俺が咲良で咲良が俺で

廣瀬純七

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交換レッスン

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次の日の放課後、校舎の一角で咲良(健太の体)が健太(咲良の体)を呼び止めた。  

「健太くん、ちょっと時間ある?」  

「ん?どうしたんだ?」健太(咲良の体)が振り向くと、咲良(健太の体)は少し照れたように笑った。  

「サッカーの特訓をしてくれてありがとう。すごく助かってるから、お礼に私が何かできないかなって思って……。」  

「え、俺にお礼?そんなの別にいいよ。」  

「でも、そういうわけにはいかないわ!」咲良は真剣な目で健太を見つめた。「私、勉強なら得意だから、テスト勉強とか教えてあげるよ。」  

健太はしばらく考えた後、ポンと手を打った。「あ、それいいな!俺、咲良の体でテストで赤点取ったら大変だもんな。」  

「そうでしょ?じゃあ、今日の夜、私の家で勉強会ね!」  

「おいおい、俺の体で咲良の家に行くのか?」  

「大丈夫よ。私がついてるから!」  

---

### 勉強会がスタート

その夜、咲良の部屋には、いつもと逆の姿の二人が並んでいた。机の上には教科書やノートが広げられているが、健太(咲良の体)はやる気なさそうにペンをくるくる回していた。  

「ちょっと、ちゃんとやる気出して!」咲良(健太の体)が軽く健太の肩を叩いた。  

「だってさ、数学とか英語とか難しすぎるんだもん。」  

「だから教えるって言ってるでしょ?ほら、この問題解いてみて。」  

咲良が指差したのは数学の連立方程式。健太はペンを持ちながら首をかしげた。  

「えーっと、これどうやるんだっけ?」  

「もう……いい?まずはこのxとyの関係を整理して……」  

咲良はわかりやすく説明しながら、健太に一緒に問題を解かせた。健太は最初は苦戦していたが、咲良の丁寧な指導のおかげで少しずつコツをつかみ始めた。  

---

### 思わぬ才能発見?

「おお、できた!」健太が解き終えた答案を見て咲良が頷く。  

「やればできるじゃない。ほら、もっと自信持ちなさいよ!」  

「なんか褒められると悪い気はしないな……。でも、咲良ってこんなに頭良かったんだな。」  

「何よ、普段からもっと感謝しなさい!」咲良は笑いながらノートを閉じた。  

---

### 特訓の成果と友情の芽生え

勉強会の後、健太(咲良の体)が立ち上がり、大きく伸びをした。「なんか、少し賢くなった気がするぞ。」  

「それは良かった。これからもわからないことがあったら教えてあげるから。」  

「じゃあ、俺もサッカーもっと教えてやるよ。」  

「約束ね!」  

二人は握手を交わした。互いの苦手分野を助け合う交換レッスンは、奇妙な状況に立ち向かうための大事な時間になっていくのだった。
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