ストレンジストーリー

廣瀬純七

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ペニスオークション

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それはある夜のことだった。深い眠りの中で、健太は奇妙な感覚に襲われた。しかし、夢だと思い込んでいた彼はその感覚を無視し、再び眠りに沈んでいった。翌朝、目を覚ました瞬間、体に異変があることに気付いた。まさか、そんなことが…と思いつつ、手を伸ばして確認すると、驚愕の事実が彼を襲った。

「ペニスがない…!」

冷や汗が滲む。慌てて布団の中や床、さらにはベッドの下まで探してみたが、見つかるわけもない。「どういうことだ…」と自問するが、答えは当然ない。部屋に侵入者があった形跡もなく、全く不可解な状況だった。

途方に暮れる健太だったが、とにかく病院に行くことを決意した。しかし、思いとどまり、ふと思いついた。「もしかして、これは何かのいたずらか…?最近のハイテク技術なら、何かを隠す装置が…」そう考え、スマートフォンで調べ始めた。そして、ネットを漁っているうちに、彼の目に飛び込んできたのは、あるオークションサイトだった。

「ペニス、絶賛出品中!」

なんと、そのオークションサイトには、明らかに健太のペニスと思われるものが出品されていた。写真には、自分の特徴的な傷跡や、ほんのわずかな曲がり具合まで正確に再現されている。落札価格はすでに高騰しており、コメント欄には「これは希少な逸品!」「絶対に手に入れたい!」などの熱狂的な書き込みが並んでいた。

「な、なんだこれは…!?誰が、どうやって…?」

冷静を装うことができない健太は、パニックに陥りながらも、何とか対策を考え始めた。自分のペニスを取り戻すには、このオークションに参加するしかないのだろうか。そう考えた彼は、即座にオークションサイトのアカウントを作成し、入札を試みた。しかし、入札者はすでに競り合っており、価格はどんどん上がっていく。

「これは…やばいぞ」

結局、健太が持っていた貯金はすべて使い果たし、ついに入札額は彼の手の届かないところへと到達してしまった。最後の瞬間、見知らぬ誰かが圧倒的な額でペニスを落札した。

落札者の名前は「ミスター・ペニスコレクター」。どうやらこの人物は、ネットオークションで人々の失ったペニスを集めることを趣味としているらしい。彼のペニスも、そのコレクションの一部として、どこかに保存されてしまう運命だった。

「こんな、馬鹿な…」

健太は呆然とパソコンの画面を見つめながら、現実を受け入れざるを得なかった。自分の体の一部が、知らない誰かの手に渡ってしまったという事実が、彼の心に重くのしかかっていた。

その後、健太は病院に行くこともできず、インターネットを通じてペニスを取り戻す方法を模索し続ける日々を送ることになった。彼の旅はまだ終わらない。どこかで、再び自分の一部を手に入れるための戦いが始まるだろう。

ただし、その日はまだ遠い先のことだった。
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