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初めての違和感
しおりを挟む明菜は朝、目を覚ましたときに体に妙な違和感を感じた。お腹が少し重たいような感覚があり、なんだかスッキリしない。
「なんか変だな……。」
それでも学校に行く準備をし、制服に着替えて朝ごはんを食べた。普段通りの一日が始まるはずだった。
けれども、登校途中に感じた違和感がだんだんと強くなってきた。お腹の辺りがキリキリと痛むようになり、歩くたびに気持ちが悪くなる。
「うーん、なんだろう。風邪でもひいたのかな……?」
学校に着いて席に座った明菜は、少し冷や汗をかきながら授業を受け始めた。だが、次第にその不快感が収まるどころか、ますます強くなっていく。そして1時間目の途中、椅子に座りながらふと気づいた。
「えっ……なんか濡れてる?」
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### 「初めての出来事」
明菜は恐る恐る椅子を立ち、自分のスカートを確認した。目に入ったのは、鮮やかな赤い染み。
「これ……血……?」
驚きと恥ずかしさが一気に襲ってきた明菜は、慌てて席に戻り、誰にも気づかれないように背中を丸めた。
「どうしよう……これ、もしかして生理ってやつ?」
明菜は昔、母親から軽く説明を受けたことを思い出した。「女の子ならいつか始まることだから、びっくりしないでね」と言われたけれど、そのときはあまり真剣に聞いていなかった。そして、ついに自分にもその時が来たのだと理解した瞬間、パニックになった。
「でも、今はどうしたらいいの……?」
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### 「愛の助け」
休み時間になると、明菜はすぐに親友の愛を呼び止めた。
「愛ちゃん……ちょっと相談したいことがあるんだけど。」
「え? どうしたの、明菜ちゃん? 顔色悪いよ。」
明菜は小声で愛に事情を話した。すると、愛は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに優しい笑みを浮かべた。
「明菜ちゃん、大丈夫! 私も初めてのとき、めっちゃパニックになったから気持ちわかるよ。」
「本当に……? どうしたらいいのかわからなくて……。」
「とりあえず保健室に行こう? ナプキンもらえるし、着替えの相談もできるよ。」
愛は明菜の手を取って保健室に向かうと、先生に事情を伝えてくれた。保健の先生は親切に対応し、明菜に生理用ナプキンを渡して使い方を説明してくれた。
「明菜さん、初めてだと戸惑うよね。でも、生理は体が大人に近づいている証拠なのよ。」
先生の優しい言葉に、明菜は少しだけ安心した。
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### 「安心と新たな一歩」
保健室から戻った明菜は、すっかり冷静さを取り戻していた。お腹の痛みはまだ続いていたが、愛の存在や先生の助けが心を落ち着けてくれた。
「愛ちゃん、本当にありがとう。私、一人だったらどうしていいかわからなかったよ。」
「いいんだよ! 女の子同士、こういうときは助け合いでしょ!」
愛の笑顔に、明菜も自然と笑顔がこぼれた。
「でも、生理ってこんなに大変なんだね。愛ちゃん、いつもこんな思いしてたの?」
「うーん、最初はね。でも、慣れてくるとそんなに気にならなくなるよ。それに、明菜ちゃんもこれで『本物の女の子』だね!」
その言葉に、明菜は少しだけ胸が温かくなるのを感じた。「本物の女の子」という言葉が、妙に自分を肯定してくれた気がしたのだ。
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### 「一日を終えて」
家に帰った明菜は、母親に今日あった出来事を報告した。母親は驚きつつも、明菜をぎゅっと抱きしめて「おめでとう」と優しく言った。
「これから少し大変なこともあるけど、体の成長を大切にしてね。」
明菜はその言葉を聞きながら、小さな不安と新たな自信を感じていた。
「これが女の子として生きるってことなんだ……。」
ベッドに横になりながら、明菜は愛の優しさや母親の言葉を思い出し、少しだけ大人になった気持ちを味わった。そして、自分がこの世界で「斎藤明菜」として生きていることを、改めて受け入れ始めていた。
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