魔法の本

廣瀬純七

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満月の夜、四人の結論

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静かな夜、満月がまばゆい光を地上に照らしていた。四人は美咲の家の庭に集まっていた。テーブルにはホットココアとスナック菓子が置かれ、辺りには秋の冷たい空気が漂っている。満月の光がそれぞれの顔を照らし、少し緊張した雰囲気が漂っていた。  

「いよいよだね。」美咲の体になったタケルが口を開く。  

「今日、ちゃんと結論を出さないとね。」タケルの体になった美咲が続ける。その声には決意が滲んでいた。  

「でも、結論を出すっていっても…どれが正解なのか、まだ分からない。」ジュンの体になった健一がぽつりと漏らした。  

「それを話し合うために、ここに集まったんでしょ?」健一の体になったジュンが厳しい口調で言ったが、その表情にはどこか不安も見える。  

---

### それぞれの本音  

四人はテーブルを囲み、それぞれの思いを語り始めた。  

「私は、もうこの体で生きていくのもアリかなって思ってる。」タケルの体になった美咲が口火を切った。「正直、最初はすごく嫌だったけど、この体でいるうちに新しい自分を見つけられた気がするの。」  

「俺も同じだ。」美咲の体になったタケルがうなずく。「確かに戸惑いはあったけど、今の生活もそんなに悪くない。むしろ、元に戻る方が怖いかもしれない。」  

ジュンと健一は少し驚いた表情を浮かべた。  

「でも、それって本当にみんなにとって幸せなの?」ジュンが反論する。「自分たちが納得しても、周りの人たちが混乱するんじゃないかな?家族とか、友達とか…。」  

「それはそうだけど、逆に今さら元に戻る方が余計に混乱するんじゃない?」健一が言い返す。  

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### 神様の言葉の重み  

「神様のメールに『これが本来の姿』って書いてあったけど、本当にそうなのかな?」タケルが静かに言った。「もし間違いだったなら、また別の方法で戻ることだってあるかもしれない。」  

「でも、あと一年以内に決断しないと、永遠にこのままなんだよね。」ジュンが深いため息をついた。「それに、神様の話が本当だとしたら、戻ること自体が『間違い』になる可能性もある。」  

「だからこそ、今夜が大事なんだ。」美咲が静かに言った。「どちらを選んでも後悔しないようにしないと。」  

---

### 四人の結論  

長い話し合いの末、四人は決断を下した。  

「まずはこのままで、しっかり考える時間を取ろう。確か神様も次の満月の夜に元の体に戻りたいと願えばその願いが叶うとは言っていたけど、それをやらないと永遠にこの体のままだとは言っていなかったからね!」と、ジュンが言った。「焦って結論を出すより、お互いが納得できるまで話し合う方がいいと思う。」  

「そうだね。」タケルもうなずいた。「無理に決める必要はない。満月はほぼ毎月あるんだし、他にも元の体に戻れる方法があるかも知れないし、それまでに何が自分にとって大切なのかを見極めよう。」  

健一と美咲も同意した。それぞれが自分の体での生活に馴染みつつも、元に戻る道を完全に諦めるわけではないという微妙なスタンスだった。  

---

### 月明かりの下で  

話し合いを終えた四人は、庭の芝生に寝転んで満月を見上げた。月の光が彼らを優しく包み込み、どこか安堵したような雰囲気が漂っていた。  

「これからどうなるんだろうね。」ジュンがつぶやいた。  

「まあ、どうにかなるさ。俺は誰と体が入れ替わっても四人が一緒なら全く問題ないけどね!」タケルが笑って言った。その言葉に、全員が小さく笑顔を見せた。  

月明かりの下、四人の絆はさらに深まり、これからどんな未来が待っているのか分からないながらも、一歩前に進む勇気を得た夜だった。  
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