パラレルワールド

廣瀬純七

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新たな世界

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――目が覚めた瞬間、俺はすぐに違和感に気づいた。  

「……また、だ……!」  

手を動かし、掛け布団をめくる。  
見慣れたはずの俺の部屋ではなく、昨日まで"田中美紀"として過ごしたあの女の子らしい部屋だった。  

(まさか……また"美紀"になったのか!?)  

慌てて自分の体を確認する。  
やはり、細い手首、長い髪、そしてパジャマの胸元にふくらみを感じる。  

「くそっ……まただ……!」  

昨日、一度元の世界に戻ったと思っていたのに、今度はまた"美紀"の体になっている。  
しかも、昨日のように「田中健太が存在しない世界」ならまだしも、今度は一体どんな状況なんだ……?  

混乱しながらベッドの上で身動きしていると――  

**「おい! 美紀、遅刻するぞ!」**  

突然、部屋のドアがガチャッと開いた。  

「えっ……!?」  

俺は思わずドアの方を見た。  

そこに立っていたのは――俺と全く同じ顔をした**「田中健太」**だった。  

「え……?」  

俺は思わず言葉を失う。  
健太がいる? どういうことだ?  

「お前、また夜更かしでもしてたのか? 早く起きろよ、妹が遅刻すると兄の俺が怒られるんだぞ!」  

健太――いや、もう一人の俺は、そう言うと呆れたように俺を見ている。  


今、こいつは確かに「俺の事を妹」って言った。  
ってことは、この世界では俺――いや、"美紀"は健太の**妹**として存在しているのか!?  

(どういうことだよ……!)  

昨日の世界では俺は"田中美紀"として過ごし、元の世界に戻ったと思ったら、今度は"健太の妹"になっている?  

こんなことがあるのか? いや、そもそも、俺はこのまま元の世界に戻れるのか!?  

混乱する俺をよそに、双子の兄の健太はため息をついて、  

「ほら、早く着替えろよ! 朝飯食べたら学校行くぞ!」  

そう言うと、あっさりドアを閉めていった。  

俺はベッドの上で呆然としながら、  

(マジかよ……今度は"田中美紀"として双子の妹になったのかよ……!?)  

と、現実を受け入れきれずにいた。
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