パラレルワールド

廣瀬純七

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今度は兄妹で入れ替わり!?

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朝、目が覚めた瞬間、嫌な予感がした。  

(なんか、違和感がある……)  

布団をめくり、自分の体を見下ろすと——まただ。  
俺は**美紀**になっていた。  

「……またかよ……」  

もう何度目だ? せっかく昨日は何も起きなかったのに、やっぱりまた別の世界に飛ばされたのか……?  

考える間もなく、部屋のドアが勢いよく開いた。  

「私とお兄ちゃんの体が入れ替わってる!!!」  

俺は一瞬、状況が飲み込めなかった。  

目の前には……**双子の兄の健太の体**がいた。  
つまり、兄の健太の体の中には美紀が——?  

「ちょ、ちょっと待て、どういうことだよ!」  

「だから、私、お兄ちゃんの体になってるの!!」  

俺は改めて自分の手を見つめ、鏡の前に立った。  
……間違いない。**俺は美紀の体になっている。**  

だけど——今までとは違う。  

この世界では**俺と美紀が双子の兄妹だったはず**。  
でも今、俺は妹の美紀で、妹の美紀は兄の俺になっている。  

「お、おい……じゃあ、お前は**この世界の美紀**なのか?」  

「え? うん……私、昨日まで普通に**美紀**だったのに、今朝起きたらお兄ちゃんになってた……!」  

「……マジかよ……」  

「え、でも、お兄ちゃんの中身……お兄ちゃんじゃないよね?」  

「あ、ああ、違う。俺は……**別の世界の田中健太**だ」  

「えぇ!? じゃあ、お兄ちゃんの健太はどこに……?」  

「たぶん、俺の世界に行ってるんじゃねぇかな……」  

まさか今度は**兄妹で入れ替わる**なんて。  

時空の歪み、まだ解消されてなかったのかよ……!!

### **お兄ちゃんになりたかった**  

俺——いや、美紀の体になった俺は、目の前にいる**兄の健太の体の美紀**を見つめた。  

「……えっと、お前、本当に美紀なのか?」  

すると、美紀(健太)がニコッと笑って言った。  

「うん! 私、ずっとお兄ちゃんに憧れてたし、お兄ちゃんになりたかったんだよね!」  

「は?」  

一瞬、何を言ってるのか理解できなかった。  

「だって、お兄ちゃんってカッコいいし、運動も勉強もできるし……だから、ずっとお兄ちゃんみたいになりたいなって思ってたの!」  

「いやいやいや、憧れるのと実際になるのは違うだろ!? しかも、今のお前、本当に**兄の健太になってる**んだぞ!?」  

「そう! すごいよね! だって、これで私もお兄ちゃんみたいに強くなれるかもしれないし、男の子の生活も体験できる!」  

美紀は(健太の)腕を持ち上げたり、胸を叩いてみたりして、妙に楽しそうだった。  

「お、おい、そんなに喜んでていいのかよ!? これ、いつ元に戻るかわからないんだぞ?」  

「でも、せっかくだし、お兄ちゃんの体をしっかり体験してみたいな!」  

「……お前、意外と順応力高いな……」  

まさか、こんな形で**妹に兄の健太の体を気に入られる**とは思わなかった。  

一方で俺は、またもや**美紀の体のまま**。  

(俺は一体、いつになったら自分の体に戻れるんだ……?)  

この**奇妙な兄妹の入れ替わり**は、まだまだ終わりそうになかった。
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