魔法の本

廣瀬純七

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新体操部への初参加

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「タケル、お願いだから新体操部の練習をサボらないでね。」  
ジュン(タケルの体)は朝から念押ししてきた。  

「分かったよ…。でも、俺がレオタードとか着るの、本当に無理だって。」  
タケル(ジュンの体)は不安げに答えた。  

「私だって、タケルの体でバスケ部の練習に行くの、すごく恥ずかしいのよ。でも、文句言わないで頑張ってるんだから。」  
ジュンはジロリとタケルを睨みつける。  

「分かったよ…やるけどさ。」  
タケルは肩を落としながら、学校へと向かった。  

***

### 部室での着替え  

放課後、新体操部の練習時間がやってきた。タケルは部室に向かい、ジュンの部員仲間たちに挨拶する。  

「ジュンちゃん、今日もよろしくね!」  
明るく挨拶されるたびに、タケルはぎこちない笑顔で返す。  

「お疲れ様、ジュン。」  
親しげに声をかけられるたび、内心で「俺はジュンじゃないんだよ…」と叫びたくなる。  

やがて部員たちは一斉に着替え始めた。部室の隅で、タケルは渡されたレオタードを手に取り、呆然と立ち尽くした。  

「これ…本当に着るのか?」  
手触りの良い伸縮素材のレオタードを見つめ、タケルはため息をついた。  

「ジュン、まだ着替えてないの?早くしないと遅れるわよ!」  
部員の一人に声をかけられ、タケルは慌てて隅に隠れながら服を脱ぎ始めた。  

***

### 初めてのレオタード  

「これ、どうなってんだ?」  
レオタードの複雑なデザインに困惑しながら、なんとか体を通すタケル。しかし、ピタッと体に張り付く感覚がどうにも落ち着かない。  

「これ、やっぱり恥ずかしいだろ…。」  
鏡に映るジュンの体は美しく見えたが、その内側にいるタケルは羞恥心でいっぱいだった。  

他の部員たちが普通にレオタード姿で準備を進める中、一人だけ顔を赤くしてそわそわしているタケル。  

「ジュンちゃん、なんか今日の動きがぎこちないね。」  
先輩が声をかけてくる。  

「えっ、そ、そうですか?」  
タケルは動揺しつつ、必死に誤魔化した。  

***

### 練習の時間  

練習が始まると、新体操独特の柔らかくしなやかな動きが要求される。  

「足をもっと伸ばして、体を柔らかくして!」  
先輩の指導に従って動こうとするが、慣れていないタケルには簡単ではなかった。  

「くっそ…ジュン、よくこんなことやってるな。」  
体が柔らかいはずのジュンの体でも、タケルの中身ではぎこちない動きしかできない。  

練習を終えたころには、タケルは体力的にも精神的にもボロボロになっていた。  

***

### ジュンへの報告  

その夜、タケルはジュンに電話をかけた。  
「ジュン、今日の練習、マジで無理だった。レオタードとか恥ずかしすぎて死にそうだったんだけど。」  

電話越しにジュンはため息をつく。  
「私だって、タケルの体でバスケ部の練習して汗だくになるの嫌なんだから、お互い様でしょ?」  

「でも、女子の新体操は別次元だろ!」  

「慣れるしかないわよ。それに、私の体なんだから、大事に動かしてよね。」  

「分かったよ…。」  
タケルはしぶしぶ返事をしつつも、次回の練習がすでに憂鬱で仕方なかった。
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