キャバ嬢とホスト

廣瀬純七

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カズヤ

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**第1章:新たな挑戦を探す後輩ホスト**

新宿のホストクラブ「エンペラー」で、後輩ホストのカズヤは、最近自分の仕事に少しマンネリを感じていた。彼は若く、やる気に溢れているが、トップホストになるためにはもっと何かが必要だと感じていた。

ある夜、店が終わり、休憩室で一服していたカズヤの隣に、アキトがやってきた。彼は店のナンバーワンホストで、カズヤにとって目標の存在だった。

「最近、どうだ?」アキトが軽く聞く。

「うーん、正直なところ、少し壁にぶつかってる感じです。もっと上に行きたいんですけど、何かが足りない気がして…」

アキトは少し笑い、思い出したように口を開いた。「俺も同じような気持ちになったことがあるよ。でも、最近ちょっと変わった体験をして、考え方が変わったんだ。」

「変わった体験?」

「そうだ、聞いて驚くかもしれないけど…」アキトはカズヤに、自分がキャバクラ嬢のユウカと顔を入れ替え、一日だけ彼女の世界で働いたという信じがたい体験を語った。初めはカズヤも半信半疑だったが、アキトが真剣な表情で話すうちに、次第にその話に引き込まれていった。

「それでどうなったんですか?」カズヤが興味津々で聞いた。

「普段、自分がしている仕事とは全く違う世界を体験することで、俺自身の接客の在り方や、相手への気遣いについて新しい視点を得たんだ。もし興味があるなら、お前も試してみたらどうだ?」

カズヤはその提案に驚きつつも、心の奥でわくわくする感情が湧き上がっていた。

「ぜひやってみたいです!どうすればいいんですか?」

アキトはにやりと笑い、カズヤに例の謎めいた占い師がいるバーの場所を教えた。

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**第2章:カズヤの挑戦**

翌日、カズヤはアキトから聞いた不思議なバーへと足を運んだ。そこはアキトが言っていた通り、まるで別世界のような雰囲気を持つ場所だった。バーの奥には、銀髪の占い師が静かに待っていた。

「ようこそ、"交換の夜"へ。」占い師は柔らかな声で語りかける。

カズヤは少し緊張しながらも、アキトの体験を思い出して気を引き締めた。「僕も、誰かと顔を入れ替えてみたいんです。どんな世界か、知りたくて。」

占い師は微笑んで頷く。「その意気込み、素晴らしいわ。それでは、今日は君と…六本木のナンバーワンキャバ嬢、サキとの交換になるわね。」

サキは、キャバクラ界で知らない人がいないほどの有名キャバ嬢だった。彼女の評判は高く、その接客技術は天才的とまで言われていた。カズヤは驚いたが、逆に挑戦意欲が燃え上がった。

「さあ、準備はできたかしら?」

カズヤが頷くと、占い師は再び不思議な呪文を唱え始めた。瞬く間に、カズヤとサキの姿が入れ替わった。

---

**第3章:キャバ嬢としてのカズヤ**

カズヤはサキの体を借りて、キャバクラ「エデン」に足を踏み入れた。豪華なドレスをまとい、長い髪を揺らしながら歩くのは、普段の自分とは全く違う感覚だ。

「サキちゃん、今日も美しいね!」

お客さんたちは、まるで違和感がないかのように、カズヤを迎え入れる。最初は慣れない接客に戸惑っていたが、徐々に周囲の空気に慣れ、サキの体に宿る自信がカズヤにも伝わってきた。

「お酒どうですか?」カズヤは女性の声で優しく問いかける。普段の自分なら使わない、柔らかい言葉遣いや仕草を無意識に身につけていた。

客たちは皆、サキの「落ち着いた雰囲気」に新鮮さを感じていた。

「今日のサキちゃん、なんか大人っぽいな。いつもより魅力的だよ。」

カズヤはキャバクラで働くことが、ただの「話す」仕事ではなく、相手の心の内に踏み込み、寄り添うことがどれだけ大事かを理解し始めた。ホストとしての接客とはまた違う、深い共感が求められる世界だった。

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**第4章:ホストとしてのサキ**

一方、カズヤの体を借りたサキは、ホストクラブ「エンペラー」でカズヤの役を務めていた。ホストの世界に飛び込んだサキは、男性として女性客を魅了する新しい挑戦を楽しんでいた。

「カズヤ君、今日はなんだかいつもと雰囲気が違うね。なんか、落ち着いてる。」

サキは自信を持って接客に臨み、カズヤの体を通して、女性にどう接すれば良いかを感じ取っていた。彼女もまた、ホストとしての仕事がどれだけ精神的に強く、かつ繊細であるべきかを体感していた。

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**第5章:交換体験の終わり**

一日の仕事が終わり、再び占い師の元に戻った二人は、元の姿に戻された。カズヤとサキはお互いの世界を体験し、深い敬意を抱くようになっていた。

「キャバ嬢の仕事って、思ってた以上に奥が深いんですね。お客さんに共感する力がすごく大事だって、よくわかりました。」カズヤは感慨深く言った。

サキも微笑んで頷く。「ホストも同じよ。お客様にどう寄り添い、魅力を引き出すかっていうのは、本当に難しい。でも、それができた時の達成感はすごいわね。」

こうして、カズヤもまた、アキトと同じく貴重な体験を経て、自分の仕事に対する新しい視点を得ることができた。彼はこの経験を胸に刻み、ホストとしての成長を誓った。

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後輩ホストのカズヤもまた、アキトから受けた奇妙な「交換の夜」を通じて、自分の限界を超える新たな世界を知ったのだった。
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