19 / 32
モテまくる沙織
しおりを挟む沙織(拓也の体)は、キャバクラ嬢たちの熱烈な視線を浴びながら、なんとか冷静を保とうとしていた。
「えっと、彼女……? う、うーん……」
(いるっちゃいるけど……**今その彼女が拓也の体に入ってるんだよね!?**)
言葉を濁していると、隣に座っていた**ナナ**というキャバ嬢が身を乗り出してきた。
「え~、そんな意味深な反応しないで教えてよ~! **奥さんいるの?**」
「えっ!? い、いや……その……」
(どうする? ここで「実は結婚してます」って言ったら、もっと詮索されるかも!? **正直に言うべきか……!?**)
すると、もう一人のキャバ嬢**リサ**が微笑みながら言った。
「でも、拓也さんってさ、**すごく優しい雰囲気があるし、育ちが良さそう**だよね。絶対モテるでしょ?」
「た、確かに、そうかもね……?」
(あれ……私、意外とこのまま男としてやっていけるのでは!?)
一瞬そんな錯覚を起こしかけたが、その時、隣の席で酒を飲んでいた**山本**が急に肩を叩いてきた。
「おい拓也、調子乗るなよ? **キャバ嬢に本気になるんじゃねえぞ!**」
「ち、違うって!」
田中もニヤニヤしながら続ける。
「お前、**やけにモテすぎじゃね?** 俺らよりも完全にチヤホヤされてんぞ!」
「えっ? そ、そんなことないだろ?」
(やばい、自然に**女子力を発揮**してしまっている!?)
沙織(拓也の体)は内心焦るが、キャバ嬢たちはますます食いついてきた。
「ねえねえ、何かスポーツとかやってたの?」
「スーツ姿も似合いそうだし、エリートっぽいよね?」
(ちょっと待って……このままだと、俺が**「女性に理想的な男性像」**みたいになってしまう!?)
ナナが上目遣いでさらに畳みかける。
「ねぇ、今度指名してもいい~?」
(ヤバイ! これ以上深入りしたら、沙織に**怒られる!**)
「ご、ごめん! 俺、そろそろ帰るよ!」
急いで席を立ち、同僚たちを振り切るようにキャバクラを後にした。
家に帰ると、沙織(拓也)がリビングでテレビを見ながらくつろいでいた。
「おかえり! どうだった、男同士の飲み会?」
「**もう絶対に行かない!**」
「え? なんで?」
「……私、**めっちゃモテた。**」
沙織(拓也)は驚いた顔をした後、しばらく沈黙し——
「……**は!?**」
0
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる