魔探偵探偵事務所

カクカラ

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1章2節 狩人の目覚め

1-1,2 (12,13話)

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机を叩く1人の警察官。
納得のいかないことが起こっていた。
警視庁けいしちょう上司じょうしに連続殺人鬼の足取あしどりをさせてもらえないなんて。
男は説得せっとくこころみたが、結果はくつがえることはなかった。
びびる警官と2人で警視庁の子守こもりをしろと言いたげらしい。
何でも関西から来た新米の警官らしく、階級かいきゅう巡査部長じゅんさぶちょうらしい。
この男の2つ下の階級だそうだ。
男の階級は警視けいし。警察本部の課長が何故巡査部長の相手をしなければいけなくなったのだろうか。
警視総監から言われても食い下がることはない。
上下関係なんてお構いなしだった。
捜査に出られるものなら出たい。
それが警察のつとめというものだ。
納得いかない警視は特別対策室とくべつたいさくしつを後にした。
それにつられてついていく巡査部長。
警視総監にお辞儀じぎをしてあとにした。


「何故こうなるんだ!ちゃんとした捜査までしていたというのに、どうして捜査をさせてもらえないんだ!」

歩くスピードが早い。1歩が大きすぎる。
ついていくのにもやっとだ。
茶色い髪にグレーのスーツに赤いネクタイ。短髪でタレ目、男とは思えないくちびる
しかし、女子からは人気でこの男の言葉で付き合いたい人間もいるらしい。
怒りになれば制御不能せいぎょふのうの状態。
マシンガントークになりそうな口使いが特徴。
仕事熱心な男。年齢は27歳。
この歳でまだ独身。

「ちょっ・・・待ってくださいよ」

息が荒くなっている。
これはまさしく運動不足だな。
同じ茶色い髪に短髪。切れ目に肌がすべすべしている。
黒のスーツに青いネクタイ。23歳にしてイケメン。
クールで私生活も未知数みちすうの男。
この2人の配属先はいぞくさき公安三課こうあんさんか
いわばはきだまりの場所として使われていた。
ほとんどは書類整理などの簡単な仕事のみ。
いるのはこの2人だけ。
あとはみんな一課や二課に派遣されていった。
昇格しょうかくしてもいいくらいの仕事量を一度でもいいからやってみたいものだ。

「何でこんなはきだめにいなければいけないんだ!お前もそう思うだろ!」
「そ・・そないですけど・・・。これは警視総監けいしそうかんの決定で・・・」
「総監の決定でもなんでもいい!俺はまともな仕事がしたいだけなんだ!何のためにいると思っているんだ!」

ムシャクシャしていて仕事どころではなかった。
椅子に座って考え事をする。
イライラがおさまらない。
ただ資料整理をするだけの課なんてまっぴらゴメンだ。
しかし、この2人にも転機てんきが訪れようとしていた。
それは2週間後。
この2人と1人の人間によって人生が変わった瞬間であった。
警視庁も変える大きな出来事だった。


三課で資料整理をしていたときのことだった。
いつものように資料を片付けては、雑用ざつようばかりしていた。
頼まれるようなことも一切ない。
ただの片付けだけ。
一息つこうにもつけない。
2人でやる仕事ってあるものなのか。
それを上司に言われたらどうしようもない。


「どうしてこううちに頼んでくるんだか。雑用としか思われていないな」


西崎 耕時にしざき こうとき。三課の部長でかなりの頑固者がんこもの
そして、真向まむかいにいるのは岩城 琢磨いわしろ たくま
仕事はできるが、おちょこちょい。たまにドジを起こすのが痛手いたでだ。
この2人しかいない三課ははきだまり。
他の人はここに来た瞬間、退職願たいしょくねがいを出して去っていった。
数十人いたというのにあっという間に2人になった。
しかも、1人は新米しんまい
これはこたえる。


「ほんまにそうなんですかね。僕は楽しいですよ」
「それは舐められてる証拠だ。新米だからって容赦ようしゃがないからな」


ここの課は必要とされないものの集まりでしかない。
毎日が苦痛くつうになることだってしばしある。
用があっても雑用程度の扱いにしかならない。
一部はこの三課を壊して新しい課を作ろうと計画されているみたいだが、はっきりとした内容は知らない。
黙々もくもくと資料整理をしていると、1人の警官がやってきた。
その人に2人は敬礼けいれいをして挨拶をした。
その人は警察庁の二番目に偉い警視監だった。
何をしにここまできたのだろうか。
まさかの人事異動じんじいどうか!?
そう思いこんだ。
しかし、警視監の口から意外な言葉が出た。


「仕事中に悪いね。突然なんだけど魔探偵って知ってるかい?」
「魔探偵ですか?あんまし聞かないですね」


警視監からの言葉に不穏ふおんな空気が立ち込める。
何故ここにきて魔探偵とやらを知っていると聞くのだろうか。
何かしらの理由があるのではないかと思い、西崎は聞いてみた。
すると、警視総監からの依頼で三課に行かせてやってほしいとのこと。
単なるパシリじゃないか。
断ろうとしたが、もうこのことについては魔探偵と警察、両方の許可が下りているため行かざるを得なくなる。
しかも、優秀ゆうしゅうな魔探偵に頼んであるというので、捜査資料そうさしりょうを魔探偵に持っていって見聞けんぶんをしてきてほしいという。


「そんなことしてもいいとお思いですか?相手は誰かもわからない一般人の可能性だってあるわけですよ。それを・・・」


そそくさとどっかに行ってしまった。
これは行くしかないのだろうか。
不穏がつのり始めていた。
いきどおりを感じながら2人は魔探偵のある場所に向かっていった。
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