称号がすべてのこの世界で少年は、世界最強を目指す!

フィンガー

文字の大きさ
4 / 9
第1章

成人の儀1日前の宿屋で

しおりを挟む
「おーい、お前達こっち見ろ!」

御者をしてたおっさんの方を振り向く。今俺達は宿屋の一階広場に集まっている。

「全員向いたなー。よし、これから男子同士女子同士で二人一組のペアを作れ!そして、ペアを作った奴らは俺のところに来て鍵をもらえ!いいな?」

おっさんが少し大きな声でそう言う。

「「「はい!」」」

「よし!じゃあ作れ!」

おっさんの指示が終わったらみんな一斉にペアを作り始めた。

「おい。俺は男子同士と女子同士でペアを作れって言ったろ」

俺はハブられているので一人余るまで突っ立っているつもりで突っ立っていると、そうおっさんが言ってるのが聞こえたのでおっさんの方に振り向く。
すると、おっさんの前にはシュウとシュウの腕にくっ付いているミントがいた。その光景を男子達も女子達も不満半分諦め半分といった顔で見ている。

「えー、いいじゃないですかー!私達付き合ってますし!ねー♡」

「ああ」

「し、しかしだなー」

「いいじゃないですかー!だって私達明日で成人するんですよー!シュウもいいよね?」

「ああ」

「む、むー.....................」

「お願いします!このとうり!」

ミントが手を合わせて拝む様にお願いする。

「わ、分かった............ほらよ」

おっさんは渋々鍵を渡す。

「やったー!ありがとうございます!行こ!」

「ああ」

ミントは体全体で喜びをあらわにしながら鍵を受け取り、シュウを引いて部屋に行った。
おっさんは部屋に行くシュウとミントの背を見ながら、「最近の若い奴はませてんな」と小さな声で言った。

おっさん、俺も俺もすっごく思う。てか、ませすぎだと思う。
まあ、俺には関係ない事だしいっか。

俺は早くペア決めろよ!と思いながら周りを見る。
周りでは男子達は「悔しいけどシュウだから仕方ないよな」と言い、女子達は「悔しいけどミントだし仕方ないよね」と言ってテンションだだ下がりな雰囲気でペアを作って直ぐに部屋に行く光景が広がっている。正直そんなことはどうでもいいので早くペアを作って欲しい。
ちなみに、ドンマは「くそう!羨ましい!だけど仕方ないしなー.................くそう!」と、ぶつぶつ言っていた。


そして、数分で最後のペアがやっとできて一人余った。

「うわ!頭花畑ラルクかよ!頑張れよロン!」

「うわ!残念だったなーロン。まぁ、頑張れよ!」

「うわ!マジでかー!最悪!てかお前ら人ごとみてーに言うなよ!」

「「いや、人ごとだし」」

「ひっでー!」

「まぁ、頑張れよ!じゃあな!」

「じゃあな!」

「仕方ねーな。じゃあな!」

最後のペアと残った一人がそんな話をして最後のペアが部屋に行く。

「はー、マジ最悪.....................ほら、部屋行くぞ」

余った一人が嫌そうな顔をしておっさんから鍵を受け取り、俺を呼ぶ。

お前より俺の方が最悪って言いたいよ。

「ああ」

適当に返事をした後俺はその後ろを付いて部屋に行った。



部屋に着くとさっきロンと呼ばれてた奴が、「明日早いから俺は寝る。だから、うるさくすんなよ。わかったか?」と言ってきた。それに、俺は「ああ」とまた適当に返事を返す。
ちなみに、俺はあまり人と関わらない様にしてきたせいで、村の奴らで母さんと父さんとドンマとミントとシュウの名前しか覚えていない。

だけどまあ、めんどくさいからが一番の理由なんだよね。ぶっちゃけ、あまり人と関わらない様にしてるなんてただの言い訳だし。

俺はベッドに横になって布団をかぶる。そして、目をつぶって寝ようとすーー

「ねえ、シュウみんな寝たんじゃない?」

「かもな」

ーーる直前に隣からヒソヒソ声が聞こえてきた。

.................は?嘘だろ.....................ないないないない!あぁぁぁぁマジでない!マジでないぃぃぃぃ!あーもうマジで最悪だ。もう一度言う!マジで最悪だぁぁぁぁ!まさか隣の部屋にあいつらがいるなんて思ってもみなかったぁぁぁぁ!さっきまで寝そうな勢いだったのに完全に目覚めただろうが!これならまだドンマが隣ではしゃいでる方がいいぞ!

