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双子の兄妹!?
しおりを挟む「やべぇ、急がねぇと……!」
俺はベッドから飛び起きると、急いでクローゼットを開けた。
中には昨日まで着ていた女子制服――白いブラウスに紺のリボン、プリーツスカートがかかっている。
(はぁ……またこれかよ……)
戸惑っている時間はない。
ドアの向こうには"兄"を名乗る健太がいるし、今はこの世界のルールに従うしかない。
俺は仕方なく、慣れない手つきで制服に着替え始めた。
リボンを結ぶのにもたつきながら、どうにか女子高生らしい姿に変身する。
「……よし、これでいいか……」
鏡に映るのは、間違いなく"田中美紀"の姿。
ため息をつきながら、俺は階段を駆け下りた。
***
キッチンに入ると、テーブルには朝食が並べられていた。
卵焼きに味噌汁、ご飯と焼き魚――シンプルだけど、どこか懐かしさを感じる朝ごはんだった。
そして向かいには、もう一人の俺――**兄の健太**が座っている。
「おい、早く食えよ。遅刻するぞ」
「……あ、あぁ……」
俺は戸惑いながら席に着き、ご飯を口に運んだ。
うまい……けど、それどころじゃない。
目の前には、俺と同じ顔をした"兄貴"がいる。
(この世界では、俺たちは双子ってことなのか……?)
確かめるために、俺は思い切って聞いてみた。
「なぁ、健太……俺――じゃなくて、**私**の兄貴なの?」
すると、健太(兄)は怪訝な顔をして、
「……お前、まだ寝ぼけてるのか?」
と、呆れたように返してきた。
「お前、何言ってんだよ? 俺たちは昔からずっと双子だろ?」
(やっぱり、この世界では俺たちは"双子"の兄妹になってるのか……)
俺は、どう答えたらいいか分からず、味噌汁をすするふりをしながら、頭の中で必死に状況を整理していた。
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