美咲の初体験

廣瀬純七

文字の大きさ
14 / 16

拓也の妊娠

しおりを挟む




「体調が最近ずっとおかしい……」

数日間、体のだるさや疲労感が続き、どうにも調子が上がらない拓也は、自分の体――美咲の体に何か異変があることに気づいていた。いつもなら少し休めば回復するはずなのに、今回は違う。さらに、食欲が増してきたり、逆に特定の食べ物を見るだけで気持ち悪くなったり、感情の起伏も激しくなっている。

「ストレスかな……? でも、美咲の体でこんなに疲れるなんて……」

オフィスで書類を整理しながらも、頭の中で違和感がぐるぐると渦巻いていた。お腹のあたりに不思議な重さを感じるようになり、何かがいつもと違う。だが、原因が全くわからないまま、彼は次第に不安を抱き始めていた。

その夜、家に帰ってきた拓也は、ソファに倒れ込むように座り、スマホで「女性の体調不良 原因」と検索を始めた。すると、あるキーワードが目に飛び込んできた。

「妊娠初期の症状……?」

画面に表示されたリストには、自分が感じている症状が次々と当てはまっていた。倦怠感、吐き気、感情の起伏の激しさ――まるで自分の状態を正確に説明しているかのようだ。

「まさか……そんなはずないだろ……」

自分が男性であるという感覚が、妊娠という現実を信じることを拒否していた。しかし、今は美咲の体で生きている。彼は急に心配になり、考え込んだ。

「まさか、本当に……?」

不安が頭をよぎり、彼はすぐに近くの薬局で妊娠検査薬を購入してきた。帰宅後、緊張しながらトイレに入り、指示に従って検査薬を使う。

しばらく待った後、彼は結果を見るために目を閉じていた瞼をゆっくりと開いた。

「……うそだろ……」

検査薬に表示されたのは、はっきりとした「陽性」のマークだった。

心臓が止まりそうになった。手が震え、体全体に冷たい汗が流れる。現実感がなく、足元がふわふわと浮いているような感覚に襲われた。

「俺が……いや、美咲が……妊娠している……」

自分の体が妊娠していることを知った瞬間、何がどうなっているのか理解できなかった。頭の中は混乱でいっぱいで、ただその事実を受け入れるしかなかった。

「でも……これ、どうするんだ……?」

拓也は混乱の中で立ち尽くした。自分の中にもう一つの命が宿っている――いや、美咲の体に、である。体が入れ替わったまま、この命をどう守っていけばいいのか、どんな未来が待っているのか。

彼は急いで美咲にメッセージを送り、事の重大さを伝えた。すぐに返信が返ってきた。

**「妊娠!? 本当に!?」**

「そうだ……お互い、元に戻る方法を探さないと……」

拓也は、これからどうなるかを考えながら、深い不安と責任感に押しつぶされそうになりながらも、何とか冷静さを保とうとした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

バーチャル女子高生

廣瀬純七
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

リアルフェイスマスク

廣瀬純七
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

処理中です...