88 / 101
1章5節 盤上の世紀末
1-2 (109話)
しおりを挟む
一通りの訓練を終えて休憩をする一行。
荒い息を整えようとゆっくりと息を吸い込んだ。
気持ちだけでなく心まで落ち着かせようと深呼吸のように深く吸って吐いた。
顔中に汗がしたたり落ちてくる。
シンは立った状態で背伸びをして気持ちを落ち着かせた。
「もう・・・無理ぃ・・・立てないよぉ・・・」
床に手をつけて荒い息を整える真織。
こんなにも厳しい訓練をするのは初めてだった。
全身が痛くて立てそうにもない。
素人がこんなにも練習をしていたら身体が持たない。
せいぜい数日が限界というレベルの動きをわずか半日で動き回った。
使わない筋肉を使うのはかなりハードなのだろう。
筋肉痛になることは間違いなかった。
「そんなんでへばってちゃ魔探偵なんて夢のまた夢にしかならないぜ」
「そないですよ。僕らやってこれだけ動いてるんですから。なんせ基本中の基本ですからね」
西崎と岩城の手にはペットボトルが5本。
自分たちのだというのがすぐにわかった。
真織は西崎からペットボトルを1本受け取ると、すぐにキャップを開けて飲み始めた。
一口、二口が大きいからか中身がどんどん減っていくのがわかった。
「本当に豪快にいくなぁ!見ててスッキリするぜ」
「相当乾いていたみたいですね。あれだけ動いたら無理ないですよ。今まで体育の授業ぐらいしか動いてなかったですから」
シンの一言が真織の心に突き刺さる。
平然な顔をして言えるというのはよほど態度の悪い奴だと真織は思った。
そんなことにも笑ってごまかす西崎とはわけが違った。
すまし顔の岩城の方が優しくて貫禄があって頼りたくなる。
ただ、気が小さいのはどうにかしてほしいところでもあった。
「まあ、ええやないですか。こういう時にこそ動いて汗をかいた方が痩せれていいやないですか。それにまだ成長期ですし筋肉も早く修復されていいですよ。ホンマに僕も若い頃に戻りたいぐらいですよ」
苦笑いをしながらペットボトルを美沙に手渡す。
若いというのはいいのかもしれないが、岩城だってまだ若い。
自分は年老いた人間だと思っているのかシン達を見ていると、若い子供達が羨ましく思えてくる。
「岩城さんの若い頃って何してたんです?」
「僕はただのさぼりですよ。勉強も嫌で毎日机で寝てました。でも、高校入ってから夢が出来たおかげで勉強に毎日打ち込んでいたんです。中学の時に何があったんやって思うかもしれんのですけど」
本当に若い頃はさぼってばかりの今時の男の子だった。
だが、なぜだかふと夢というものが出来た。
それに夢中になったことはなかったが、夢という物が出来てから勉強を必死にやった。
その結果、公務員である警察官になることが出来た。
何が影響したかはわからないが、きっと何がのきっかけがあったに違いない。
西崎も初めてそのことを聞いて少しホッとした顔をしていた。
周りも疲れた顔から少し笑顔になれた。
荒い息を整えようとゆっくりと息を吸い込んだ。
気持ちだけでなく心まで落ち着かせようと深呼吸のように深く吸って吐いた。
顔中に汗がしたたり落ちてくる。
シンは立った状態で背伸びをして気持ちを落ち着かせた。
「もう・・・無理ぃ・・・立てないよぉ・・・」
床に手をつけて荒い息を整える真織。
こんなにも厳しい訓練をするのは初めてだった。
全身が痛くて立てそうにもない。
素人がこんなにも練習をしていたら身体が持たない。
せいぜい数日が限界というレベルの動きをわずか半日で動き回った。
使わない筋肉を使うのはかなりハードなのだろう。
筋肉痛になることは間違いなかった。
「そんなんでへばってちゃ魔探偵なんて夢のまた夢にしかならないぜ」
「そないですよ。僕らやってこれだけ動いてるんですから。なんせ基本中の基本ですからね」
西崎と岩城の手にはペットボトルが5本。
自分たちのだというのがすぐにわかった。
真織は西崎からペットボトルを1本受け取ると、すぐにキャップを開けて飲み始めた。
一口、二口が大きいからか中身がどんどん減っていくのがわかった。
「本当に豪快にいくなぁ!見ててスッキリするぜ」
「相当乾いていたみたいですね。あれだけ動いたら無理ないですよ。今まで体育の授業ぐらいしか動いてなかったですから」
シンの一言が真織の心に突き刺さる。
平然な顔をして言えるというのはよほど態度の悪い奴だと真織は思った。
そんなことにも笑ってごまかす西崎とはわけが違った。
すまし顔の岩城の方が優しくて貫禄があって頼りたくなる。
ただ、気が小さいのはどうにかしてほしいところでもあった。
「まあ、ええやないですか。こういう時にこそ動いて汗をかいた方が痩せれていいやないですか。それにまだ成長期ですし筋肉も早く修復されていいですよ。ホンマに僕も若い頃に戻りたいぐらいですよ」
苦笑いをしながらペットボトルを美沙に手渡す。
若いというのはいいのかもしれないが、岩城だってまだ若い。
自分は年老いた人間だと思っているのかシン達を見ていると、若い子供達が羨ましく思えてくる。
「岩城さんの若い頃って何してたんです?」
「僕はただのさぼりですよ。勉強も嫌で毎日机で寝てました。でも、高校入ってから夢が出来たおかげで勉強に毎日打ち込んでいたんです。中学の時に何があったんやって思うかもしれんのですけど」
本当に若い頃はさぼってばかりの今時の男の子だった。
だが、なぜだかふと夢というものが出来た。
それに夢中になったことはなかったが、夢という物が出来てから勉強を必死にやった。
その結果、公務員である警察官になることが出来た。
何が影響したかはわからないが、きっと何がのきっかけがあったに違いない。
西崎も初めてそのことを聞いて少しホッとした顔をしていた。
周りも疲れた顔から少し笑顔になれた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
淡色に揺れる
かなめ
恋愛
とある高校の女子生徒たちが繰り広げる、甘く透き通った、百合色の物語です。
ほのぼのとしていて甘酸っぱい、まるで少年漫画のような純粋な恋色をお楽しみいただけます。
★登場人物
白川蓮(しらかわ れん)
太陽みたいに眩しくて天真爛漫な高校2年生。短い髪と小柄な体格から、遠くから見れば少年と見間違われることもしばしば。ちょっと天然で、恋愛に関してはキス未満の付き合いをした元カレが一人いるほど純潔。女子硬式テニス部に所属している。
水沢詩弦(みずさわ しづる)
クールビューティーでやや気が強く、部活の後輩達からちょっぴり恐れられている高校3年生。その美しく整った顔と華奢な体格により男子たちからの人気は高い。本人は控えめな胸を気にしているらしいが、そこもまた良し。蓮と同じく女子テニス部に所属している。
宮坂彩里(みやさか あやり)
明るくて男女後輩みんなから好かれるムードメーカーの高校3年生。詩弦とは系統の違うキューティー美女でスタイルは抜群。もちろん男子からの支持は熱い。女子テニス部に所属しており、詩弦とはジュニア時代からダブルスのペアを組んでいるが、2人は犬猿の仲である。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる