入れ替わりのモニター

廣瀬純七

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モテまくる沙織

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沙織(拓也の体)は、キャバクラ嬢たちの熱烈な視線を浴びながら、なんとか冷静を保とうとしていた。  

「えっと、彼女……? う、うーん……」  

(いるっちゃいるけど……**今その彼女が拓也の体に入ってるんだよね!?**)  

言葉を濁していると、隣に座っていた**ナナ**というキャバ嬢が身を乗り出してきた。  

「え~、そんな意味深な反応しないで教えてよ~! **奥さんいるの?**」  

「えっ!? い、いや……その……」  

(どうする? ここで「実は結婚してます」って言ったら、もっと詮索されるかも!? **正直に言うべきか……!?**)  

すると、もう一人のキャバ嬢**リサ**が微笑みながら言った。  

「でも、拓也さんってさ、**すごく優しい雰囲気があるし、育ちが良さそう**だよね。絶対モテるでしょ?」  

「た、確かに、そうかもね……?」  

(あれ……私、意外とこのまま男としてやっていけるのでは!?)  

一瞬そんな錯覚を起こしかけたが、その時、隣の席で酒を飲んでいた**山本**が急に肩を叩いてきた。  

「おい拓也、調子乗るなよ? **キャバ嬢に本気になるんじゃねえぞ!**」  

「ち、違うって!」  

田中もニヤニヤしながら続ける。  

「お前、**やけにモテすぎじゃね?** 俺らよりも完全にチヤホヤされてんぞ!」  

「えっ? そ、そんなことないだろ?」  

(やばい、自然に**女子力を発揮**してしまっている!?)  

沙織(拓也の体)は内心焦るが、キャバ嬢たちはますます食いついてきた。  

「ねえねえ、何かスポーツとかやってたの?」  

「スーツ姿も似合いそうだし、エリートっぽいよね?」  

(ちょっと待って……このままだと、俺が**「女性に理想的な男性像」**みたいになってしまう!?)  

ナナが上目遣いでさらに畳みかける。  

「ねぇ、今度指名してもいい~?」  

(ヤバイ! これ以上深入りしたら、沙織に**怒られる!**)  

「ご、ごめん! 俺、そろそろ帰るよ!」  

急いで席を立ち、同僚たちを振り切るようにキャバクラを後にした。  


家に帰ると、沙織(拓也)がリビングでテレビを見ながらくつろいでいた。  

「おかえり! どうだった、男同士の飲み会?」  

「**もう絶対に行かない!**」  

「え? なんで?」  

「……私、**めっちゃモテた。**」  

沙織(拓也)は驚いた顔をした後、しばらく沈黙し——  

「……**は!?**」  
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