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呼び出された二人
しおりを挟む放課後、タケル(ジュンの体)とジュン(タケルの体)は親友の美咲と健一に呼び出された。場所は学校の屋上。二人が到着すると、美咲と健一は真剣な表情で待っていた。
「…何だよ、改まって。」
ジュン(タケルの体)は不安そうに問いかけた。
美咲が鋭い目で二人を見つめる。
「タケル、ジュン。正直に言ってくれない?」
「な、何を?」
タケル(ジュンの体)が答えると、美咲は一歩近づき、言い放った。
「二人、体が入れ替わってるんじゃない?」
一瞬、時間が止まったように静まり返る屋上。ジュンは顔を強張らせ、タケルは口を開こうとして止めた。
「そ、そんなことあるわけないじゃん!」
ジュンがぎこちなく笑って誤魔化す。
「そうだよ。入れ替わりなんて、アニメとか漫画の話だろ?」
タケルも慌てて笑顔を作る。
しかし、健一が腕を組みながら静かに言った。
「いや、俺たちには分かるんだ。だって…実は俺たちも体が入れ替わってるから。」
***
### 衝撃の告白
「えええっ!?」
タケルとジュンは声を揃えて叫んだ。
美咲は少し照れくさそうに目をそらしながら言った。
「私、二か月前から健一の体で生活してるの。」
「で、俺が美咲の体だ。」
健一も淡々と続ける。
タケルとジュンは完全に固まった。
「ちょっと待て。じゃあ、今ここにいる美咲は健一で、健一は美咲ってことか?」
タケルが半信半疑で聞くと、美咲(中身は健一)が頷いた。
「そういうこと。でも、最初に気づいたのはお前らだ。最近のタケルとジュン、どう見てもおかしいから。」
ジュンは困惑しながら言った。
「じゃあ、なんで今まで黙ってたの?」
健一(中身は美咲)がため息をついた。
「正直、信じてもらえないと思ったんだ。でも、二人を見てたら、同じ状況なんじゃないかって確信した。」
***
### 二人も真実を告白
タケルとジュンは、これ以上隠すのは無理だと悟った。
「…分かったよ。実は俺たちも入れ替わってる。」
タケルが観念して言うと、美咲と健一は「やっぱり」といった表情を浮かべた。
「どうして入れ替わったの?」
美咲が尋ねる。
「図書館で見つけた古い本が原因らしい。」
ジュンが説明すると、美咲と健一は驚いた顔をした。
「それ、呪文とかあった?」
健一が質問すると、タケルが頷いた。
「ああ、それを唱えたらこうなった。」
美咲と健一は顔を見合わせた。
「私たちはね、海に行ったとき、謎の老人にペンダントを渡されたの。それをつけた次の日に入れ替わっちゃったの。」
「つまり、原因は違うけど、同じ結果になったわけだ。」
健一が補足した。
***
### 仲間が増えた安心感
「こんな状況、誰にも話せなくて辛かったけど…あんたたちも同じなんだね。」
美咲(健一の体)は少しホッとした表情を見せた。
「それにしても、こんなことが本当にあるなんてな。」
タケルが呟くと、ジュンは苦笑いした。
「これからどうする?みんなで元に戻る方法を探す?」
健一が提案すると、全員が頷いた。
「一緒にやれば、きっと何とかなるよ。」
美咲が微笑んで言った。
四人は奇妙な連帯感を抱きながら、これからの試練に立ち向かう決意を新たにしたのだった。
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