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いつもの結衣
しおりを挟む朝食を終えた俺は、健太(兄)と一緒に家を出た。
学校へ向かう道は、見慣れたはずなのに、どこか違って見える。
(やっぱり、世界が変わってるんだよな……)
昨日までは"田中美紀"として存在し、"田中健太"はいない世界だった。
でも今日は"俺"が"美紀"の体のままで、しかも双子の兄として"健太"がいる。
(もう何がなんだか……)
混乱する頭を抱えながら歩いていると、前方から見覚えのある姿が近づいてきた。
「**美紀、おはよう!**」
明るい声とともに、俺の前に飛び出してきたのは――
**新川結衣**だった。
(うおっ、またか……!)
前もこのパターンだったことを思い出しながら、俺はなんとか表情を崩さずに返事をする。
「お、おはよう……」
結衣はニコニコしながら俺の腕にしがみつくようにして、
「ねぇねぇ、また宿題見せてね!」
(また……!?)
前にもそんなことを言われた気がする。
結衣の性格はこの世界でも変わってないらしい。
(ってことは、俺は**この世界でも"美紀"として宿題をちゃんとやってる優等生ポジションなのか……?**)
「えっと……」
なんて返せばいいか迷っていると、隣で健太(兄)が笑いながら言った。
「結衣、お前また美紀に頼るのかよ。そろそろ自分でやれって」
「えー? いいじゃん、健太が代わりに見せてくれてもいいんだよ!」
「俺は関係ねーよ!」
そんなやり取りを聞きながら、俺は少しずつ理解してきた。
この世界では――
**俺(美紀)と健太(兄)は、昔から当たり前のように存在している双子の兄妹。**
**結衣も、そんな俺たちを普通に受け入れている。**
(やっぱり、昨日とはまた違う世界にいるんだ……)
俺は戸惑いながらも、結衣と健太(兄)と一緒に、学校へ向かって歩き出した。
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