入れ替わりのモニター

廣瀬純七

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園児からのプロポーズ

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昼下がりの保育園。お昼ごはんを食べ終えた園児たちは、お昼寝の時間に入るころだった。  
しかし、一人だけ元気いっぱいに飛び回る男の子がいた。  

「ユウキ、もうお昼寝の時間だよ」  

沙織の体の拓也が優しく声をかけるが、ユウキは腕を組んで「俺は寝ない!」と頑なな表情を見せた。  

(はぁ……またか)  

ユウキはこのクラスでも特にやんちゃな園児で、元気があり余っている。  
みんなが布団に入っても、一人だけじっとしていられないのだ。  

「ユウキ、お昼寝しないと午後から元気に遊べないよ?」  

「いいもん! 俺、沙織先生と結婚するから、昼寝なんてしない!」  

「……え?」  

予想外の言葉に、沙織の体の拓也は思わず固まる。  
ユウキは得意げな顔で胸を張り、「だから俺、大人になったら沙織先生と結婚するんだ!」と繰り返した。  

「えーっと……それはまた急な話だね?」  

「だって、沙織先生、かわいいもん!」  

(くっ……まさかこんな形で求婚されるとは)  

困惑しつつも、園児の純粋な気持ちを無下にするわけにはいかない。  
沙織の体の拓也は優しく微笑んで、しゃがみこんだ。  

「ありがとう。でも、結婚はもう少し大きくなってから考えようね?」  

「じゃあ、俺が大きくなったら結婚してくれる?」  

「そのときユウキが立派な大人になってたら……うーん、考えてもいいよ?」  

適当に流そうとしたが、ユウキは満面の笑みで「やったー!」と大喜び。  

(こ、これはどう収拾をつければいいんだ……)  

とりあえず、お昼寝をさせなければならない。  

「それじゃあ、元気に大きくなるために、まずはちゃんと寝ようね!」  

「……じゃあ、沙織先生がトントンしてくれたら寝る!」  

「はいはい、わかったよ」  

布団に入ったユウキの背中を優しくトントンすると、数分もしないうちに寝息を立て始めた。  

(ふぅ……)  

やっと静かになった教室を見渡しながら、沙織の体の拓也は苦笑した。  

(俺、今プロポーズされたよな……しかも園児に)  

子どもの素直な言葉に、思わず頬が緩んでしまうのだった。  

—— 
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