48 / 83
佐久田の性格
しおりを挟む
マリアナの陥落により東条内閣は瓦解し、小磯国昭を総理とする新政権が誕生した。
その影響で海軍も人員が刷新された。
海軍大臣 米内光政
軍令部総長 及川古志郎
米内は日米開戦前、内閣総理大臣を務めており演じない書くの海軍大臣としては申し分ない。
及川も大臣経験がある上、前職では海上護衛総隊の司令長官を務めており、海上護衛部隊の充実に尽力。
当時開発されたばかりの磁気探知機を即座に採用し活用したことにより、商船の被害を低減させることに成功した。
今後もアメリカの商船攻撃は激しくなることが予想されており、及川の手腕に益々、期待が高まることになった。
「それで私への詰問は続けると言うことですか?」
大臣が替わった後も軍令部に呼ばれた佐久田はウンザリするような声で言った。
「なんだその言い方は」
新連合艦隊司令長官の豊田副武は佐久田の言葉に激昂した。
「落ち着き給え、豊田君。佐久田君も自重したまえ」
前連合艦隊司令長官の山本五十六が豊田を宥めるが、佐久田へ向いて叱責する。
「何時までも内輪で相争っている暇はないでしょう」
「相変わらず率直に物を言うね」
山本は呆れるように言った。
佐久田とは、前々回の連合艦隊司令長官時代に知っている。
当時は小沢中将指揮下の南遣艦隊の参謀でマレー作戦、蘭印作戦に尽力。その後、インド洋作戦で活躍した。
その時の航空機を活用した商船撃沈の手腕を評価され、ミッドウェーで壊滅した機動部隊の新参謀、再建なった機動部隊をインド洋へ投入するための人材として小沢の推薦もあって採用した。
「性格と人格に些か問題があるが、仕事は出来る」
小沢の言う通り、性格と人格、特に何時も陰気な佐久田の表情は難があった。だが仕事に関してはピカイチだった。
特に人がやりたがらない仕事、敵の弱点を見つけて徹底的に攻撃する方法と勝ち戦の中で万が一の負け戦の場合の対処方法の策定。
得てして敗北が現実になったとき、その方法の果断な実行で佐久田は手腕を発揮した。
負けじ根性を叩き込む海軍の中で負けを当然と考え込む佐久田は異常であり、浮いた存在だった。
だが、ミッドウェーのあと劣勢にった日本海軍の状況に最も必要な人材であり、前線を支えたため、重宝されることになった。
ただ、陰気な顔つきの割に強引な部分もあり、誰彼構わず正論、歯に衣着せない意見を口にする。
山本も経験済みで知っていた。
ソロモンの前線視察の時、い号作戦――ソロモン方面航空侵攻作戦のため無理矢理指揮下に入れられた艦載機部隊を引き上げようとラバウルをに来ていた佐久田が山本に噛みついたのだ。
「ソロモン方面の航空消耗戦にこれ以上航空部隊を使うな、特に再建の難しい艦載機部隊を使うな」
佐官が将官、それも連合艦隊司令長官に向かって言うことではなかった。
だが佐久田はミッドウェー以降の第二次ソロモン海戦、インド洋作戦、エスピリシスサット空襲、南太平洋海戦で勝利を収めた参謀として名声を高めていたので、山本も幕僚も佐久田の意見具申を無下には出来なかった。
しかしスッポンのように噛みついたら離れない佐久田の勢いは強固で翌日の前線視察の時間になっても止める気は無かった。
「皆が待っているのだが」
「そうやって逃げるのか。いや、殺すために偽善を、演技を行うために行くのか」
「なんだと!」
さすがに山本もぶち切れて殴り合いになり、視察は中止。
佐久田との口論は続き、午前八時頃にはじまった敵の空襲によって中断されるまで続いた。
ラバウルだけでなく敵がソロモン各地への航空攻撃を行ったため、前線視察どころではなくなり、山本はトラックへ引き返していった。
後に山本の暗殺作戦があり、自分が撃墜するはずだったと主張するパイロットが現れる事になるが、一部のみが知るだけで、90年代の架空戦記物の中では山本撃墜が題材になった作品もある(売れ行きは芳しくなかった)。
結局、山本はその後も連合艦隊の指揮を執るがソロモンでの消耗戦の激しさ、戦果の乏しさの責任を海軍内部から追及され、六月頃、横須賀鎮守府長官の古賀大将と交代することになる。
「君の言うとおり、手を引いておけばよかった」
長官退任の際、佐久田にわびを言うほど山本は佐久田のことを信頼していた。
佐久田の能力はそれだけ優れていたが、性格も人当たりも悪いが、仕方の無いことだった。
佐久田の過去がそのような人格にしたのだ。
その影響で海軍も人員が刷新された。
海軍大臣 米内光政
軍令部総長 及川古志郎
米内は日米開戦前、内閣総理大臣を務めており演じない書くの海軍大臣としては申し分ない。
及川も大臣経験がある上、前職では海上護衛総隊の司令長官を務めており、海上護衛部隊の充実に尽力。
当時開発されたばかりの磁気探知機を即座に採用し活用したことにより、商船の被害を低減させることに成功した。
