした姿を見逃さなかった。
「どうしたんです?顔色悪いですけど」
「嘘だろ・・・何でお前・・・」
ゆっくりと顔が上がってくる。
ゴクリと西崎は唾を飲んだ。
何だか冷や汗が出てくる。
3人はその姿を確認するためにその場に立ち会った。
顔が上がった瞬間、西崎はハッとした顔になった。
「何で僕を置いていくんですか!!それでも西崎さんは僕の上司なんですか!!」
まさかのまさかだった。
岩城がこの事務所にやってきていた。
どうやってここに来たのだろうか。
警視庁からこの事務所までかなりの距離があるというのに。
走ってきたのか?それともタクシーでもひろったのか?
それを超えてまで来たのは意外だった。
「岩城さん、来たんですね。でも、どうやって来たんです?」
「走って・・・きたに決まってるでしょ・・・」
そりゃ息が切れているわけだ。
あんな距離を走ってくる努力がすごい。
見くびらない方がよかったかもしれない。
「お前・・・度胸あるなぁ・・・俺じゃあできないな。じゃねーよ!!お前どこで気づいたんだよ!! 」
「僕が・・・真剣に話をして・・・話終わった頃にはもうおらんかったんで・・・僕の携帯見たらシン君の・・・電話が履歴に残ってたんで・・・それで・・・」
「すごい神経ですね。だから、西崎さんが助けてくれって言ってたんですね。そりゃ話がわかりますわ」
でも、この岩城をどうするのだろうか。
中に入れるのかそのままにしておくのか。
結果は意外だった。
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