魔探偵探偵事務所

1章４節 幸せの居場所

1-5 （７９話）

しばらく依頼の内容を聞いていた2人。
いろいろと聞いていたが、引っかかる点はなかった。
西崎は右手を顔に当てて考える。
シンは無表情で依頼者の内容を聞いていく。

「そうですか。わかりました。それでは１週間ですが、調査の方をさせていただきます。依頼料は調査終了後にお支払いいただきます」
「わかりました。よろしくお願いします」

依頼者は立ち上がり一礼すると、部屋を出て行こうとする。
西崎も依頼人の見送りをする。

「こちらも何かわかりましたら、こいつを・・・いや3代目に逐一ちくいち報告させてもらいます」
「ありがとうございます、ではこれで」

扉を開けると、悶絶している岩城の姿が目に入った。
廊下の隅で小さく悶絶しているが、帰る道には邪魔じゃまにはならなかった。
黛は一礼をして事務所を後にした。
さて、次は・・・。
この岩城の回収だが、惨みじめな岩城を見ていると笑ってしまいそうになってしまう。
小さくなっている姿なんて滅多めったに見れないのだから。

「さてと、とりあえず俺はこれからその現場に向かうわ。いろいろと聞いてみたいことあるしな」

西崎は依頼者が言っていた場所に向かうため事務所を後にする。
しかし、ここに岩城を置いていくわけにはいかない。
かといって、シンの部屋に入れて１日ここで過ごすとなるとかなり迷惑になる。
どっちにしても邪魔という立場になってしまう。
なら連れていくしかない。
西崎の判断はこうするしかなかった。

「おい、岩城。ここで小さく悶絶するぐらいなら俺の車でしろっての。ここにいられても通路の邪魔になるだけだぞ。それと今回の事は反省するんだな」

そう伝えて行こうとするが、悶絶しっぱなしの岩城が１歩も動こうとしない。
西崎は岩城の近くまで行ってスーツの袖そでを掴んで引きずって帰っていった。
苦しそうな岩城の顔がチラリと見える。
眉間にしわを寄せたまま西崎に引きずられていく。
その姿がだんだん小さくなっていくとシンはクスリと笑って部屋に入っていった。

「ほ・・・ほんまに痛いです・・・立てへんぐらいなんですけど・・・」
「うるせぇ！！まさかお前が走ってここまでくるなんて思ってなかったんだよ！！それにもし部屋に入ってたらお前の息切れがうるさいから入れなかったんだよ！！それにあそこまで熱入るなんて誰が思うよ！？」

引きずられていく岩城。
今は息切れの様子はないが、いまだに悶絶している。
事務所内で引きずる警官なんて見たことない。
情けない警察官の姿。恥ずかしくて見てられない。
西崎は車のところまで岩城を引きずっていった。