今後もアメリカの商船攻撃は激しくなることが予想されており、及川の手腕に益々、期待が高まることになった。
「それで私への詰問は続けると言うことですか?」
大臣が替わった後も軍令部に呼ばれた佐久田はウンザリするような声で言った。
「なんだその言い方は」
新連合艦隊司令長官の豊田副武は佐久田の言葉に激昂した。
「落ち着き給え、豊田君。佐久田君も自重したまえ」
前連合艦隊司令長官の山本五十六が豊田を宥めるが、佐久田へ向いて叱責する。
「何時までも内輪で相争っている暇はないでしょう」
「相変わらず率直に物を言うね」
山本は呆れるように言った。
佐久田とは、前々回の連合艦隊司令長官時代に知っている。
当時は小沢中将指揮下の南遣艦隊の参謀でマレー作戦、蘭印作戦に尽力。その後、インド洋作戦で活躍した。
その時の航空機を活用した商船撃沈の手腕を評価され、ミッドウェーで壊滅した機動部隊の新参謀、再建なった機動部隊をインド洋へ投入するための人材として小沢の推薦もあって採用した。
「性格と人格に些か問題があるが、仕事は出来る」
小沢の言う通り、性格と人格、特に何時も陰気な佐久田の表情は難があった。だが仕事に関してはピカイチだった。
特に人がやりたがらない仕事、敵の弱点を見つけて徹底的に攻撃する方法と勝ち戦の中で万が一の負け戦の場合の対処方法の策定。
得てして敗北が現実になったとき、その方法の果断な実行で佐久田は手腕を発揮した。
負けじ根性を叩き込む海軍の中で負けを当然と考え込む佐久田は異常であり、浮いた存在だった。
だが、ミッドウェーのあと劣勢にった日本海軍の状況に最も必要な人材であり、前線を支えたため、重宝されることになった。
ただ、陰気な顔つきの割に強引な部分もあり、誰彼構わず正論、歯に衣着せない意見を口にする。
山本も経験済みで知っていた。
ソロモンの前線視察の時、い号作戦――ソロモン方面航空侵攻作戦のため無理矢理指揮下に入れられた艦載機部隊を引き上げようとラバウルをに来ていた佐久田が山本に噛みついたのだ。
「ソロモン方面の航空消耗戦にこれ以上航空部隊を使うな、特に再建の難しい艦載機部隊を使うな」
佐官が将官、それも連合艦隊司令長官に向かって言うことではなかった。
だが佐久田はミッドウェー以降の第二次ソロモン海戦、インド洋作戦、エスピリシスサット空襲、南太平洋海戦で勝利を収めた参謀として名声を高めていたので、山本も幕僚も佐久田の意見具申を無下には出来なかった。
しかしスッポンのように噛みついたら離れない佐久田の勢いは強固で翌日の前線視察の時間になっても止める気は無かった。
「皆が待っているのだが」
「そうやって逃げるのか。いや、殺すために偽善を、演技を行うために行くのか」
「なんだと!」
さすがに山本もぶち切れて殴り合いになり、視察は中止。
佐久田との口論は続き、午前八時頃にはじまった敵の空襲によって中断されるまで続いた。
ラバウルだけでなく敵がソロモン各地への航空攻撃を行ったため、前線視察どころではなくなり、山本はトラックへ引き返していった。
後に山本の暗殺作戦があり、自分が撃墜するはずだったと主張するパイロットが現れる事になるが、一部のみが知るだけで、90年代の架空戦記物の中では山本撃墜が題材になった作品もある(売れ行きは芳しくなかった)。
結局、山本はその後も連合艦隊の指揮を執るがソロモンでの消耗戦の激しさ、戦果の乏しさの責任を海軍内部から追及され、六月頃、横須賀鎮守府長官の古賀大将と交代することになる。
「君の言うとおり、手を引いておけばよかった」
長官退任の際、佐久田にわびを言うほど山本は佐久田のことを信頼していた。
佐久田の能力はそれだけ優れていたが、性格も人当たりも悪いが、仕方の無いことだった。
佐久田の過去がそのような人格にしたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
If太平洋戦争 日本が懸命な判断をしていたら
みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら?
国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。
真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…そして終戦工作 分水嶺で下された「if」の決断。
破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦
そしてそこから繋がる新たな近代史へ
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる