魔探偵探偵事務所

カクカラ

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1章5節 盤上の世紀末

1-1 (108話)

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真夏の暑い7月下旬げじゅん
汗がしたたり落ちるくらいの熱気と暑さ。
湿度が高くて熱気がこもっていく。
大きな音と共に叫び声も響き渡る。
床を叩く音や鈍ったような音まで。
室内に響き渡っていた。
薙刀なぎなたを振る1人の少女。
汗をもろともせずに振り続けていた。
その相手をしていたのは水色の髪の少年。

「もう少し短い間隔かんかくあけてみて」

竹刀を振りながら薙刀をかわしていく。
疲れを切らすような素振りはない。
黙って指示した通りに進めていった。
それを黙ってみるかのように警官2人と1人の少女が見つめる。

「よくやるよなーっ・・・夏休みだからってここまで稽古けいこさせて大丈夫なのか?」
「まあ、美沙ちゃんが稽古をつけてほしいと言ってきたんですからいいやないですか。本人の希望とあっては」

前回の事件で魔探偵になってほしいという報酬をもらった美沙は魔探偵になることを決め、自分と同じ状況に陥った人間を救うことを決めた。
それと条件に猪野糸の加入も条件として加えられ、猪野糸も正式に魔探偵として入ることになった。
しかし、そこだけは納得がいかなかった。
でも、これは絶対条件のため受け入れるしか方法がなくなる。

「にしてもよぉ・・・」

西崎はチラッと猪野糸を横目に見る。
ため息しかつけない。
よくこんな人を受け入れる覚悟がいったものだ。

「こんなバカいれる必要性あったのか?学校サボるような奴をよぉ・・・」
「仕方ないでしょ。一応条件なんですから」
「条件って守らなきゃいけないもんか?俺にはよくわからんけどよ」

本当にそんなんで刑事なのだろうか。
ため息しか出てこない。バカが1人増えたような気がして休まらない。

「西崎警視ってもしかしてほとんど約束守らないんですか?それやったら侵害しんがいですね」
「んなわけないだろ!?バカなこと言ってんじゃねーよ!!」

焦り始める西崎に動揺すらないシン。
岩城に1発脳天にぶつけるとスッキリしたような顔でニヤニヤと笑う。

「本当にこの人警察なの?何かうさんくさいな」
「一番言われたくないな、こういうバカって言われてる人間には」

敵意をむき出しにしている西崎は猪野糸を見て睨みをきかせた。
仲がかなり悪い。これだけは文句が言えない。
咳払いをしてその場を沈めようとするシン。

「さ、次は猪野糸の番だ。薙刀持って訓練するぞ」
「嫌だ」
「何で断る!?お前何時間休んでんだ!?もう半日以上は休んでるだろ!?いい加減に稽古しろ」

ふくれっ面をしてシンを見つめる。
まるでやる気のない格好。
こればっかりはシンもイライラを募らせていた。
条件付きで入れたのにここまで拒否反応きょひはんのうを示すとたまったもんじゃない。

「だって・・・」
「だってじゃないだろ・・・。俺言ったよな?勉強も訓練もしっかりするって約束。それを今ここで裏切るつもりか?嫌なら出ていっていいんだぞ」

その約束事を言われると動かずにはいられない。
仕方なく猪野糸は訓練に参加し、汗を流した。
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