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兄の健太はどこに?
しおりを挟む俺は、自分の体になってしまった美紀を見ながら頭を整理しようとした。
「ちょっと待て……」
「え? 何?」と、美紀(兄の健太)が不思議そうに俺を見つめる。
俺は腕を組みながら、状況を整理しながら話し始めた。
「この世界に**兄の健太がいない**ってことは——」
「……?」
「**パラレルワールドの別の世界の健太になっているか、それとも美紀になっているかのどっちかだ!**」
美紀は一瞬ぽかんとした顔をしたが、すぐにハッとした様子で言った。
「えっ、じゃあ、今のお兄ちゃんは……?」
「ああ、**俺は別のパラレルワールドから来た、一人っ子の健太だ。**」
「ええええ!? じゃあ、私のお兄ちゃん(この世界の健太)はどこにいるの!?」
「さあな。でも、可能性としては**俺のいた世界に飛ばされているか、別の世界の美紀になっているか**のどっちかだろうな……」
「そ、そんな……」
美紀(俺の体)は不安そうに自分の体を見下ろした。
「でも、なんでこんなことが起こるの?」
「それがわかってたら苦労しねぇよ……」
俺はため息をつきながら、今まで経験した**パラレルワールドでの入れ替わり**を思い返した。
(俺は一人っ子の健太だった世界から、双子の兄妹がいる世界に来て、今度は……**兄妹の中で入れ替わっている**?)
今までは「健太」と「美紀」の間での入れ替わりだったのに、今回は「双子の兄妹の健太」と「美紀」の間での入れ替わり……。
(この時空の歪み、どこまで続くんだ……?)
一つだけわかっていることは——**この入れ替わりはまだ終わりそうにない**、ということだった。
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