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元カノの復讐
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「オークション・ナイト」
***
深夜3時、タカシは冷や汗で目を覚ました。何かがいつもと違う。おかしい。目が覚めた理由はすぐにわかった。ペニスが、ない。
「え、うそだろ…」
慌ててシーツをめくり、自分の股間を確認するが、やはりそこにあるべきものが消えている。タカシは一瞬、夢でも見ているのかと思ったが、夢ならこんなにリアルな感覚があるはずがない。
「誰かに盗まれた…?」
そんな馬鹿な話があるか?だが、他に説明がつかない。パニック状態のまま、タカシはスマホを手に取り、必死にネットを検索した。「ペニス 盗難」「ペニス 失踪」「寝ている間 ペニス 消える」――どれも信じがたいキーワードばかりだが、この状況を解明するためには何でも試すしかない。
驚くべきことに、ある掲示板にたどり着いた。そこには同じような体験をした男たちの証言が並んでいた。ペニスを盗まれた者たちは、皆ネットオークションで自分のペニスが出品されているという共通点があったのだ。半信半疑のまま、タカシはリンクをクリックしてみる。
そこには確かに、自分のペニスそっくりなものがオークションに掛けられていた。タイトルは「タカシのペニス(本物)」とまで書かれている。説明文には「状態:良好」「使用歴:やや多め」など、悪趣味極まりないコメントが並んでいた。
「ふざけんな…!」
怒りと混乱で頭がぐちゃぐちゃになりながらも、タカシはオークションページをスクロールしていった。だが、そのとき、ふと目に留まったのは落札者の名前だった。
「アイ…」
アイ。かつて自分が浮気して別れた元カノの名前だった。あの時、泣きながら自分を責め続けたアイの顔が、今でも鮮明に思い出せる。
「なんでアイが…?」
タカシは信じられない気持ちで、手が震えた。落札時間を見ると、わずか数分前。アイは間違いなく、タカシのペニスを「買った」のだ。
そのとき、タカシのスマホが鳴った。画面には「アイ」と表示されている。
「……どういうつもりだ?」
恐る恐る電話に出たタカシは、低い声でそう問いかけた。だが、電話の向こうから聞こえてきたのは、アイの冷たい笑い声だった。
「ねえ、タカシ。あんた、自分がしたこと覚えてる?私に嘘ついて、他の女と遊んでたよね?」
アイの声は昔とは全然違う、鋭く冷酷な響きを持っていた。
「そ、それは……」
「そんなこと、もうどうでもいいの。今、私はあなたの『大事なもの』を手に入れた。それで十分よ。」
「ま、待てよ、アイ!それ返してくれよ!どうやってそんなことしたんだ!?」
タカシは絶望感に襲われたが、アイは淡々と続けた。
「返してほしいなら、もっと頼み方があるんじゃない?でも、たぶん返さないけどね。私はもう十分楽しんでるから。」
そう言って、アイは電話を切った。タカシはその場に崩れ落ちた。自分のペニスが、あのアイに――自分が傷つけた元カノに――今や「所有」されているという現実に、頭がついていかない。
自分の愚かさが、ここまで奇妙で屈辱的な形で跳ね返ってくるとは、想像すらしていなかった。タカシはただ、無力感に打ちひしがれ、もう一度スマホのオークション画面を眺めるしかなかった。
***
結局、タカシのペニスは二度と戻ってこなかった。
数か月後、タカシのスマホに男になって新宿でホストのナンバーワンになったアイの写真が送られて来た。
***
深夜3時、タカシは冷や汗で目を覚ました。何かがいつもと違う。おかしい。目が覚めた理由はすぐにわかった。ペニスが、ない。
「え、うそだろ…」
慌ててシーツをめくり、自分の股間を確認するが、やはりそこにあるべきものが消えている。タカシは一瞬、夢でも見ているのかと思ったが、夢ならこんなにリアルな感覚があるはずがない。
「誰かに盗まれた…?」
そんな馬鹿な話があるか?だが、他に説明がつかない。パニック状態のまま、タカシはスマホを手に取り、必死にネットを検索した。「ペニス 盗難」「ペニス 失踪」「寝ている間 ペニス 消える」――どれも信じがたいキーワードばかりだが、この状況を解明するためには何でも試すしかない。
驚くべきことに、ある掲示板にたどり着いた。そこには同じような体験をした男たちの証言が並んでいた。ペニスを盗まれた者たちは、皆ネットオークションで自分のペニスが出品されているという共通点があったのだ。半信半疑のまま、タカシはリンクをクリックしてみる。
そこには確かに、自分のペニスそっくりなものがオークションに掛けられていた。タイトルは「タカシのペニス(本物)」とまで書かれている。説明文には「状態:良好」「使用歴:やや多め」など、悪趣味極まりないコメントが並んでいた。
「ふざけんな…!」
怒りと混乱で頭がぐちゃぐちゃになりながらも、タカシはオークションページをスクロールしていった。だが、そのとき、ふと目に留まったのは落札者の名前だった。
「アイ…」
アイ。かつて自分が浮気して別れた元カノの名前だった。あの時、泣きながら自分を責め続けたアイの顔が、今でも鮮明に思い出せる。
「なんでアイが…?」
タカシは信じられない気持ちで、手が震えた。落札時間を見ると、わずか数分前。アイは間違いなく、タカシのペニスを「買った」のだ。
そのとき、タカシのスマホが鳴った。画面には「アイ」と表示されている。
「……どういうつもりだ?」
恐る恐る電話に出たタカシは、低い声でそう問いかけた。だが、電話の向こうから聞こえてきたのは、アイの冷たい笑い声だった。
「ねえ、タカシ。あんた、自分がしたこと覚えてる?私に嘘ついて、他の女と遊んでたよね?」
アイの声は昔とは全然違う、鋭く冷酷な響きを持っていた。
「そ、それは……」
「そんなこと、もうどうでもいいの。今、私はあなたの『大事なもの』を手に入れた。それで十分よ。」
「ま、待てよ、アイ!それ返してくれよ!どうやってそんなことしたんだ!?」
タカシは絶望感に襲われたが、アイは淡々と続けた。
「返してほしいなら、もっと頼み方があるんじゃない?でも、たぶん返さないけどね。私はもう十分楽しんでるから。」
そう言って、アイは電話を切った。タカシはその場に崩れ落ちた。自分のペニスが、あのアイに――自分が傷つけた元カノに――今や「所有」されているという現実に、頭がついていかない。
自分の愚かさが、ここまで奇妙で屈辱的な形で跳ね返ってくるとは、想像すらしていなかった。タカシはただ、無力感に打ちひしがれ、もう一度スマホのオークション画面を眺めるしかなかった。
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結局、タカシのペニスは二度と戻ってこなかった。
数か月後、タカシのスマホに男になって新宿でホストのナンバーワンになったアイの写真が送られて来た。
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