「こっ、んんんん、畜生~!」

俺は低い声で唸る様に言葉を絞り出す。歯には力が入りギリギリと鳴り、ベットをぶん殴りたい衝動にかられ手はわなわなと震えだす。

「うるさいぞ!歯をギリギリ鳴らすな!寝れねーだろ!ぶん殴るぞ!」

寝てたロンが俺にそう怒ってきた。

「あぁぁぁ?いぃぃぃまぁぁぁ何つったぁぁぁぁあ?」

俺は首だけを錆びたブリキ人形の様にギギギギィィィ!っとロンの方に動かし睨み殺すほどの勢いで睨みつける。俺に睨みつけられたロンは一瞬にして蛇に睨みつけられたカエルの様に固まる。顔は驚きと恐怖が混ざり合った様な顔になり、体は小刻みに震えている。さっきまでのでかい態度が嘘だったようだ。

まぁ、仕方がない。今の俺は余裕がないんだ。そんな時に怒ってきたロンが悪いんだからなクックックックックックッ!
おっと!いかんいかん。何故か笑いが込み上げてきてしまった。

「何も喋らずにお前は寝てろ。それと、お前は何も見ていない、何も聞いていない、ただ、部屋に入って寝ただけ。いいな?」

俺はロンに満面の笑みでそう言い聞かせる。ロンはクビが取れそうなくらい頷き急いで布団をかぶって寝た。

よし、それでいい。問題は隣をどうするかだ!

俺は視線を壁に戻す。

「ねえ、シュウ」

「ん?」

ミントがシュウを呼ぶ声が聞こえる。

ん?この雰囲気は?...........ま、まさか⁈

「みんな寝ただろうしー、私達明日で大人だからさー」

「うん」

ミントが恥ずかしそうに喋っているのが聞こえる。

おいおいおいおい!この雰囲気はやばいって!マジでやばいって!やめろぉぉぉぉぉぉ!このペアの聞くとか最悪すぎるから!吐くわ俺!マジで吐くからやめて!

俺は必死にやめろと壁の向こう側に拝んで頼む。だか、それも虚しく話は進む。

「そ、そのー」

「うん」

やめろ!やめろ!やめろおぉぉぉぉぉ!

「セッ◯スしない?」

「いいよ」

あー、言ったよ。ついに言ったよ。言っちゃったよこいつら。あー逆に冷静になってきたー.....................て、んな訳ねーだろ!てかテメーら軽すぎんだよ!

俺の心の中が怒りとなんとも言えない感情に染まり怒りがマグマの様にグツグツと込み上げてくる。そりゃあ当たり前だろう、だって隣の部屋で村で昔好きだった相手(しかも、ふるだけじゃなく俺の心をズタズタに引き裂いてコケにした相手だ)がやろうとしてるんだから誰でもそんな気持ちになるだろ。

ほんと、わけわかんない感情と怒りが混ざってはらわたが煮えくりかえりそうだよこん畜生!

床がミシミシと鳴ってミントがシュウのベッドに近づいているのがわかる。
その音を聞いた俺は怒りのあまり手に力が入りすぎて壁が握力でミシミシっと音を立てる。もう少し力を入れたら壁を壊して穴を開けてしまいそうだ。

「ん?なんか音しなかった?」

ミントが音に反応して止まる。

音しましたよ。しましたから早くやめろ!

「誰か起きてるのかもしれないね。もしかしたらこのやり取りが聞こえてるのかも」

シュウがまさかねとそう言うが、実際は大当たりだ。

そう!そのとうりだからマジでやめろよ!気持ちわりーんだよ!こっちは寝てーんだよ!.....................うわ、マジで気分悪くなってきた。あー、マジで吐きそう.................。

「まさかね」

ドンッ!
なんでそうなるんだよ!

そんな心境も知らずに言ったミントの一言に俺は我慢できなくなってベッドを殴った。その衝撃で少し部屋が揺れ、隣の部屋で2人がビクッ!と小さく飛び跳ねた音がした。

「ね、寝よっか」

「そ、そうだね」

そう言ってミントとシュウが自分のベッドに入って寝る音がした。

はぁぁぁぁぁぁぁぁ。よかった。これで俺も寝られる。やっとか。

俺は、大きなため息をつく。そして、そのまま布団をかぶる。

覚えとけよ。2人とも。死ぬより恐ろしい目に合わせてやる。

「クックックックックックッ!」

思わず笑いがこみ上げてきて笑ってしまった。

おっと、いかんいかん。寝ないとな。

俺は目を瞑って直ぐに寝た。ちなみに、ロンは終始ずっと布団にくるまって小刻みに震えていた。

俺は悪くないからな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

薬師だからってポイ捨てされました!2 ~俺って実は付与も出来るんだよね~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト=グリモワール=シルベスタは偉大な師匠(神様)とその脇侍の教えを胸に自領を治める為の経済学を学ぶ為に隣国に留学。逸れを終えて国(自領)に戻ろうとした所、異世界の『勇者召喚』に巻き込まれ、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。 『異世界勇者巻き込まれ召喚』から数年、帰る事違わず、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居るようだが、倒されているのかいないのか、解らずとも世界はあいも変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様とその脇侍に薬師の業と、魔術とその他諸々とを仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話のパート2、ここに開幕! 【ご注意】 ・このお話はロベルトの一人称で進行していきますので、セリフよりト書きと言う名のロベルトの呟きと、突っ込みだけで進行します。文字がびっしりなので、スカスカな文字列を期待している方は、回れ右を推奨します。 なるべく読みやすいようには致しますが。 ・この物語には短編の1が存在します。出来れば其方を読んで頂き、作風が大丈夫でしたら此方へ来ていただければ幸いです。 勿論、此方だけでも読むに当たっての不都合は御座いません。 ・所々挿し絵画像が入ります。 大丈夫でしたらそのままお進みください。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

処理中です...