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気持ちの女子化
しおりを挟む沙織(拓也)はますます不機嫌そうに腕を組む。
拓也(沙織)はしばらくその様子を眺めていたが、ふとニヤリと笑った。
「……もしかしてさ、ヤキモチ焼いてるの?」
「は!? ヤキモチなんて焼いてないよ!!」
「いやいやいや、どう見ても焼いてるわよね?」
「そ、そんなことないし!!」
「でもさ、私がモテたのを気にしてるってことは、拓也、もう完全に気持ちが女子になってるんじゃないの?」
「は!? ち、違う!! 俺は……その……なんていうか……」
沙織(拓也)はバッと立ち上がるが、何を言おうか迷ってモゴモゴする。
「ははっ、面白いなぁ。まさか自分がヤキモチ焼く側になるとは思わなかったでしょ?」
「う、うるさい!! だって、俺の体なのに……何でそんなにモテるんだよ……」
「そこ!?(笑)」
拓也(沙織)は思わず吹き出してしまう。
「いや、まぁ、やっぱり拓也の体って、落ち着いた雰囲気があってイケメンだからなぁ……大人の色気ってやつ?」
「……」
沙織(拓也)は少しムッとして、拓也(沙織)を見上げる。
「……じゃあ、沙織の体は?」
「え?」
「沙織は、モテるのか?」
「……うーん」
拓也(沙織)は腕を組んで少し考える。
「いや、私の体はどっちかっていうと、可愛い系じゃん? 私は拓也になってキャバクラ嬢たちに『カッコいい』って言われたけど、私の体の拓也だと『かわいい♡』って言われるタイプな気がするわ」
「……かわいい……?」
沙織(拓也)は少し複雑そうな顔をする。
「でも、まぁ……」
拓也(沙織)は沙織(拓也)に向かってニッと笑った。
「俺は今のかわいい沙織の拓也が好きだけどな?」
「!!!」
沙織(拓也)は一瞬、顔を赤らめたが、すぐに口をとがらせて目をそらした。
「……バカ……何を言ってるんだよ!」
「ははは! やっぱり完全に気持ちが女子になってる!!」
「うるさーいよ!!」
拓也(沙織)が大笑いする中、沙織(拓也)は頬を膨らませながらも、どこか少し嬉しそうだった——。
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