パラレルワールド

廣瀬純七

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願いを込めた水晶

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俺は目の前の**俺の体になってしまった美紀**を見つめながら、まだ混乱していた。  

(俺は一人っ子の健太としてこの世界に来たはず……なのに、なぜか**双子の兄の健太**が消えて、俺がその代わりになっている……)  

美紀(俺の体)は、ふとベッドの下に転がっている何かに気づいたようだった。  

「ん? これ……?」  

美紀はしゃがみ込み、**ビー玉サイズの水晶の球**を拾い上げた。  

光が差し込んで、その小さな水晶がキラリと輝く。  

「……ああ、これかぁ……」  

「それ、何だ?」  

俺が尋ねると、美紀(俺の体)はその水晶をじっと見つめながら、ゆっくりと言った。  

「お兄ちゃんになるために……**三年間ずっとこの水晶を握りしめて寝ていたんだよね!**」  

「……は?」  

「だって、お兄ちゃんみたいになりたかったんだもん!」  

美紀(俺の体)は、どこか懐かしむような表情を浮かべながら水晶を握りしめた。  

「この水晶、いつか願いを叶えてくれるんじゃないかって信じてたんだ……。お兄ちゃんみたいに強くなりたい、お兄ちゃんみたいにカッコよくなりたいって、毎晩願いながら寝てたんだよ!」  

俺は、言葉を失った。  

(美紀……そんなこと思ってたのか……)  

「そしたら、気づいたら本当にお兄ちゃんになってた!」  

美紀(俺の体)は楽しそうに笑う。  

俺はそれを見ながら、**この入れ替わりが美紀の願いのせいで起こった可能性**を考え始めた。  

(まさか、そんなことで……? でも、もしこれが原因なら——)  

「なあ、美紀。お前、その水晶を握りしめて**『元に戻りたい』**って願ってみたらどうだ?」  

俺がそう提案すると、美紀(俺の体)はハッとした顔をした。  

果たして、この水晶は本当に願いを叶える力を持っているのか?  

俺たちの**運命を左右する小さな水晶**が、今、手のひらの中で静かに光を放っていた——。

### **叶う願いは三年後?**  

「でも、願いが叶うのは多分**三年後**になるよ!」  

美紀(俺の体)は、水晶の球を握りしめながら、あっけらかんとした顔で言った。  

「……は?」  

俺は思わず聞き返す。  

「だって、この水晶に願いを込めて寝るようになってから、ちょうど**三年経った今**、こうやってお兄ちゃんになれたんだもん!」  

「……いや、いや、いや!! そんな都合のいい話あるかよ!!」  

俺は頭を抱えた。  

(つまり、俺が元に戻るのも……**三年後**ってことか!?)  

「そんなの……待てるわけないだろ!?」  

俺は思わず叫んだが、美紀(俺の体)はケロッとした顔で、むしろ楽しそうに笑っている。  

「うーん、でも急に戻ったらもったいないし、しばらくお兄ちゃんを堪能してみようかな!」  

「ちょっと待て、美紀!! お前、自分の体に戻る気ないのか!? 俺は今すぐにでも戻りたいんだけど!!」  

「えー? せっかくお兄ちゃんになれたのに?」  

美紀(俺の体)は腕を組んで考え込むと、ニヤリと笑った。  

「じゃあ、**お兄ちゃんとしての生活を楽しんでみたら?**」  

「……俺はお兄ちゃんじゃないってば!!!」  

俺の叫び声が部屋に響き渡る。  

美紀はそんな俺の反応を面白がりながら、水晶を手のひらで転がしていた。  

(……本当に三年後にならないと戻れないのか? そんなの、長すぎるだろ!!)  

俺はため息をつきながら、**これからの生活をどうするか**考え始めた——。
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