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元の世界へ
しおりを挟む「……ん?」
朝、目が覚めた瞬間、俺は違和感を覚えた。
布団の感触が違う。
天井の模様も、昨日までいた部屋とは違う。
(ここ……俺の部屋じゃねぇか!?)
慌てて布団を跳ねのけると、自分の体を確認する。
手も、足も、声も――全部、"俺"のままだ。
(戻ってる……俺は、田中健太だ!)
思わずガッツポーズをしそうになったが、昨日のことが脳裏をよぎる。
(美紀になっていた間、いろいろあったよな……。でも、結局なんだったんだ? あれは夢だったのか? それとも、本当に別の世界が存在していたのか……?)
考えても答えは出ない。とりあえず、いつも通り学校へ行く準備をするしかなかった。
◆
登校すると、結衣がいつものように俺に駆け寄ってきた。
「おはよう、健太!」
「ああ、おはよう」
「……あれ? なんか今日の健太、いつもの健太だね」
「は? いや、俺はずっと俺だが……?」
すると、結衣がクスクスと笑いながら言った。
「昨日の健太、ちょっと女子みたいな感じだったよね!」
「……え?」
俺の心臓がドクンと跳ねた。
「なんかさ、仕草とか雰囲気が少し柔らかかったっていうか……。私の勘違いかな?」
「え、えーっと……」
どう答えればいいのか分からず、俺は曖昧に笑うしかなかった。
(まさか、俺が美紀だった時の影響が残ってるのか……? それとも、"向こうの美紀"も俺と同じように入れ替わってた……?)
謎は深まるばかりだったが、とにかく今は何も考えないことにした。
「気のせいだろ!」
俺はそう言って、話を流すのだった。
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