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俺、産む。〜深夜の陣痛 Uber バトル〜
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午前2時27分。
田中家の寝室に、突如として鳴り響く**破滅の音**――
**「バチャン!」**
布団の中で寝ぼけていた美奈(健一)は、**急激な下半身の冷たさ**で一気に覚醒した。
「な、なにっ……!?あっ!?これってまさか……」
電気をつけると、布団の上が濡れていた。
(えっ、えっ!?もしかしてコレが……コレが……)
**「破水ーーーーーーーーーーーー!?」**
***
「おいっ!!おい美奈っ!!起きろ!破れた!水が!破れたってば!!」
「……んあ?水ぶっかけたんじゃないの……って、えええええええええ!?破水!?」
飛び起きる健一(美奈)、寝ぼけ眼でスマホを探しながら
「えっと病院……病院に連絡しなきゃ!入院バッグ!あれどこだっけ!?健一が準備したじゃん!?どこしまったのよ!?」
「し、知らんっ!!なんで俺が準備したのかもわからんっ!!俺は今、女で妊婦なんだよおぉぉ!!」
混乱する二人。
荷物?電話?タクシー?ズボン履ける!?っていうか**陣痛って今からなの!?来てるの!?まだ!?いつ!?**
全方位パニック。
***
電話完了、バッグ確保。
「よし、タクシー呼ぶぞ……!」
「ちょっと待って、今の時代は**Uberの方が早いかも**!」
「ふざけんなよ!!Uberに“破水中の妊婦です”ってメモ入れられるか!?怖いだろドライバー!!」
「じゃあ呼ぶけど、来るまであと15分って出てる!間に合うのかこれ!?」
「もう、歩いて行く!?いや、むしろ走る!?俺がこの腹で走るの!?」
「無理に決まってんでしょ!!バウンスして破裂するわ!!」
絶望の中、インターホンが鳴る。
「タクシーですー!」
「来たぁぁぁ!!」
***
タクシー車内。
運転手:「ご、ご出産ですか!?」
「そうなんです、すみません、急ぎでお願いします……!もう……水が……だいぶ出て……て……」
運転手:「落ち着いてくださいね奥さん!大丈夫です!病院までは15分くらいですからね!」
「……じゅ、15分……!?あたしもう、限界かも……ぅ……(←演技ではなく本気の呻き)」
美奈(健一):「(俺の体が……出産しようとしてる……!!)」
健一(美奈):「(おまえの体が……俺の中で……命を生もうとしてる……!!)」
運転手:「(なんだこの2人の会話、詩的すぎる……!)」
***
病院着。エレベーターを駆け上がり、助産師が出迎える。
「田中美奈さんですね!?今、先生呼びます!LDRへどうぞ!!」
(LDR=陣痛・分娩・回復が全部できる部屋)
「うぅぅぅううううっっ……!!なんか、内側から拳でノックされてるぅぅぅ!!」
「しっかり!息して!呼吸法、覚えてるでしょ!?鼻から吸って、口からフゥーーッ!!」
「フゥーーーッ!!フゥーーッ!!俺、俺、息してるだけなのに人生で一番頑張ってる気がするぅぅ!!」
美奈:「私も隣で“よしよし、もうすぐだぞ!”って言ってるだけなのに……泣きそう……!」
助産師:「はいパパさん、背中さすってあげてください!いいですねぇ~、すごく素敵なご夫婦♡」
(……中身、完全に逆だけどな……)
***
そして――
数時間後。
「……うっ……うわああああああああああああ!!!!」
「もう少し!!頑張って!!!」
「で、出るうぅぅぅううううう!!!!俺の中から何か出るぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
(※医学的には正しい)
「頭見えましたよーーー!!」
「田中さーん!!大きく息を吸ってーーーー!!いきんでーーーーー!!」
**「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」**
・
・
・
……オギャァァァァァ……。
***
翌朝。
病室には、タオルに包まれた小さな命と、放心した美奈(健一)が横たわっていた。
健一(美奈)はその隣で、涙目で手を握っている。
「……なあ、美奈……」
「うん……?」
「……俺、ほんとに……産んじゃったんだな……」
「……うん、ほんとに……お疲れ様。すごく、がんばったよ」
「……でも、かわいいよ。あんな顔で頑張ってくれたんだなって思うと、ほんと感謝しかない」
「……ありがとう、健一」
「……ありがとう、美奈」
そして、2人の間で小さく寝息を立てる赤ん坊が、静かにまた、未来を始めようとしていた。
