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なりすます二人
しおりを挟むシャトルバスで楊貴館に戻り着替えを済ませて、達也の体になった美咲が車の運転席に座り、エンジンをかけた。助手席には、美咲の体になった達也が座っている。二人ともまだ体の違和感に慣れていないが、ひとまず美咲の家に帰ることを決めていた。
「こんな状況、どう説明すればいいんだろう?」
達也(美咲の体)は腕を組んで深く考え込む。
「それが問題だよね…。私の両親、こんな話をしたら絶対信じないよ。」
美咲(達也の体)は苦笑いを浮かべながら、ハンドルを握ったまま答えた。運転はスムーズで、見た目には普段と変わらないように見える。しかし、美咲の体に入った達也は助手席からその様子を見て不安になった。
「ちょっと待て、美咲。本当に大丈夫なのか?俺の体で運転するの、初めてだろ?」
「大丈夫だよ。達也の体はちょっと大きいけど、基本的な感覚は同じだから。それに、運転はお祖父ちゃんに鍛えられてるからね!」
美咲はそう言って、得意げに微笑んだ。
「…頼むから事故だけは起こさないでくれよ。」
達也はため息をつきながら、シートベルトを締め直した。
---
### 家に着く前の迷い
車内は次第に静かになり、二人とも言葉を交わさず考え込んでいた。美咲の家に着いたら、どうするべきか。両親に事実を伝えるべきか、それとも黙ってやり過ごすべきか。二人とも答えが見つからないまま時間だけが過ぎていく。
「ねえ、達也。」
美咲(達也の体)がぽつりと口を開いた。
「ん?」
「両親にこのこと、話した方がいいのかな…。それとも黙ってた方がいい?」
達也(美咲の体)はしばらく考え込んだ後、首を振った。
「いや、話さない方がいいと思う。急に体が入れ替わったなんて言ったら、絶対パニックになるだろうし、俺たちだってパニック中なんだし、下手したら病院送りにされるかもしれないぞ。」
「確かに…。うちの母なんて心配性だから、何かお祓いとかに連れて行かれそうだよね。」
美咲は苦笑いを浮かべた。
「そうだな。だから、とりあえず俺が美咲の振りをして、お前が俺の振りをする。これで行こう。」
達也は毅然とした口調で言った。
「え、本気でやるの?私、達也の振りなんてできるかな…。」
美咲は心配そうに言ったが、達也は肩をすくめて笑った。
「お互い様だろ。俺だって美咲の振りをしなきゃいけないんだし、なんとかなるさ。」
---
### 家に到着
車は美咲の家の駐車場に到着した。美咲(達也の体)がエンジンを切り、二人は車から降りた。夕暮れの空が赤く染まり、家の窓から漏れる暖かい光が二人を出迎える。
「行くぞ、達也。」
美咲(達也の体)が言うと、達也(美咲の体)は頷いた。ドアを開けると、台所から美咲の母・孝子が顔を出した。
「あら、美咲、達也君。おかえりなさい!マラソンどうだったの?」
孝子は満面の笑みで二人を出迎えた。
「すっごく疲れたよ…でも楽しかったわ!」
達也(美咲の体)は美咲のように笑顔で答えた。
「うん、なかなかいいコースだったよね。美咲!」
美咲(達也の体)は少し低い声で答えたが、緊張のせいかどこかぎこちない。
「そう、よかったわ!じゃあ、二人ともゆっくり休んで後でお風呂に入ってね。」
孝子は特に違和感を感じる様子もなく、再び台所に戻った。
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### 二人だけの会話
部屋に戻ると、二人はほっと一息ついた。
「なんとかバレなかったね。」
美咲(達也の体)が言う。
「そりゃあな。俺たちがあんなことになったなんて、普通は想像もしないだろう。」
達也(美咲の体)はベッドに腰掛けながら答えた。
「でも、これからずっとこのまま過ごすのは大変そうだね…。」
「そのうち戻るだろ。戻らなかったら、その時考えればいい。」
達也は軽く笑ったが、その笑顔の裏には不安が隠されていた。
こうして二人は、入れ替わったままでの日常を乗り切る覚悟を決めたのだった。
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