実験クラブの二人

廣瀬純七

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翌朝の二人

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翌朝、直子の体の直人は目を覚ますと、すぐに自分の手を見つめた。  

「……やっぱり戻ってないか。」  

「まあ、七年後に戻るんだったら仕方がないな。」直子の体の直人は軽く肩をすくめると、布団から出て伸びをした。  するとスマホが鳴った。

「LINE!」

直人の体の直子からメッセージが届いた

「おはよう、今日もやっぱりそのままね。」

「じゃあ、今日も一日、しっかり私のフリしてね!」

それを見た直子の体の直人が返信する「分かってるよ。っていうか、昨日もバッチリやっただろ?」  

その後で直子の体の直人は、慣れない手つきで制服を整え、髪をとかし始めた。  

するとまたメッセージが届いた「でも、もうちょっと女子らしい動きを意識してよね?」  

返信を返す「はいはい……」  

そんなラインのやり取りをしながら、二人は今日もそれぞれ相手の人生を演じる準備を始めるのだった。


登校中、並んで歩く二人。朝の空気はまだ少しひんやりとしている。  

直子の体の直人がふと思い出したように口を開いた。  

「なあ、何でお前、小学校の4年生の時に“男の子になりたい”って書いたんだ?」  

直人の体の直子は少し驚いたような顔をしたが、すぐに肩をすくめて答えた。  

「全然覚えてないわよ!そんな昔のこと!」  

「いやいや、願い事に書くくらいなんだから、よっぽどの理由があったんじゃないか?」  

「さあねぇ……。本当に覚えてないのよ。でも、どうしてそんなことを考えたのか、ちょっと気になってきたかも。」  

「まあ、何か理由があったんだろうな。」  

直子の体の直人は前を向いて考え込むような顔をしながら歩いた。  

直人の体の直子も、「なんであんなこと書いたんだろう……?」と、自分の記憶を探るように小さくつぶやいた。


直子の体の直人は、しばらく考えた後、ふと思いついたように言った。  

「もしかしてさ、小学校の時に“女子だけの生理の授業”があったじゃん? その時、男の子は生理が無いからいいなーって思ったんじゃないのかな?」  

直人の体の直子は、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに「えっ……多分そうかも?」と首をかしげた。  

「うーん……でも、そんなことで男の子になりたいって書くかな?」  

「いや、子どもの頃の考えなんて単純なもんだろ。俺だって、あの時は“女子だけ別の授業がある”ってこと自体が不思議だったし。」  

直人の体の直子は、何となく納得したような表情を浮かべた。  

「そう言われると、確かにあの頃は『男子は生理がなくていいな』って思った気がするわ……でも、だからって本当に体が入れ替わるなんてね。」  

二人は顔を見合わせ、苦笑いしながら歩き続けた。
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