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田中家の寝室に、突如として鳴り響く**破滅の音**――
**「バチャン!」**
布団の中で寝ぼけていた美奈(健一)は、**急激な下半身の冷たさ**で一気に覚醒した。
「な、なにっ……!?あっ!?これってまさか……」
電気をつけると、布団の上が濡れていた。
(えっ、えっ!?もしかしてコレが……コレが……)
**「破水ーーーーーーーーーーーー!?」**
***
「おいっ!!おい美奈っ!!起きろ!破れた!水が!破れたってば!!」
「……んあ?水ぶっかけたんじゃないの……って、えええええええええ!?破水!?」
飛び起きる健一(美奈)、寝ぼけ眼でスマホを探しながら
「えっと病院……病院に連絡しなきゃ!入院バッグ!あれどこだっけ!?健一が準備したじゃん!?どこしまったのよ!?」
「し、知らんっ!!なんで俺が準備したのかもわからんっ!!俺は今、女で妊婦なんだよおぉぉ!!」
混乱する二人。
荷物?電話?タクシー?ズボン履ける!?っていうか**陣痛って今からなの!?来てるの!?まだ!?いつ!?**
全方位パニック。
***
電話完了、バッグ確保。
「よし、タクシー呼ぶぞ……!」
「ちょっと待って、今の時代は**Uberの方が早いかも**!」
「ふざけんなよ!!Uberに“破水中の妊婦です”ってメモ入れられるか!?怖いだろドライバー!!」
「じゃあ呼ぶけど、来るまであと15分って出てる!間に合うのかこれ!?」
「もう、歩いて行く!?いや、むしろ走る!?俺がこの腹で走るの!?」
「無理に決まってんでしょ!!バウンスして破裂するわ!!」
絶望の中、インターホンが鳴る。
「タクシーですー!」
「来たぁぁぁ!!」
***
タクシー車内。
運転手:「ご、ご出産ですか!?」
「そうなんです、すみません、急ぎでお願いします……!もう……水が……だいぶ出て……て……」
運転手:「落ち着いてくださいね奥さん!大丈夫です!病院までは15分くらいですからね!」
「……じゅ、15分……!?あたしもう、限界かも……ぅ……(←演技ではなく本気の呻き)」
美奈(健一):「(俺の体が……出産しようとしてる……!!)」
健一(美奈):「(おまえの体が……俺の中で……命を生もうとしてる……!!)」
運転手:「(なんだこの2人の会話、詩的すぎる……!)」
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病院着。エレベーターを駆け上がり、助産師が出迎える。
「田中美奈さんですね!?今、先生呼びます!LDRへどうぞ!!」
(LDR=陣痛・分娩・回復が全部できる部屋)
「うぅぅぅううううっっ……!!なんか、内側から拳でノックされてるぅぅぅ!!」
「しっかり!息して!呼吸法、覚えてるでしょ!?鼻から吸って、口からフゥーーッ!!」
「フゥーーーッ!!フゥーーッ!!俺、俺、息してるだけなのに人生で一番頑張ってる気がするぅぅ!!」
美奈:「私も隣で“よしよし、もうすぐだぞ!”って言ってるだけなのに……泣きそう……!」
助産師:「はいパパさん、背中さすってあげてください!いいですねぇ~、すごく素敵なご夫婦♡」
(……中身、完全に逆だけどな……)
***
そして――
数時間後。
「……うっ……うわああああああああああああ!!!!」
「もう少し!!頑張って!!!」
「で、出るうぅぅぅううううう!!!!俺の中から何か出るぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
(※医学的には正しい)
「頭見えましたよーーー!!」
「田中さーん!!大きく息を吸ってーーーー!!いきんでーーーーー!!」
**「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」**
・
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・
……オギャァァァァァ……。
***
翌朝。
病室には、タオルに包まれた小さな命と、放心した美奈(健一)が横たわっていた。
健一(美奈)はその隣で、涙目で手を握っている。
「……なあ、美奈……」
「うん……?」
「……俺、ほんとに……産んじゃったんだな……」
「……うん、ほんとに……お疲れ様。すごく、がんばったよ」
「……でも、かわいいよ。あんな顔で頑張ってくれたんだなって思うと、ほんと感謝しかない」
「……ありがとう、健一」
「……ありがとう、美奈」
そして、2人の間で小さく寝息を立てる赤ん坊が、静かにまた、未来を始めようとしていた。
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