魔探偵探偵事務所

カクカラ

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1章5節 盤上の世紀末

1-5 (112話)

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さっきから聞いていると知ったような口をベラベラと。
西崎にとっては腹の立つ相手になった。
勝手に上がり込んでは悪口のオンパレード。
それどころか具合の悪い人間を止めてさらに悪口。
こんな人間を叩きなおす必要がありそうだ。
個性丸出しの人間には悪いが、ここで喝を入れて黙っていただこう。
西崎は岩城にシンを預けて、女の子に近づいた。

「さっきっからあいつの事を知ったような口を聞いてるみたいだけど、お前より俺の方が詳しいんだよ。何年あいつとつるんできたか・・・」
「ふぅーん。じゃあ、悪口には耐えてんだ」
「そうなんだよって・・・何で知ってんだよ!」

何で知っているんだ。
今までやられてきた事を一瞬にして見抜けられてしまった。
本当に何でも知っているような感じに見えてしまう。
この女の子はあなどれない。
冷や汗がこぼれ落ちてくる。
変な空気がただよい始める。
周りの3人もその空気を感じ始めていく。

「何や西崎さん様子が変ですね・・・。冷や汗がひどいような感じが・・・」
「でも、西崎さんにこんな事ってあるんですか?」

ここまでの逆境ぎゃっきょうが西崎にはあっただろうか。
窮地きゅうちに立たされる姿が目に浮かんでくる。
美沙と真織は西崎のこんな姿を見たことがない。
岩城もこんな事なんてなかった。
常に熱心で暑苦しい感じの西崎は今は冷静になれていない。
焦りに焦ってしまって周りが見えていない。
この子に飲み込まれそうになっていくにつれて危険な香りがする。
先輩が窮地に立たされている姿。
見過ごせない事態に岩城もゴクリと唾を飲む。

「悪口には耐えてるわりには疲れてる様子が見えるけど?もしかして、振り回されてるんじゃないの?あいつが警察まで厄介かけてるなんて本当に大変な奴だよね」

厄介ってなんだ。
一瞬苛立いらだちがどんどん膨らんでくる。
こんな女の子に腹を立つなんて嫌になる。
一発殴りたい。だが、女の子に手を挙げるなんて警察官らしくない。
でも、むしゃくしゃする。
仕方ない!こうするしか方法がないんだ!!
西崎は女の子に1歩1歩ズカズカと歩いていった。
目の前に立ち止まって女の子を見下ろす。

「さっきから聞いてりゃああいつの事を知ってるような口ぶりじゃねーの。それだけは認めてやってもいいわ。けどよ・・・」

西崎は女の子に向かって右手で握りこぶしを見せた。
これは本当に警察のしていい事ではない。
だが、これも指導の一環いっかんなんだ。
どうなろうと知ったことではない。
生徒指導も出来ない警察なんて恥知らず以上に恥知らずだ。
ならどうにでもなってしまえ。
西崎は女の子に向かって握りこぶしを振り上げた。
だけど、それは一瞬の出来事で終わってしまった。
ドンッ!!!
何かを強く叩いたような音が響き渡った。気が付いたら西崎の姿がない。
それどころか岩城の姿もない。どこに行ってしまったのか。
女の子の後ろから足のようなものが出ているのを美沙と真織は見た。
見た感じは男性のようにも見える。
シンは今の音に体調が良くなってしまった。
それどころかさっきの音に大きく反応をしたおかげかもしれない。 

「西崎さんと岩城さんは?」
「あの女の後ろだよ」

女の後ろと言われて急いで美沙と真織は女の子の居る方向に走った。
女の子を横切ると、そこにいるのは間違いなく西崎と岩城だった。
それどころか西崎に至っては握りこぶしをしていた右手が女の子に掴まれていた。

「あ・・・れ?」

キョトンとした顔で天井てんじょうを見つめていた。
何が起きたのかさっぱりわからない。
気づいたらもうこうなっていた。
音だけはわかったが、何が何だかわからない光景を見た。
急に振り下ろされて、気が付いたら床にたたきつけられていた。
それどころか・・・。
左足に何か違和感を感じる。
冷たいような温かいような感触。
身体が思うように起こせない。

「なぁ、何か俺の左足に何かいる?変な感触かんしょくすんだけどよ・・・」

美沙と真織に確認をすると、確かにその感触のする先に誰かがいた。
手が上に上がっていて、うつ伏せ状態で倒れている。
ピクリとも動かない。これはもしかして、死体か?
いやでもこれは見覚えのある髪型だった。
茶髪に短髪。顔が分からないから誰なのか気づかない。
美沙は周りを見渡してある事に気が付く。
1人足りないことに。
その1人は・・・岩城。
と、いうことはこれは・・・。

「ま、マジ?」
「これってもしかして・・・岩城さん!?」
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